二宮: 昨年4月に引退してからも柔道の解説などでお忙しそうですね。もう闘いの第一線から退いて半年以上が経ちます。あまり体型は変わっていない?
吉田: むしろウエイトが増えて、体の調子がおかしいです(苦笑)。現役時代に減量を繰り返す生活を続けていた影響で、脳が「食べられる時に食べないとダメだ」っていう風になっちゃっています。だから無理してでも食べようと思っちゃうんですよね。やっぱり人間、汗かかないとダメです。そのほうがよく眠れるし、食事もうまい。


二宮: 今回は「そば雲海 黒麹」を飲みながら、楽しいお話をたくさん伺いたいと思います。
吉田: 僕も焼酎をよく飲むんで、うれしいですね。普段は食事と一緒にビールから入って、その後は焼酎。勢いがつけばテキーラとかを飲むこともあります。

 飲み会もすごかった全日本合宿

二宮: 吉田さんは明治大学柔道部の出身です。大学時代は先輩から相当、飲まされたでしょう?
吉田: だいぶ連れ回されました。明大柔道部はよく新宿2丁目に行っていましたね。

二宮: あの界隈はゲイバーが多い(笑)。
吉田: 最初はビックリしました。「なんで、こんな男の人たちが、オネェ言葉でしゃべっているんだろう?」って(笑)。僕らは体育会系でモテるので、親しくなったママのお店に行くと安く飲ませてもらいましたね。

二宮: アハハハ。大学時代から世界学生選手権で2度優勝するなど、国際舞台も経験してきました。海外でのお酒の思い出は?
吉田: 大学3年生でフランス遠征に行った時に、現地のワインで完全に酔っぱらってしまいました。食事と合わせて2本くらい飲んだら、飲み慣れていないせいか、目が廻って歩けなくなってしまったんです。意識はあるんだけど、目の前の画面が揺れている感じ。これは初めての体験でした。その後、周りのみんなが外へ遊びに行く中、僕はひとりだけホテルに残されて残念な思いをしましたよ。

二宮: 一般的に柔道家というとお酒に強いイメージがあります。
吉田: 古賀(稔彦)先輩とかは、めちゃくちゃ強かったですね。最近はそうでもないと思いますが、当時の全日本合宿では練習だけじゃなく、その後の飲み会もすごかった(笑)。朝6時起きなのに、夜中の3時、4時くらいまでへべれけになるまで飲んでいましたよ。そのまま朝のトレーニングに突入して、汗とアルコールを出す(苦笑)。そしてトレーニングが終わったら、午前中の練習開始まで爆睡。そして午前中の練習が終わったら、また爆睡。午後の練習で汗をかいて夜の飲み会に備えるという1日でした。何の合宿だったか、よくわかんなかったですね(笑)。

 アトランタ五輪、古賀先輩との悔し酒

二宮: そして92年のバルセロナ五輪で金メダル。優勝後の一杯はさぞ、おいしかったでしょう?
吉田: いやいや、その時は全く飲めませんでした。栄養サポートをしていただいた明治製菓SAVASの青山(晴子)さんと一緒に食事に行ったんですが、減量のせいで胃が受け付けなかったんです。

二宮: 吉田さんはバルセロナ五輪前の国内選考会で無理な減量がたたって痛い敗戦を喫してしまった。それがきっかけで青山さんの栄養指導を受けたわけですね。無理なく減量するため、1カ月くらい前からカロリーを徐々に減らすメニューに切り替えたと以前、聞いたことがあります。
吉田: あれは今の僕なら耐えられないですね。五輪に出たい、金メダルを獲りたいという目標があったからできた。お腹いっぱい食べたくても食べられなくて本当にしんどかったです。午後の練習前に間食で和菓子1個は食べてもいいと言われていたので、羊羹1個とか大福1個といったおやつを唯一の楽しみにしていました。

二宮: しかもバルセロナでは、古賀さんと大会前に乱取りをしていた際に、古賀さんが左足を負傷し、大騒ぎになりました。古賀さんは、その前のソウルでもメダルなし。2大会連続で表彰台に立てないとなると、彼の柔道人生が台無しになってしまう。後輩として精神的にもお酒を飲める状況ではなかったのでは?
吉田: 次の日が古賀先輩の試合でしたからね。気分的にも飲んでいる場合じゃなかったです。先輩が金メダルを獲ってくれて心の底からホッとしました。ただ、古賀先輩も痛み止めの影響か十二指腸潰瘍を患っていて、結局、現地では祝杯をあげずに帰国したんですよ。

