4月20日に開幕した女子ソフトボールの日本女子リーグ2部は、前半戦を終了した。2年ぶりの1部昇格を目指す伊予銀行女子ソフトボール部だが、現在は9試合を消化し、4勝5敗と厳しい状況にある。前半戦を振り返りながら、約3カ月後に始まる後半戦に向けての意気込みを大国香奈子監督と中田麻樹副キャプテンに訊いた。
(写真:“守り勝つ野球”を目指す伊予銀行女子ソフトボール部)

「開幕3連勝するつもりでいます。まずは初戦の平林金属にしっかり勝ちたいですね」
 リーグ開幕前、大国監督は開幕ダッシュを狙っていた。だが、開幕ゲームを延長の末に落とすと、2試合目は快勝したものの、3、4試合目と連敗を喫してしまった。

 特に1戦目の平林金属戦は相手に負けたというより、自分たちのミスで勝てる試合を落としてしまったという悔しさが残る。初回に2点を先制した伊予銀行だったが、3回裏に守備のミスが続いて4点を奪われ、逆転を許してしまった。この回、打たれたヒットはわずか1本。4点ともエラーで失い、自滅したかたちとなった。

 この試合を振り返って、大国監督は次のように語った。
「今年のチームは昨年と比べると正直、打撃力が少し劣る。だからこそ、守備力の強化を図り、守り勝つチームを目指してきました。リーグ前のオープン戦ではほとんどエラーはなく、手応えを感じていたんです。それだけに、非常に残念な試合でした」

(写真:トップバッターとして打線を引っ張る門屋美香選手)
 逆に、理想的な試合展開となったのが、前半戦で唯一コールドゲームとなった5試合目の日本精工戦。初回に主砲・中田副キャプテンのタイムリーで1点を先制すると、その後も効率よく加点し、5回までに7点を奪った。投げては今シーズン初先発の六角麻未投手がバックに助けられながら見事な完封劇を披露。7−0で5回コールド勝ちを収めた。

「日本精工戦はノーエラーで、バックがピッチャーを盛り立ててくれました。それに応えるように、先発の六角も最後まで丁寧なピッチングをしました。もちろん、初回に先取点が取れたことも大きかったのですが、それ以上に今年目指している“守り勝つ野球”ができたいい内容の試合でした」
 と大国監督。守備のミスを少なくすれば、おのずと勝利への道が切り開かれるということが証明された一戦となった。

 待たれる高本投手の復活

 4勝5敗という結果は、優勝を狙っていた伊予銀行にとっては、決して納得できるものではない。果たしてチームの雰囲気、選手のモチベーションはどうなのか――。副キャプテンの中田選手にチームの様子を訊いた。

「私たちの目標は、あくまでも1部リーグ復帰。若いチームだけに負けると落ち込んでしまって、士気が低下したこともありましたが、どんなに負けても優勝への強い気持ちは変わりませんでした。ただ、その強い気持ちが試合では十分に出せなかった。試合後のミーティングでも常に出てくるのはそのことでした。
 決して他チームに技術的に劣っているわけではないので、後半戦では強い気持ちをもって試合に臨みたいと思っています。そして、応援していただいている方々に、勝つことで感謝の気持ちを伝えたいです」

 現在、伊予銀行のメンバーは13人。昨年12月の合宿でキャプテンの川野真代選手が、今年3月のマドンナカップでエースの坂田那己子投手がそれぞれヒザを痛めてしまった。リーグ戦を前に、チームを支える柱の2選手を欠いたことで、「これ以上故障者を増やすことはできないと、追い込みをかけた練習をすることができなかった。選手たちも思いっきりトレーニングすることができなかったと思います。そのため、中途半端さを拭いきれないままリーグ戦に入ってしまい、案の定、体力不足を痛感させられました」と大国監督。

 そんな中、今月から選手たちの体をケアし、コンディションづくりをサポートしてくれるチーム専属のトレーナーが着任。治療やマッサージなど、フィジカル的なケアを十分に行なうことができるようになった。
「トレーナーがきちんと選手の体をケアしてくれるおかげで、故障者を出す可能性が低くなった。これで、リーグ戦前にできなかった体力の強化を後半戦までの約3カ月間できっちりとこなせそうです」

 さらに、大国監督は後半戦で勝つためには、高本ひとみ投手の復活が不可欠だと語る。
「エースの坂田がケガで出場できなくなったので、昨年彼女と共に投手の柱として頑張ってくれた高本を中心に、と考えていたんです。ところが、その高本が途中、フォームを崩してしまった。原因は3試合目のYKK戦でした。先発の清水美聡を4回からリリーフした際、右足がプレートから離れることによる“2段蹴り(2ステップ)”のイリーガルピッチングを審判に通告されたんです。それから自分のピッチングに対して疑心暗鬼になってしまい、思いっきり投げることができなくなった。
 でも、後半戦までの3カ月間は高本にとっては、ゆっくりと腰を据えて調整できるいい期間です。自信を取り戻して本来のピッチングができるようになってくれれば、と期待しています」

 優勝は難しい状況だが、突出したチームはなく、混戦状態となっているだけに、後半戦の粘りでどれだけ順位を上げることができるかが今後の目標となる。そのためにもこの3カ月間でどこまでチーム強化を図れるのか。特に守備力強化と高本投手の復活がカギとなりそうだ。


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