今シーズン、女子バレーボールのJTマーヴェラスは開幕から25連勝し、早くもセミファイナル進出を決めた。石原昭久氏を新監督に迎え、韓国からアジアNo.1アタッカーの呼び声高いキム・ヨンギョン、元全日本の山本愛(旧姓・大友)と石川友紀を加えたJTマーヴェラス。全日本でも司令塔を務める竹下佳江を中心としたコンビバレーで他を圧倒している。チームを牽引しているのが、入社4年目にしてキャプテンに就いた位田愛だ。昨シーズンは入れ替え戦を制し、首の皮一枚で残留を決めたチームが、どのようにして変貌を遂げたのか。スポーツジャーナリスト二宮清純がキャプテンを直撃した。


 コート内でのコミュニケーションを大切に

二宮: レギュラーラウンドも4試合を残すのみとなりました。JTマーヴェラスはここまで25勝1敗の好成績を誇っています。圧倒的な強さの秘密は何だと思われますか?

位田: 一人ひとりが与えられた仕事をしっかりとこなしていることが、25連勝という結果をもたらしたのだと思います。

二宮: 今シーズン、位田選手は高木理江選手からキャプテンを引き継ぎました。新しく指揮官となった石原昭久監督からはどんな注文を?

位田: 私自身、中学からバレーをやってきて、キャプテンとなったのは初めてのこと。石原監督にまず言われたのは「周りが迷わないように、自分の考えをしっかりともつこと」というものでした。

二宮: 全日本でもキャプテンを務めた竹下選手からはどんなアドバイスを?

位田: キャプテンなんて初めてのことで、最初はどうしたらいいかわからない状態だったんです。でも、竹下さんから「思ったようにやればいいんだよ」って言ってもらえたので、自分なりにやってみようと気持ちを切り換えることができました。

 サーブレシーブへのこだわり

二宮: 位田キャプテンの考えとは?

位田: チームの中には私よりも年上の方が多いので、私が特に何も言わなくても、それぞれの仕事をやってくれるんです。ですから特に何かを言うというわけではなく、まずはコート上でも日常生活でも、自分の姿を見てもらおうと思ってやってきました。それで下の子がついてきてくれればいいなと。

二宮: 特にどんなプレーを重視していますか?

位田: 私はサーブレシーブとレシーブの要としてレギュラーに入っていると思っています。攻撃面では他の選手で私よりもいい選手はたくさんいるんです。それでも監督が自分を起用するのは、レシーブ面を評価されてのこと。それだけは誰にも負けたくないですね。

二宮: チームの守備を支えているのは自分だと。

位田: そういう意識は強くもっています。サーブレシーブが崩れたらいい展開にもっていくことはできません。マーヴェラスは竹下さんをいかしたコンビバレーをしてこそのチーム。そこまでもっていけるか否かはサーブレシーブがカギとなる。ですから、いいも悪いも自分にかかっていると思いながらやっています。

二宮: もともとサーブレシーブは得意だったのですか?

位田: はい。高校時代、今と同じシステムでサイドがレシーブをしていたので、サーブレシーブはよく練習していたんです。徹底的に鍛えてもらったので、その頃から自信をもっていました。

二宮: キャプテンとしてチームに対してはどのようなことを心がけましたか?

位田: コート内でのコミュニケーションを大事にしています。本来はコートに入ってしまえば、年齢は関係ありません。昨シーズンまでは練習でも試合でも、何か遠慮している感じがあったんです。本当は「もっとこうして欲しい」と気づいたことがあっても、お互いに言い合うことができなかった。自分自身、それがチームの課題だと思っていたので、今シーズンはしっかりとコミュニケーションを取るようにしました。

(Vol.2につづく)

位田愛(いんでん・あい)プロフィール>
1987年4月3日、三重県生まれ。ウイングスパイカー。母親の影響を受け、中学からパレーを始める。津商業高校ではインターハイ、国体、春高バレーに出場。2006年、JTマーヴェラスに入団した。昨シーズン、レギュラーを獲得し、正確なレシーブで守りの要として活躍。プレミアリーグではサーブレシーブ成功率5位に入った。今季より新キャプテンに就任。チームの飛躍を支えている。


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