後期シーズンも6勝25敗5分(9月17日現在)。他の3チームに大きく水をあけられる結果が続いています。しかも現在、リーグワーストの13連敗中で、ファンのみなさんには申し訳ないという言葉しかありません。

 少し早いですが、今年1年を振り返ってみたいと思います。指揮官として最大の反省材料は、戦力の底上げが充分できなかったこと。去年の監督就任以来、秋、春とキャンプを張り、投手陣には投げ込みをしっかり行ってもらいました。一冬を越えて、選手はたくましさを増し、開幕時はそれなりに成果を実感していました。

 ところが、他球団は新戦力を補強し、2年目、3年目の選手が成長をみせて、さらに力をつけていました。フタを開けると他の3チームは先発の柱が3本そろい、中軸を打つ打者もほぼ決まっていました。一方の徳島は手探り状態。渡邊隆洋角野雅俊片山正弘などが、時々はいいピッチングをみせてくれましたが、1年間トータルで安定した成績を残すことができませんでした。抑えも守護神・小林憲幸が制球難の課題を克服できず、不在と言っていい状態でした。

 打線をみると大砲の西村悟がケガで出遅れたこともあり、貧打を克服できないまま、1年が過ぎてしまいました。チーム打率は.221で、3割打者は1人もいません。クリーンアップに堂上隼人(.316)、智勝(.321)、丈武(.324)と3割バッターを揃えた香川との差は一目瞭然です。投打ともに準備不足、指導力不足を痛感する1年間でした。

 昨季から4期連続最下位の状況を変えるには、もう1度チームを作り直す必要があるでしょう。1年間、戦ってみると、他球団との戦力差はもちろん、基本が徳島はできていません。攻撃ではチャンスをつくりながら、あと一本が出ない。状況に応じたバッティング、走塁ができない。守っては外野からの中継ミスで相手に先の塁を与えてしまう……。シーズンが始まってしまうと、試合中心になり、基本を習得する時間がなかなか取れません。秋季練習ではこの部分からやり直したいと考えています。

 今年以上に指導を徹底することはもちろん、選手の入れ替えも視野に入れなくてはいけないかもしれません。確かに昨シーズンから徳島は残念な結果が続いています。しかし、選手たちは全員、NPBを目指して四国にやってきたはずです。勝っても負けても個々人がアピールする状況に変わりはないと思います。

「どんなに負けゲームで投げても、それは敗戦処理ではない。もっとガムシャラにやろう」
 シーズン中、選手たちには何度もゲキを飛ばしました。投手なら片山に加え、開幕から先発で使い続けている益田陽介、野手なら地元出身の矢野大天など来季の飛躍が期待できる若手も徳島にはいます。来季は九州からの新規チームが参入する動きもあり、リーグにとっては動きのある1年になるかもしれません。選手が野球人生をどのように考えているのか。彼らの意思をもう一度、確認しながら、チームづくりを進めるつもりです。

「投手を中心とした守りの野球をしたい」
 就任の際に掲げた目標を達成するためには、まず走攻守全体を最低限のレベルに上げることが絶対不可欠です。監督、コーチ一丸となって、将来、NPBを目指せる素材を見つけ、つくらなくてはいけません。来季こそ充実した秋を迎えるため、この秋、我々は1からスタートします。ファンのみなさん、成績不振にもかかわらず、今季の暖かい応援、本当にありがとうございました。


白石静生(しらいし・しずお)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
 1944年5月22日、徳島県出身。鳴門高から四国鉄道管理局(現JR四国)を経て、66年、ドラフト2位で広島に入団。左の本格派投手として69年に11勝、70年には13勝をマークした。当時、外木場義郎、安仁屋宗八、大石弥太郎とともに先発の4本柱を形成していた。75年に阪急に移籍。77年、78年の日本シリーズで1勝ずつを挙げている。81年限りで引退。16年間の通算成績は394試合、93勝111敗、防御率3.81。引退後は徳島に戻り、全国野球振興会(日本プロ野球OBクラブ)の徳島県代表幹事や徳島中央シニアの監督を務め、野球の底辺拡大に力を注いでいた。06年10月より徳島インディゴソックスの監督に就任。

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