昨季は勢いに乗ったという面もあったが、今季は横綱相撲での優勝だったな。北海道日本ハムファイターズが球団史上初の2年連続リーグ優勝を達成した。MVPは15勝5敗、防御率1.82(10月2日現在)のダルビッシュ有が確実視されている。

 シーズンが始まる前、日本ハムの評価は「クライマックスシリーズに出場できれば御の字」という声がほとんどだった。
 無理もない。昨シーズン限りでチームきってのスター新庄剛志がユニホームを脱ぎ、主砲の小笠原道大はFA権を行使して巨人へと去った。貴重な左のセットアッパー岡島秀樹はレッドソックスへ――。

 実際、出だしは最悪だった。5月18日の時点では首位ソフトバンクに8ゲームもの大差をつけられた。ところが交流戦で18勝5敗1分けと大きく勝ち越し、その余勢を駆って6月30日には首位に立った。その後、何度か2位に落ちたが、勢いは止まらなかった。

 日本ハムといえば「粘り強いチーム」との印象がある。それもそのはず、得失点差はわずかに41(得点525、失点484、10月2日現在)。2位・千葉ロッテの得失点差が98、3位・福岡ソフトバンクのそれが73であるのを考えれば、極めて少ない。
 なにしろ得点525、総本塁打73は、いずれもリーグ最低なのだ。得失点差だけを見れば3位がいいところである。
 
 にもかかわらず優勝を決めた時点で2位・ロッテを5ゲームも引き離していたのは、野球が巧い証拠である。田中賢介のリーグ最多犠打57(10月2日現在)などは、その典型的な記録だ。

 今季限りでトレイ・ヒルマン監督がチームを去ることが決定しているが、チーム力がガタンと落ちることはあるまい。投手力を中心とした守りの野球を続けるならば……。
 次期監督はヒルマン野球の後継者が望ましい。とかく新しい監督は自らの色を出そうとするが、水平飛行に入った飛行機の操縦桿をあまりいじり回すべきではない。継続は力なり、だ。

<この原稿は07年10月22日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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