6月23日(土)、愛媛FCのアウェイ戦を応援するパブリック・ビューイングのイベントが松山市中央商店街にて行われた。これは、「愛媛サポートクラブ」が主催するイベントで、昨年は松山市内の大型ホールである愛媛県県民文化会館で行われ、この時は、800名を超える数の人々が詰め掛けるなど大盛況だった。
(写真:イベントに参加してくれた南祐三選手<左>と関根永悟選手<右>)
 今年は、J2第23節のアウェイ(ユアテックスタジアム仙台)にて行われる愛媛FC対ベガルタ仙台を松山市からパブリック・ビューイングで応援することになった。もちろん、今年も私たち、愛媛FCサポーターズクラブ「ラランジャ・トルシーダ」では、同イベントを成功に導くため、各所でお手伝いをさせて頂いた。その内容は、事前の広報活動や会場設営等の準備活動、応援コールのレクチャーや試合中の応援音頭取り等の応援活動だ。

 応援活動に関しては私たちだけではなく、仙台には行けないけれど選手たちを応援したいという熱いサポーターたちが大勢集結し、盛り上げてくれるに違いない。
 そして一番の注目点は、今回のイベント会場である。なんと全長1000メートルを超える商店街全体がイベントの舞台。松山市中心部の繁華街である銀天街と大街道の両アーケード型商店街を結び、大々的に行われるのだ。

(写真:283インチの「ギャラクシービジョン」) 銀天街の東側アーケード入口のゲート上部に設置された283インチの「ギャラクシービジョン」と大街道の一番町側入口正面のビルに設置されている243インチの「キャッスルビジョン」、さらには両アーケード内の天井に据えつけられた複数の大型ビジョン全てに愛媛FCの試合の生中継が映し出される。

 通常のリーグ公式戦のパブリック・ビューイングが街頭で、ましてや商店街全体を巻き込んでのイベントとなれば、全国的に見ても異例中の異例。Jリーグとしても、初めての試みとなるようだ。それだけに期待が膨らむ反面、イベントが無事成功するのかどうか不安も感じる。

 しかし、こんな機会は滅多に訪れるものではない。今回のように松山市中央商店街様の協力を得られるということは今後、なかなか難しいことだと思う。それに街頭を利用してのイベントということは普段、愛媛FCの試合や応援風景を見たことがないという方々に向けて、大きくアピールできる絶好の機会とも言えるのだ。このチャンス、無駄にしたくはない。

「ラランジャ・トルシーダ」は人の往来が激しく、デパートが隣接する松山市駅前の坊ちゃん広場に陣取り、銀天街東側入口ゲート上部の「ギャラクシービジョン」を見上げながら応援活動を行うことになった。

(写真:坊っちゃん広場に設置された観客席は満員の大盛況) 試合開始20分前、気合を入れ直し、応援レクチャーに向かう。有り難い事に坊ちゃん広場に設けられた架設の観覧席は、ほぼ満員の状態。立ち見の観客まで発生している。
 太鼓を打ち鳴らし、応援コールを始めると、スタジアムと同じくサポーターたちも声を揃えて応援を展開した。すると、街中を行く人々が足を止め、試合や応援風景に目を向けていた。おそらくは、ショッピングや仕事などイベント参加とは異なる目的で商店街を訪れた人々だろう。そんな人たちが愛媛FCや私たちの活動に興味を抱いてくれているのだ。

 試合終盤になると、観客の数は、商店街全体で1300人を突破。昨年のイベント参加人数をはるかに上回った。約2時間の間、太鼓の音と応援コールの声が繁華街のビルの谷間にこだましていた。私にとっても普段体験できないような異空間での不思議なイベントであった。

 試合は、残念ながら愛媛FCが完敗。試合終了時には、あちこちから溜め息が聞こえてきたが、この空間で知らない人間同士が同じ気持ちを共有したことに感動を覚えた。イベントを終え、会場を後にする中、明らかにサポーターとは異なる制服姿の見知らぬ高校生から声をかけられた。「残念でしたね。次は、きっと勝ちますよ!」。清々しい言葉をプレゼントされ、嬉しかった。そして同時に、このイベントが成功したことを確信できた瞬間でもあった。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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