新潟アルビレックスBCは、昨季の最下位から立て直しを図り、前期は優勝という結果を残すことができました。しかし、そのいい状態を最後まで維持することができませんでした。後期は序盤に7連敗を喫し、終盤には打線がふるわず、チームの勢いも尻つぼみになってしまいました。地区チャンピオンシップでも、大事な場面で快音が聞かれず、群馬ダイヤモンドペガサスに2連敗を喫しました。今は本当に悔しい思いでいっぱいです。
 10月2、3日に行われた地区チャンピオンシップの第1戦、先発には中山大(新潟江南高−新潟大−バイタルネット)を立てました。エースの藤井了(田辺高−法政大−米独立リーグ−オランダ独立リーグ)ではなく、中山を選んだのは2つの理由がありました。ひとつは今季の群馬との対戦成績を見て、中山の方がやや相性がよかったこと。もうひとつは、仮にビジターでの第1戦に負けるようなことがあったとしても、第2戦はホームでしたから、エースの藤井で十分に盛り返せるだろうという思惑があったからでした。

 当日、中山はブルペンでは絶好調でした。ところが、やっぱり投手の調子というのはマウンドで投げてみないとわからないものですね。体調は万全でも、試合になればそこに集中力や闘争心を上乗せしなければなりません。それが中山には不足していたのでしょう。初回、2死を取ったところで連打されると、次打者にはストレートの四球を出して満塁のピンチに。ここで前年、新潟の4番だった小西翔(高田高−慶応大)に先制タイムリーを打たれて2点を献上してしまいました。打線も援護することができず、結局0−7と完封負けを喫しました。

 そして迎えた第2戦。私は前日の試合を踏まえ、いろいろと戦略を練っていました。特に打線については「先頭打者をいかに出すか」「ランナーをスコアリングポジションにどう進めるか」が重要になってくるだろうとにらんでいました。
 そんな気持ちとは裏腹に試合前、選手たちにはこう声をかけました。
「あれこれ考えずに、もう一度がむしゃらになって戦おう!」
 しかし前日、大差で敗れ、もう後がない状況の中、選手たちは当然のように緊張した面持ちをしていました。

 結局、第2戦も完封負けに終わりました。群馬が11安打で5点を挙げた一方、我々は8安打を放ちながら無得点。チームに蔓延した“タイムリー欠乏症”を最後まで払拭することができませんでした。いくつかいい当たりもあったのです。しかし、打線が乗っているチームというのは守備にも好影響を及ぼすもので、せっかくのチャンスに群馬の守備陣のファインプレーで抑えられてしまいました。

 2試合連続での完封負け。あまりの悔しさに、選手たちは皆、大粒の涙を流していました。私自身も試合後のインタビューでは悔しさのあまり、足の震えが止まりませんでした。
 来季も監督を続投することが決定しています。今季を糧に来季こそはリーグで一番長くユニフォームが着ていられるように頑張りたいと思います。

 サポーターの皆さん、1年間、応援ありがとうございました。そして、今後も新潟アルビレックスBCに熱い声援をよろしくお願いします!


芦沢真矢(あしざわ・しんや)プロフィール>:新潟アルビレックスBC監督
1958年1月1日、山梨県出身。巨摩高校時代は4番・捕手として初の甲子園に出場。76年、ドラフト5位でヤクルトに入団し、貴重な控え捕手として活躍。88年に現役引退後はヤクルトでブルペン捕手、広島でコーチを務めた。2005年、四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズ初代監督に就任し、2年目の06年には優勝に導く。昨年は北信越BCリーグの石川ミリオンスターズで運営を部長を務め、今季より新潟の監督に就任した。

★携帯サイト「二宮清純.com」では、「ニッポン独立リーグ紀行」と題して四国・九州アイランドリーグ、BCリーグの監督、コーチ、選手が毎週火曜日に交代で登場し、それぞれの今をレポートします。
 今回は新潟・芦沢真矢監督のコラム「優勝へのカギはオフにあり!」です。ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。


※BCリーグでは来年度の入団選手採用を目的とした6球団による合同トライアウトを11、12月に石川、群馬、東京の3会場で行われます。詳細はBCリーグ トライアウト運営事務局(株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング)まで。
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