二宮: 松木さんの実家は日本橋にあるうなぎ屋「近三(きんさん)」。人気の老舗ですね。
松木: 明治初期から四代続いています。僕は東京生まれですが、もともと松木家は近江がルーツだそうです。それで四代前の曾祖父が上京してうなぎ屋を始めたと聞いています。


 力士でも名前は「シュート」

二宮: しかも、おじいさんは力士だったとか!
松木: 愛知県岡崎市出身で「葵龍(あおいりゅう)」という四股名で十両まで行きました。ケガをしたために若くして引退したんですけどね。活躍していたのは大正末期ですから、僕は力士としての姿は写真でしか見たことがありません。それほど体も大きくなく、どちらかというと筋肉質の小兵力士だったようですね。

二宮: おじいさんの血を引いたのか、いとこの息子さんも力士になりましたね。
松木: 貴乃花部屋に入りました。まだ四股名は本名の「松木」。しかも下の名前が「柊斗(しゅうと)」です。力士なのに笑っちゃうでしょう(笑)。おそらく僕のこともあって、親も最初はサッカー選手にしようと思ったのではないでしょうか。

二宮: 名前が「シュート」だけに外掛けとか足技が得意そうですね(笑)。今春の入門時で114キロと体格も立派です。
松木: 16歳にしては大きいほうかもしれませんが、相撲の世界ではまだ小兵でしょう。春にデビューして、今場所は序の口の西9枚目です。厳しい世界ですから大変だと思いますけど、祖父に追いつけ追い越せで行けるところまで頑張ってほしいですね。

 焼酎にそばが長寿の秘訣!?

二宮: おじいさんが力士ということは、お酒もかなり好きだったのでは?
松木: そうですね。うちの祖父は100歳以上生きたんですけど、毎日晩酌をしていましたね。

二宮: 力士は若い頃に体づくりで暴飲暴食をして短命の方も少なくありません。長寿の秘訣はどこにあったのでしょうか。
松木: 早く引退して体を酷使しなかったこともあるんでしょうね。僕が印象に残っているのは毎日、晩酌のおともに、豆腐、トマト、刺身をちょっと食べていたことです。決してお酒の量は多くなかったですけど、焼酎やビールを飲んだ後、必ず最後に締めでそばを食べていました。近くのそば屋に「最後に1枚、もりそばを持ってこい」と祖父が言っていたのを今でも覚えていますよ。自分の晩酌が終わった頃にそばを届けてくれと。

二宮: 締めにラーメンを食べる人は多いですが、そばとは健康的ですね。
松木: だから、そば焼酎を飲んで、そばを食べるのがいい。僕はそう思っています。この「那由多(なゆた)の刻(とき)」もそばに合いそうですね。

 澤は男子でも通用する!

二宮: なでしこジャパンが来年のロンドン五輪出場を決めました。W杯優勝でプレッシャーもかかるなか、ひとつも負けなかったのは素晴らしい。
松木: 頑張りましたね! アジアの女子は強いですからね。初戦のタイを除けば、どこも同レベルでどちらが勝ってもおかしくなかった。W杯優勝の勢いをいい形で持続できたのではないでしょうか。僕は昨年、なでしこリーグのオールスター戦で監督を務めさせてもらったのですが、その時のチームにGKの福元美穂(岡山湯郷)とか、今の代表メンバーが何人かいたんです。だから今回は、いつも以上に応援に力が入りました。

二宮: キャプテンの澤穂希(INAC神戸)は同じ読売が母体のチームにいましたから、昔からよく知っているのでは?
松木: ええ。野田朱美(日テレベレーザ監督)、大竹七未(東京国際大監督)らが主力だった時代から、澤も活躍していました。当時から技術的にもうまくて、サッカーをよく知っていましたね。何より彼女は頑張り屋です。試合でも若い選手以上に、よく走っていますよね。若い頃から手を抜かなかったことが今につながっているんでしょう。

二宮: 若い選手に「苦しい時は私の背中を見なさい」と鼓舞したエピソードなど、まさにリーダーの鑑ですね。
松木: 男子チームに入れてもいいんじゃないかなと思わせるぐらいですね。昔、女子ゴルフのアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が男子ツアーに出場したことがありましたけど、サッカー界でもそんなケースを見てみたいくらいの選手です。

二宮: フィジカルの強さはともかく、気持ちやテクニックの部分なら通用するのでは?
松木: 問題ないと思いますよ。あと宮間あや(岡山湯郷)のフリーキックも男子の中でも通用するでしょう。男子でも彼女のように両足で精度の高いキックが蹴れる選手はそうはいないですよ。

 花束が機関銃に!?

