25個のメダルを獲得した北京五輪に沸いた2008年のスポーツ界。ダイキからも男子ボート軽量級ダブルスカルの武田大作、女子ビーチバレーの佐伯美香と2選手がメダルに挑んだ。ダイキスポーツにとって2008年はどんな1年だったのか。武田、佐伯両選手と全国レベルの女子実業団チームとして活動するダイキ弓道部の戦いを振り返る。
(写真:アトランタから4大会連続の五輪挑戦となった武田)
<武田、無念の13位>

「シドニー、アテネ、北京と出場したが、4大会で1番悔しい大会となった。やはりメダルが欲しかった」
 武田にとって4度目の五輪は悔いの残る大会となった。北京五輪男子ボート軽量級ダブルスカルに出場した武田・浦和重(NTT東日本東京)組は、予選、敗者復活戦を通過することができず、13位という結果に終わった。

 予選は英国やギリシャなど強豪国と同じ組。厳しい組み合わせではあったが、「この組で戦えればメダルが獲れると思った」と武田は前向きに考えていた。表彰台を狙うため、この春からは「大きく漕ぐ」ことをテーマに技術の改良にも取り組んでいた。国内の最終合宿では「いける」との手ごたえをつかんでいた。

 しかし――。「北京入り後、3〜4日前から艇との一体感があまり良くないな」。不安は的中した。予選では思ったように伸びず、6分24秒21で4着。準決勝進出を目指した敗者復活戦も3着(6分43秒03)で悲願のメダルは夢と消えた。「技術を改良しないと勝てないと思って踏み切ったが、未完成のまま北京に挑んでしまったのが敗因。実力が足りなかったということ。4年間やってきて、こんなはずじゃなかったという思いが強い」。レース後のコメントには悔しさがにじみ出ていた。

 一方、国内では9月に開催された全日本選手権男子シングルスカルで、3連覇を達成。自らが持つ大会最多優勝回数を更新する10度目の優勝を果たした。北京五輪で「気持ちが切れてしまったと」と語っていた武田だが、帰国当日の午後には早くも練習を開始。2位の選手に10秒以上の差をつけて、第一人者としての貫禄をみせつけた。

 注目は2012年のロンドン五輪。武田はまだ明言を避けているものの、「子どももかみさんも『次はロンドンだね』と言ってくれている」と4年後を見据えている。いずれにしても2009年は次なる目標に向けて、新たな一歩を踏み出す1年になりそうだ。

<佐伯、1次リーグで敗退>

 シドニー五輪では4位。8年前に一歩及ばなかったメダルを狙った佐伯は、アテネ五輪代表の楠原千秋(湘南ベルマーレ)とのペアで大舞台に挑んだ。ボートの武田と同様、佐伯・楠原組も1次リーグで米国、キューバなどの強豪国と顔をあわせる組み合わせ。初戦の米国ペアとの対戦は、0−2(12−21、15−21)のストレートで敗れた。決勝トーナメントに進出できるのは上位2組のため、絶対に負けられない次のノルウェー戦。だが、第1セットを8−21で落として波に乗れない。第2セットは粘ったが18−21と及ばず、2戦連続のストレート負けとなってしまった。
(写真:楠原との元同僚コンビで戦った佐伯(左))

 最終のキューバ戦も好ゲームを展開したものの、結果は0−2(18−21、17−21)。残念ながら3試合で1セットも取れず、3戦3敗で1次リーグ敗退となった。「結果を出すことはできませんでしたが、この北京の地で学んだこと、そしてこの6年経験してきたことを、これから育っていく選手たち、そして日本のビーチバレー界、スポーツ界に、伝えていくことが、私のこれからの使命だと考えています」。今大会はシドニー後に誕生した長男も現地へ応援に駆けつけた。家族、スポンサー、ファンの支えで再び五輪で戦えたことに佐伯は充足感を漂わせていた。

 五輪後も佐伯・楠原組は8月29〜31日のJBVツアー2008第4戦のお台場大会、9月5〜7日のJBVツアー2008第5戦岡山大会でともに優勝。年間王者に輝いた。9月13〜15日のふくいカップJBVグランドスラム美浜大会、続く9月20〜21日に東京・六本木で行われたJBVチャンピオンシップでも初代チャンピオンに輝くなど、国内で強さをみせた。
「スポーツは楽しいものであると同時に、勝負の厳しさも教えてくれます。何より、一生懸命やれば何だってできるという自信を与えてくれる」
 シドニー後に結婚、出産を経験して現役復帰した佐伯はママさんプレーヤーのパイオニア的存在。現在は松山で平日は“主婦”、そして休日を中心に全国各地のバレー教室やイベントに参加するなど、精力的な活動を行っている。

<弓道・宮本、全日本実業団大会で2冠>

 2008年のダイキ弓道部は、目標に掲げていた全日本勤労者大会、国体、全日本実業団大会での優勝はいずれも叶えることはできなかったが、10月18日、19日に東京で開催された全日本実業団大会では近的団体で3位入賞を果たした。産業別(金融・商事の部)でも2位に入り、女子個人では宮本早苗(ダイキ)が近的と遠的の両方で優勝を飾った。また5月1日に大阪で開かれた住吉大社全国遠的大会では岩崎留美が4位の成績を残した。
(写真:ダイキ弓道部の選手たち、左から山内、石田、入船、宮本、原田、岩崎)

 ただ、成年女子県代表(3名)として選ばれた岩崎、山内絵里加、入舩由布子が出場した四国地区国体予選では、近的で最下位に沈んだことが響き、4県中3位。国体出場を逃した。全体的にみれば満足できる結果が残せなかった1年だったと言えるかもしれない。

 また中学生のジュニア部門では8月16、17日に行われたJOCジュニアオリンピックカップ全国中学生大会の女子団体でダイキジュニア(松田唯香、本田沙貴、向井蘭)が決勝トーナメントで準々決勝まで勝ち進み、5位入賞をおさめた。


 ボート、ビーチバレー、弓道――それぞれの舞台で選手たちは自らの立てた目標に向かって、全力で試合に臨んだ。この経験がどのように活かされ、どんな花を咲かせるのか。2009年のダイキスポーツに注目したい。

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