ブラジル・リオデジャネイロで開催されている柔道の世界選手権最終日は16日、当地のオリンピックアリーナで男女4階級の決勝までが行われ、出産によるブランクを経て出場した女子48キロ級の谷亮子(トヨタ自動車)が2大会ぶり7度目の優勝を果たした。優勝7度は世界選手権で男女を通じて最多。
 男子無差別級の棟田康幸(警視庁)、同女子の塚田真希(綜合警備保障)もそろって金メダルを獲得。棟田は今大会不振が続いた男子で唯一の金メダルとなった。
 男子60キロ級の江種辰明(警視庁)は4回戦で敗れ、敗者復活戦でも敗れメダル獲得はならなかった。
 出産を経て約3年ぶりの国際舞台となった谷が、2大会ぶり7度目の金メダルに輝いた。ブランクのためシードがなく厳しいブロックとなったが、初戦の2回戦でマイズラ(マレーシア)の足を飛ばして体勢を崩すと、すかさず右の大外刈り。一本勝ちで幸先の良いスタートを切った。
 その後も04年アテネ五輪の決勝で対戦したフレデリク・ジョシネ(フランス)ら強敵を破り、決勝進出を決める。決勝の相手は、前回カイロ世界選手権金メダルのヤネト・ベルモイ(キューバ)。谷は開始30秒、相手がすくい投げにきたところを払い腰で倒し有効を奪う。その後も集中力を切らさず、優勢勝ちをおさめた。
 重圧を乗り越えた7度目の金メダル。優勝を決めると小さく両手でガッツポーズ。そして顔に手を当て、天を仰いだ。
 インタビューでは涙を見せ、「たくさんの人が期待してくださって応援してくれたので、その期待に応えたいと思って一生懸命頑張りました。世界の強豪たちと対戦し、1回世界選手権は空いてしまったが、今日は2回分の優勝の味がする。主人や家族のサポートで良い練習をさせてもらった。良いおみやげを持ち帰りたい、との気持ちだけだった」と喜びをかみしめた。

 女子78キロ超級で惜しくも銀メダルに終わった塚田は、無差別級で世界選手権初の金メダルを獲得した。決勝の相手は、78キロ超級準々決勝で一本勝ちしているボラワデル(スロベニア)。有効ポイントでリードするも最後まで攻撃の手を緩めず、一本勝ちはならなかったものの、相手を圧倒した。
 試合後は「最後はバテちゃったけど、噛みついてでも、投げられてたまるかという気持ちで攻め続けた。金メダルは78キロ超級で狙っていたが、無差別級でもうれしい。(78キロ超級の)疲れが残っていて、頭が回らなかった。とにかく力を出し切るだけだった」と振り返った。

 男子60キロ級の江種が敗退し、男子金メダルの望みが託された最後の砦・棟田が、期待に応えた。リュバクとの決勝、後半に入って疲れを見せる相手を積極的に攻める。残り1分を切り、相手が巴投げに入りヒヤリとするが、崩れた体勢からすかさず抑え込みに入り、一本勝ち。ニッポン男子に金メダルをもたらした棟田は「自分が負けたら日本柔道が負けだと言われてしまうが、そう考えるとプレッシャーになるので、とりあえず自分の柔道をすることだけを考えた」と語った。

 日本のメダル数は金3、銀3、銅4の計9個となった。
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