二宮: 男子に目を向けてみると、W杯アジア3次予選で日本は11月にタジキスタン、北朝鮮とのアウェー2連戦を控えています。松木さんも現役時代、アウェーでの思い出はたくさんあるのでは?
松木: 今の選手より僕たちのほうがあちこち行っていると思いますね。ロシアのハバロフスクとかブルネイにも遠征したことがあります。それこそ11月に日本代表が行く平壌にも行きました。メキシコW杯予選の時ですけど、約10日間滞在しましたね。ホテルの近くをジョギングしたり、歩いたりしていると、木でつくった銃剣のようなものを担いだ子供たちが行進の練習をしていたのが印象に残っています。メインストリートは普通でしたけど、少し裏路地へ入ると全然、雰囲気が違いましたね。

二宮: 滞在先の環境は?
松木: トイレットペーパーが異常に硬かったです。もう和紙より硬くて段ボールに近いくらい(笑)。とてもじゃないので、「これじゃ選手が10日間もたない。トイレットペーパーを買いに行きたい」と森(孝慈)監督にお願いしました。それで北朝鮮の通訳の方にマーケットに連れて行ってもらったんですけど、ビックリしましたね。日本のビールにタバコ、カップヌードルなど、ありとあらゆるものが揃っているんです。

二宮: へぇー! それはすごい。どこから調達したんでしょうね。昔はアウェーに行くと食事面での嫌がらせもあったと聞きます。その点はいかがでしたか?
松木: 大丈夫でしたよ。ただ、部屋の中で「いやぁ、せっかく平壌まで来たから焼き肉食いたいなぁ」とみんなで話していたんですよ。そしたら通訳から「今日の夕食は焼き肉です」と(笑)。「え、会話を聞いていたんじゃないか?」とビックリしました。

二宮: それって盗聴されていたんじゃないですか(笑)。
松木: どうなんでしょうか(笑)。そもそも最初に入国した時点から驚かされましたからね。僕らは北朝鮮に渡る際、相当の覚悟で出国したんですけど、空港に着いたら花束を持った小さな女の子たちと、幹部みたいな格好をした人が待ち構えていたんです。「おいおい、歓迎されてるぞ!」と飛行機から降りて花束をもらおうとしたら、一旦機内に戻された。聞けば他に要人が来ていて、僕らの飛行機をその要人が乗ってきたものと間違えたとか(笑)。あらためて僕らが飛行機を降りていくと、機関銃を持った恐い顔の人たちが出迎えてくれて、気軽に写真も取れない雰囲気でしたね。花束が機関銃に変わっちゃったんですよ(苦笑)。

二宮: それは、スゴイ体験でしたね(笑)。ザックジャパンも11月のアウェー2連戦では、そういったアウェーの洗礼にも気をつけないといけない。
松木: 何ごとにも動じないことが大事ですよね。なでしこに続いて、男子代表も本当に頑張ってほしいです。

二宮: 楽しい時間はあっという間です。あらためて「那由多(なゆた)の刻(とき)」はいかがでしたか。
松木: 熟成されていておいしいので、いくらでも飲めそうです。このところ、僕は「アンチエイジング」を生き方のテーマにしています。こういったお酒を、ゆっくりおいしくいただく。それが体に良いのではないでしょうか。今度はぜひ、そばを食べながら、そば湯割りでご一緒しましょう!

(おわり)

<松木安太郎(まつき・やすたろう)プロフィール>
 1957年11月28日、東京都生まれ。小学校4年生から読売サッカークラブ(現東京ヴェルディ)に入り、16歳でトップチームに最年少選手としても登録される。DFとしてクラブの日本サッカーリーグ1部昇格に貢献。日本リーグではリーグ優勝3回、天皇杯優勝3回を果たし、主将も経験する。84年からは日本代表として、ロサンゼルス五輪予選、メキシコW杯予選、ソウル五輪予選などに出場する。90年に現役を引退すると、読売サッカークラブのユース監督、ヘッドコーチを経て、93年にヴェルディ川崎(当時)監督に就任。同年、クラブをJリーグ初代王者へと導く。さらに翌年もグランドチャンピオンシップを制し、2年連続の日本一に。その後、セレッソ大阪や東京ヴェルディ1969(当時)の監督を再び務め、現在はテレビなどでのサッカー解説を中心に幅広く活躍中。


★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

長期に渡り、樫樽の中で貯蔵熟成した長期貯蔵の本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」。豊かな香りとまろやかなコクの深い味わいが特徴。国際的な品評会「モンドセレクション」2011年最高金賞(GRAND GOLD MEDAL)受賞。

提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
日本料理 源氏香
東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目1番1号 ロイヤルパークホテル
TEL:03-3667-1111
営業時間:
昼食 11:30〜15:00(L.O.14:00)  
夕食 17:30〜22:00(L.O.21:00)

☆プレゼント☆
松木安太郎さんの直筆サイン色紙を長期貯蔵本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」(720ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「松木安太郎さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、松木安太郎さんと楽しんだお酒の名前は?


 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。
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