NPBは低反発の統一球を導入して3年目のシーズンを迎える。いわゆる“飛ばないボール”の効果はてきめんで、導入初年度の2011年はセ・パ両リーグで前年比41.5パーセント減の939本。2012年は、前年をさらに下回る881本だった。

 想定をはるかに上回るホームラン数の減少に頭を抱える球団首脳は少なくない。
「1対0や2対1の緊迫した試合を好むファンがいることは事実だが、プロ野球ファンはクロウトばかりではない。お子さんや女性の中には“もっとホームランを見たい”という声もある。“飛ぶボール”に戻せ、とは言わないが、今のままのボールでいいかどうかについては、もう一度検証すべきだ」(セ・リーグ球団幹部)

「東日本大震災の影響などがあったとはいえ、ここ2年、プロ野球の観客動員数は減り続けている。ホームラン数の減少もその一員ではないか。サッカーのようなスコアではプロ野球の魅力は半減する」(パ・リーグ球団社長)

 果たして、現場の意見はどうなのか。投手出身者と野手出身者によって、若干ニュアンスは異なるものの、東北楽天・星野仙一監督の意見が、最も的を射ているように感じられた。

「1回決めたことをコロコロ変えちゃダメ。取りあえず3年やってみて、その結果を見て判断すればいいじゃないか」

 低反発の統一球を導入した背景には「打高投低の是正」とともに、もうひとつの目的があった。それは国際大会でのディスアドバンテージの克服である。
 これまでNPBの使用球は国際標準のボールと比べた場合、反発係数が高く、それが国際大会での不利を招いているとの指摘がなされていたからだ。

 ならば今回のWBCは“飛ばないボール”で2年間“修業”を積んだ日本の打者にとって、その成果を問う最高の舞台ということもできる。緻密な攻撃のみならず、打球の強さやスイングの鋭さでも世界を驚かせて欲しい。

<この原稿は『週刊大衆』2013年3月4日号に掲載されたものです>

◎バックナンバーはこちらから