4年に1度のバスケットボールの祭典「FIBA世界バスケットボール2010」が28日に開幕する。各大陸の予選を勝ち上がった強豪国が一堂に会し、世界の頂点を目指す。9月23日からチェコで開催される女子の大会では、日本代表が初のベスト8進出を狙う。今や日本女子バスケ界の顔となったキャプテンPG大神雄子を筆頭に、圧倒的な運動量を誇るPG吉田亜沙美や191センチの長身CF渡嘉敷来夢といった史上最強メンバーが世界の強豪たちに挑む。

 勝敗のカギを握る“Wガード”

 プロ第一号として日本の女子バスケ界を牽引してきた大神。08年には日本人2人目となる米プロWNBA選手として世界最高峰の舞台で活躍した。ルーキーながら大神はPGの控えとして34試合中23試合に出場し、56得点、14アシストをマークした。その時に学んだのは技術面以上にメンタルの強さだった、という。
「練習からして“絶対に負けたくない”という気持ちで臨んでくる。それこそ(ライバルたちは)ケンカするくらいの意気込みで向かってくるんです」

 彼女の勝利への貪欲さは本場仕込だ。世界を相手にもそのスタイルは決して変わらない。鋭いドリブルと日本人女子では珍しいワンハンドシュートを武器に、上背のある選手にも決してひるまず果敢に向かっていく。もちろん、司令塔としての意識も高い。
「パスひとつとっても(ボールの)縫い目が見えるくらいまで精度を上げたい。咄嗟にドリブルで切り込んでいって、すきを与えずパスといったとき、なかなか縫い目に合わせることができないと思うんです。シューターがうちやすくするためにはどうすればいいか。常にそのことを意識してやっています」
 司令塔に不可欠な繊細なメンタリティと確かなテクニック、そして激しさとスピード感あふれる彼女のプレーは見る者を魅了する。

 自らドリブルで切り込み、チャンスメークするのが大神なら、適格な判断力と素早いパスで流れをかえられるのが吉田亜沙美だ。相手の意表を突く独創的なパスセンスは、中川文一ヘッドコーチが「過去ナンバーワン」と賞賛するほど。また、身長165センチながら垂直とびでは代表でトップの58センチを誇る。昨秋のアジア選手権ではリバウンド王に輝き、身体能力の高さを見せつけた。体格では上回る世界を相手に対し、速い展開から勝機を見出したい日本にとって、大神と吉田の「Wガード」への期待は大きい。

 19歳、191センチ大型CFに注目!

 そして、中学時代から将来を嘱望され、日本が誇る身長191センチの大型CF渡嘉敷にも注目したい。ゴール下での攻防戦はもちろん、ドライブインや速攻なども得意で、走力にも自信をもつ。日本人離れしたボディバランスのよさから繰り出されるダイナミックなプレーは見ている者を圧倒させる。海外勢とのゴール下での1対1の勝負は必見だ。

 昨秋のアジア選手権で3位となり、今大会の切符をつかみとった日本は、04年のアテネ五輪以来となる世界の舞台に挑む。予選の相手はロシア(世界ランキング2位)、チェコ(同6位)、アルゼンチン(同10位)。いずれも日本(同14位)より格上だが、日本代表を指揮する中川ヘッドコーチは「過去最高のメンバー」と自信に満ち溢れている。

 その他のグループには2大会ぶりの優勝を目指す米国や、前回覇者のオーストラリア、3大会連続準優勝のロシアなど世界の強豪国がズラリと並ぶ。果たして日本の力はどこまで世界に通用するのか。2年後のロンドン五輪に弾みをつけるためにも、史上初の8強入りを本気で目指す。
 
 北京五輪決勝の再現となるのか!?

 女子よりも一足先に開幕する男子は、4大会ぶりの優勝を目指す米国、そして前回覇者のスペインが有力候補となる。両者は北京五輪決勝で対戦しており、米国が終始リードを奪ってスペインを下し、2大会ぶりの金メダルに輝いた。米国は今季NBA得点王のSFケビン・デュラントを柱に再び王座奪還を狙う。

 その米国の対抗馬の一番手に挙げられているのが連覇を目指すスペイン。同国が誇るNBAプレーヤーのPF/Cパウ・ガソルは不在だが、前回優勝メンバーのCマルク・ガソル、PF/Cフェリペ・レジェスなどは健在だ。そして若干14歳でプロデビューし、17歳で出場した北京五輪では素早い動きと巧みなパスで鮮烈な印象を残した司令塔PGリッキー・ルビオも出場する。ルビオはディフェンスにも長け、相手の攻撃のリズムを狂わせるスティールは見ものだ。この2年間でどこまでレベルアップをしているのか、世界が注目している。

 22日に行なわれた強化試合ではデュラントが両チーム通じて最多の25得点をマークし、米国が86−85で辛勝している。両者の実力はほぼ互角。果たして米国が4大会ぶりに頂点に立つのか。それともスペインが北京五輪の屈辱を晴らして連覇を達成するのか。プライドをかけた男たちの火花が散る。

 4年に1度の世界一決定戦! FIBA世界バスケ2010を放送! 再放送やハイライト放送も充実


【主な放送予定】 放送はすべてJ SPORTS
男子:8月28日〜9月12日
女子:9月23日〜10月3日

<男子予選ラウンド>
8月28日(土)24:45〜(生中継) 米国 × クロアチア
8月29日(日)22:20〜(生中継) スロベニア × 米国
8月30日(月)27:20〜(生中継) 米国 × ブラジル
9月1日(水)24:50〜(生中継) イラン × 米国
9月2日(木)22:20〜(生中継) 米国 × チュニジア

<男子決勝トーナメント>
9月4日(土)23:50〜(生中継) 1回戦−1
9月4日(土)26:50〜(生中継) 1回戦−2
9月5日(日)23:50〜(生中継) 1回戦−3
9月5日(日)26:50〜(生中継) 1回戦−4
9月6日(月)23:50〜(生中継) 1回戦−5
9月7日(火)06:00〜       1回戦−6
9月7日(火)23:50〜(生中継) 1回戦−7
9月7日(火)26:50〜(生中継) 1回戦−8

9月8日(水)23:50〜(生中継) 準々決勝−1
9月8日(水)26:50〜(生中継) 準々決勝−2
9月9日(木)23:50〜(生中継) 準々決勝−3
9月8日(木)26:50〜(生中継) 準々決勝−4

9月11日(土)24:50〜(生中継) 準決勝−1
9月11日(土)27:20〜(生中継) 準決勝−2
9月12日(日)24:50〜(生中継) 3位決定戦
9月12日(日)27:15〜(生中継) 決勝

<女子予選ラウンド>
9月23日(木)19:45〜(生中継) 日本 × ロシア
9月24日(金)19:50〜(生中継) アルゼンチン × 日本
9月25日(土)27:05〜(生中継) 日本 × チェコ

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