4月21日、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで、北京五輪競泳の日本代表選手団の発表記者会見が行われ、派遣メンバー31人(男子16、女子15)が正式に発表された。
 いずれも20日に終了した日本選手権で日本水連が定めた厳しい選考基準を突破した精鋭たちだ。会見には、男子平泳ぎの北島康介(日本コカ・コーラ)、末永雄太(チームアリーナ)、同背泳ぎの森田智己(セントラルスポーツ)、女子背泳ぎの伊藤華英(セントラルスポーツ)、中村礼子(東京SC)、同バタフライの中西悠子(枚方SS)の6選手が出席、北京五輪への抱負を語った。
(写真:左から末永、森田、北島、中西、伊藤、中村)
 北京五輪の競泳競技は、8月9日から17日までの9日間、行われる。代表メンバーのうち、五輪経験者は北島、中西(いずれも3大会連続出場)を含め、8名。23名は、初出場となる。
 日本選手権男子200メートル決勝で5年ぶりに自身の日本新記録を塗り替えた北島は、「200メートルは良いレースができたので、まずまずかなと思うが、日本選手権は自分の力を出し切れた部分と出し切れなかった部分がある」と振り返り、「本番では、確実に自分の力を全部出し切れるような泳ぎがしたい。日本選手権で見つかった課題を、トレーニングをきちんとして本番に向けて力をつけていきたい。本番では日の丸を一番高いところに掲げたい」と、アテネ五輪に続く金メダル獲得を力強く宣言した。

 アテネ五輪女子200メートルバタフライ銅メダリスト中西悠子(枚方SS)は、3度目の五輪に向け、「いつの間にか日本チームの中で最年長になってしまっていて、北京では27歳になるが、『27歳、まだまだ伸び盛り』と言えるように結果を出したい。五輪では銅メダルしか獲っていないので、良い色のメダルがとりたい」と意欲を見せた。

 日本競泳陣は、アテネ五輪で金3個を含む8個のメダルを獲得した。鈴木陽二ヘッドコーチは「今年に入って、世界的に記録が伸びている。北京五輪は、非常に厳しい戦いになると。今までの五輪に比べて、相当頑張らないと決勝に残るのが精一杯という印象」と危機感を示した上で、「午前中に準決勝と決勝があるので、準決勝をどう戦うか、というところが重要になる。アテネ以上の成績を、と言いたいところだが、できるだけ近づけていけるように頑張っていきたい。ミーティングをしっかりやりながら、チーム力を高めて北京に臨みたい」と抱負を語った。

このほか、会見に出席した選手のコメントは以下のとおり。

末永雄太(チームアリーナ)
「オリンピックに行こうと無我夢中で泳いだ1週間だった。決まったときには自分が五輪にいけるという実感がなかったが、こうしてジャパンのジャージに袖を通して、偉大な先輩たちの横にいられることで、少しずつ実感がわいてきた。北京では先輩方の足を引っ張らないように、たくさんのことを学んで、4月の成績を超える結果を残して、最高の夏にしたい」

森田智己(セントラルスポーツ)
「日本選手権では代表がとれてよかったなというのが第一。タイム的には、日本記録を出してはずみをつけたかったし、合宿で力をつけて臨んだつもりだったが、代表選考会の雰囲気の中で思ったような泳ぎができなくて残念だった。北京でもメダルが欲しいが、まずは1つずつのことをしっかりやっていきたい」

伊藤華英(セントラルスポーツ)
「100メートルでは自分の実力が最大限出せたレースができたが、200はちょっと集中力が足りなかったかなと。反省点が残ったレースだったが、日本選手権で悔しい思いをしたので、その思いを胸に、初めての五輪なので、相当の覚悟をもっていかないと決勝にも残れないと思うので、気を引き締めて、全力で戦いたい」

中村礼子(東京SC)
「日本選手権を振り返ると、100メートルでは予選、準決勝、決勝とタイムを落としてしまった。大事なところで結果を出せなくてすごく悔しい思いをした。200メートルではしっかり課題を持って、必ず優勝して代表権を得ようと思っていた結果、優勝して、課題をクリアできたが、ミックスゾーンでカメラの前で自然に涙が出てしまった。自分でも気づかない以上に悔しかったんだなと感じた。五輪に向けては、言葉はよくないが、自分は一度死んだつもりで、覚悟をもって練習して、アテネより良い色のメダルを日本に持って帰ってきたい」

※北京五輪競泳日本代表メンバー
<男子>
自由形:松田丈志(ミズノ)、奥村幸大(イトマン)、内田翔(群馬SS)、松本尚人(FREESTYLE)、物延靖記(セントラルスポーツ)、佐藤久佳(日本大)
背泳ぎ:森田智己(セントラルスポーツ)、宮下純一(ホリプロ)、入江陵介(近畿大)、中野高(ミズノ)
平泳ぎ:北島康介(日本コカ・コーラ)、末永雄太(チームアリーナ)
バタフライ:岸田真幸(アクラブ調布)、藤井拓郎(KONAMI)、柴田隆一(チームアリーナ)、松田丈志
個人メドレー:藤井拓郎、高桑健(自衛隊体育学校)

<女子>
自由形:柴田亜衣(チームアリーナ)、上田春佳(東京SC)、三田真希(KONAMI西日本)、高鍋絵美(KSGカホ)、山口美咲(近畿大)
背泳ぎ:伊藤華英(セントラルスポーツ)、中村礼子(東京SC)
平泳ぎ:種田恵(JSS長岡)、金藤理絵(東海大)
バタフライ:中西悠子(枚方SS)、加藤ゆか(山梨学院大)、星奈津美(スウィン大教)
個人メドレー:北川麻美(スウィン大宮)、春口沙緒里(大野城SC)、藤野舞子(FBインター)