―― 今年2月、全日本男子バレーボールチームの指揮官に、ゲーリー・サトウ監督が就任しました。新監督が目指すバレーとは?
越川: ひと言で言えば、「スマートなバレー」ですね。「その時に最も得点につながるプレーを選択しなさい」ということです。例えばスパイクで言えば、トスが乱れたとしますよね。その時に、無理をして決めにいってミスをする可能性が高いのであれば、空いている所に返して、またチャンスボールをもらうようにする。そういうバレーが求められています。

 結果よりも今やるべきこと

―― ゲーリー監督就任後、チームが最も変化した部分はどこでしょう?
越川: これまで以上に選手同士でコミュニケーションをとるようになったことですね。ゲーリーの指示で一番多いのは、テクニックやシステムのことではなく、「コミュニケーションをとりなさい」ということなんです。練習中でも、とにかく選手同士で意思疎通を図ることが要求されます。それは徹底されていますね。例えば、ブロックなしでのスパイク練習の時も、最初からブロックがいないのがわかっているのに、「ブロックがいないことを言いなさい」と言うんです。アタッカーに対して「ゼロ枚だぞ!」と。

―― クセをつけさせるためでしょうか?
越川: そうです。いつでもどんな時でも、声に出して伝え合うことをクセづけろ、と。もちろん、これまでもゲーム中にお互いにコールはしていたのですが、やっぱり抜けてしまうこともありました。でも、練習中からクセをつけることによって、ゲーム中も自然と出てくるようになりましたね。

―― 9月の世界選手権アジア最終予選では、最終戦で韓国にストレート負けを喫し、来年の世界選手権の切符を逃すなど、全日本男子はチーム再建の途上にあります。現在のチーム状態をどう感じていますか?
越川: もちろん、どの大会も出るからには本気で勝ちにいきますし、結果が出ることにこしたことはない。でも、まだ結果が出なくても、何ら不思議ではないと思っています。確かに結果は重要ですし、マスコミもファンも期待してくれているからこそ、結果に対していろいろと言うのは当然です。僕ら選手だって、早く結果は欲しい。でも、それに惑わされて、結果ばかりにとらわれてしまっては、今までやってきたことがムダになってしまう。僕らの最大の目標は、あくまでも3年後のリオデジャネイロオリンピックです。その舞台に出て、勝つために、今やっていることは絶対に必要なこと。僕はそう信じています。それに今、いろいろなことを吸収することができているので、とても充実しているんです。

 強まるリオにかける思い

―― 19日からは各大陸の王者が集結し、頂点を目指す「ワールドグランドチャンピオンズカップ」が開幕します。この大会で目指すものとは?
越川: ゲーリーが監督に就任して、これまでやってきたことが、世界にどれだけ通用するのか、自分たちが今、どのレベルにあるのか、ということを試す場。つまり、自分たちを知る大会だと思っています。もちろんホームですから、勝ちたい気持ちはありますし、勝つためにやります。でも、それ以上に観ている人が次を期待してくれるような、これから応援したくなるような内容のバレーをすることの方が、今の全日本男子にとっては大事だと思っています。

―― 3年後のリオデジャネイロオリンピックについて、今、どんな思いがありますか?
越川: 僕は今、29歳ですから、3年後には32歳になっています。年齢的にも、おそらく自分が本気で目指せる最後のオリンピックだと思っているんです。今、そのリオを目指すことができていることが、本当に嬉しい。だから3年後には完全燃焼したいと思っています。それくらいリオにかける思いは強いですね。

―― 今回のグラチャンには、越川選手のほかにも、JTサンダーズの選手が選出されています。チームにもいい影響を与えるのでは?
越川: 僕ら全日本代表の選手がどうというよりは、チームの選手が僕らがチームに戻った時に、どう感じてくれるかだと思います。そして、感じてくれる選手が多くいるチームは強くなると思いますね。今回なら、グラチャンが終わって2週間後にはレギュラーシーズンが開幕します。ですから、全日本代表の選手はみんな、その2週間で必死になると思うんです。チームに戻れば、全日本とは全く違うバレーをやるわけですから。その全日本の選手の姿を見て、チームのメンバーがどう思うか。チームの士気を高めるうえでも、重要だと思いますね。

―― 初めて日の丸を背負って戦っているセッターの深津旭弘選手とミドルブロッカーの筧本翔昂選手についてはいかがですか?
越川: 2人にとっては、今までにない経験ができていると思いますね。実際、一緒にやっていて、どんどん成長していることを感じていますので、チームに戻った時には、僕も含めて、チームがさらに強くなると確信しています。

 強いサンダーズを見せる!

――  12月7日にはVリーグが開幕します。移籍1年目の今季、サンダーズのファンにどんなバレーを見せたいと思っていますか?
越川: 自分が入ったからには、チームにとってプラスにならなければいけないと思いますし、やっぱり勝ちたいという思いが一番強いですね。それに、勝てる力を持っているチームですから、今季のサンダーズは新指揮官の下、いいチャレンジができる年だと思っています。

―― 目標はどこにおいていますか?
越川: レギュラーシーズン1位を狙える力は十分にありますから、そこを目指していくつもりです。ただ、4位以内に入れば、同じ条件でファイナルラウンドに臨むことができます。ですから、何よりもトップ4になることが重要です。シーズン前半で、僕ら全日本メンバーとチームをうまくミックスさせて、シーズン終盤、そしてファイナルラウンドにいい流れをもっていきたいと考えています。そのためにも、選手ひとり一人が自分に求められていることを理解して、それをコートの中でしっかりと表現すること。これが強くなる条件です。

―― 最後にサンダーズファンにメッセージを。
越川: とにかく強いサンダーズ、勝つサンダーズを見てほしい。そのために僕も一プレーヤーとして、ベストを尽くします!

(おわり)

越川優(こしかわ・ゆう)
1984年6月30日、石川県生まれ。小学4年からバレーボールを始め、中学時代から全国大会で活躍。岡谷工業高校(長野)3年時には主将として春高準優勝に導いた。同年のアジア大会で男子では初の高校生での全日本入りを果たす。2003年、サントリーサンバーズに入団。1年目のVリーグにて新人賞を獲得し、史上初の5連覇に貢献した。08年には北京五輪に出場。翌年より3シーズン、イタリア・セリエAでプレーし、昨季、4シーズンぶりに国内リーグに復帰。今季、JTサンダーズに移籍した。

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<開幕からの試合日程(年内)>
12月7日(土)16:00頃 vsジェイテクト 廿日市市スポーツセンター(広島)
12月8日(日)15:00頃 vsFC東京 廿日市市スポーツセンター(広島)
12月21日(土)14:05 vs 堺市金岡公園体育館(大阪)
12月22日(日)15:00頃 vs豊田合成 堺市金岡公園体育館(大阪)
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(聞き手・写真/斎藤寿子)
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