二宮: 2階級制覇を狙った4年後のアトランタ五輪では、古賀さんは銀メダル、吉田さんはまさかの初戦敗退。この時は悔しかったでしょう?
吉田: むしろ飲んだのはこの時でしたね。古賀先輩と選手村を出て、別のホテルを借りて毎晩飲んでいました。「これじゃ日本帰れねぇな。どうしよう?」とか言いながら……。柔道は日本にとって勝って当然の競技ですから、負けて帰れば世間からどんな扱いを受けるか分かっていました。まぁ、今になってみれば天国と地獄、両方味わえてよかったなと思っています。

二宮: だいぶ、お酒も進んできましたが、「そば雲海 黒麹」はいかがですか?
吉田: おいしいです。仕事でお酒が飲めるのはなんだか幸せな気分ですね。

二宮: 柔道家、格闘家でも焼酎好きは多いでしょう?
吉田: 焼酎は悪酔いしないのがいいですよね。みんなでワイワイ言いながら長く楽しく飲める。みんなが盛り上がっているのを見ながら、自分のペースで飲む。そういう雰囲気が好きなんですよね。

 1日で大金がパー

二宮: 総合格闘技にデビューしてからは、また柔道とは違った緊張感をリングで味わったことと思います。飲みっぷりに変化は?
吉田: いやぁ、よく飲みましたね。ファイトマネーを無理やり使って飲んでいた感じです。柔道時代からの友人で一足先に格闘技の世界に入っていた高阪(剛)と銀座のクラブでテキーラを2時間半くらいで2〜3本空けたこともあります。アイツ、負けず嫌いなんでショットで注いできたんです。僕も負けられないから同じように飲んでいたら、最後はベロンベロンになりました(笑)。

二宮: 吉田さんを一言で表現するとすれば「勝負師」。柔道や格闘技のみならず、ギャンブルでも勝負をかけることで有名です。最近、ラスベガスへ行かれることは?
吉田: たまに行きますよ。最近は全然ダメですね。カジノって結局は負けるようになっているんですよ(苦笑)。勝った時にやめればいいんですけど、これが難しい。ついつい、もっと勝ちたいと思っちゃう。

二宮: 最初はある程度、勝たせてくれるんですよね。そこで欲を出すと、今度は一気に持っていかれる……。一番、いい時でどのくらい稼ぎましたか?
吉田: 具体的な金額は内緒ですけど(笑)、この前、バカラで元手の金額から10倍以上に増やしました。

二宮: それはすごい!
吉田: ただ次の日には、全部なくなりましたけど(苦笑)。最初は、そんなに勝っているとは思わなかったんです。でも、数えてみたら、すごい金額になっていた。嫁と一緒に行っていたんで、「お小遣いあげなきゃ」と欲張ってしまった。その時点で何か買っておけばよかったですね……。1日で大金になったので、「待てよ、これはもっと勝てるな」と思っていたら、持っていった金が全部なくなっちゃった(笑)。

二宮: そこそこ勝ったところで止めずに、勝負に出たところが吉田さんらしい(笑)。
吉田: 楽しかったですよ。ストレス発散にもなりましたし、嫁も時計とか買い物ができたようなので、それを含めれば、まぁ良しとしないといけないでしょう。

(後編につづく)

<吉田秀彦(よしだ・ひでひこ)プロフィール>
1969年9月3日、愛知県出身。小学校4年生から柔道を始める。講堂学舎で腕を磨き、世田谷学園高校3年時にはインターハイを制覇。明治大学では世界選手権2連覇を達成する。92年のバルセロナ五輪78キロ級ではオール一本勝ちで金メダル。以降、アトランタ、シドニーと3度の五輪を経験する。99年、世界選手権90キロ級優勝。02年に総合格闘技に柔道家として参戦。ホイス・グレイシー、ヴァンダレイ・シウバら世界の強豪と激闘を演じる。09年の「Dynamite!!」では石井慧との柔道金メダル対決で判定勝ち。10年4月の引退興行〜ASTRA〜をもって第一線を退いた。引退後は、柔道解説などの傍ら、後進の育成にも力を注いでいる。吉田道場名誉師範。




★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

本格焼酎「そば雲海」に黒麹仕込みの「そば雲海 黒麹」が登場。伝統の黒麹と九州山地の清冽な水で丹精込めて造り上げた、爽やかさの中に、すっきりと落ち着いた香り。そしてまろやかでコクのある味わいが特徴です。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
芝大門 金太郎
東京都港区芝大門2−3−6 大門アーバニストB1階
TEL:03-6459-0018
営業時間:
月〜木  11:30〜23:00(L.O.22:00)
金・祝前 11:30〜23:30(L.O.22:30)
※土・日・祝は休み

☆プレゼント☆
吉田秀彦さんの直筆サイン色紙を本格焼酎「そば雲海 黒麹」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「吉田さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、吉田秀彦さんと楽しんだお酒の名前は?


 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
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