二宮: ご無沙汰しています。6月は全米オープン、全米女子オープンとゴルフのメジャー大会も開催されます。そこでそば焼酎「雲海」をいただきながら、たっぷりとゴルフの話ができればとお招きしました。
小山: お酒を飲みながらの対談なんて、素晴らしい企画ですね。話したいことはいっぱいありますよ。しゃべりすぎて危険な内容にならないように気をつけないと(笑)。

 ゴルフとお酒の深い関係

二宮: タケさんはお酒は、ほぼ毎日?
小山: ええ。晩酌は基本的にビールです。お酒は炭酸が入っていてシュワッと爽快感があるのが好きなんです。

二宮: では、今回オススメするそば焼酎「雲海」のSoba&Sodaはピッタリの飲み方ですね。
小山: そば焼酎のソーダ割りは初めてですね。でも、これはものすごくいい。口当たりが良くて、炭酸の泡が見た目にも涼しげです。お酒をソーダで割るのはゴルフとも縁があるんです。ウイスキーのソーダ割りの「ハイボール」もゴルフがルーツと言われていますからね。スコットランドのゴルフ場でお酒を飲んでいたら自分の番が回ってきて、慌ててチェーサーにウイスキーを入れて飲んだのが始まりだそうです。そこへ高いボールが飛んできたので、「ハイボール」と名付けたとか。このソーダの泡自体がゴルフボールに見えますし、Soba&Sodaは“19番ホール”には持ってこいの飲み方ですね。

二宮: 19番ホール!?
小山: 18番ホールが終わった後の打ち上げ、つまり飲み会です。ゴルフとお酒は、そのくらい切っても切れない関係にある。スポーツの世界でよく使われるハンディキャップも、もともとはゴルフとお酒にまつわる話が語源だとの説があります。

二宮: それは興味深いですね。
小山: ゴルフが終わって“19番ホール”に出かけるにあたって、その飲み代を参加者から帽子に入れて集めていた。基本は割り勘ですが、勝って儲けた人間は少し多めに払って皆が飲めるようにしてあげる。だから語源は手を帽子に入れてお金を払う「Hand in cap」。それが短縮されて「Handicap」になり、皆がお酒を楽しめるようにという発想が、プレーでも実力の違いを調整して試合を行う現在の意味につながっていったんです。

二宮: なるほど。タケさんは米国でもプレーしましたが、海外のゴルファーはお酒好きが多いと聞きます。
小山: 大好きですね。有名なところでは1979年のマスターズと、1984年の全米オープンを制したファジー・ゼラー。彼はウォッカをショットであおってラウンドに出るのが、ひとつのルーティンになっていました。一緒に回っていてお酒臭い選手は国内、海外問わずいましたよ(笑)。朝まで飲んで、そのままラウンドに出たり……。最近はそういった豪快な選手は少なくなってきました。

二宮: ゴルフに限らず、どの競技でも昨今はアスリートとしての意識が高まり、節制するようになってきていますね。
小山: タイガー・ウッズだって、以前、酔っ払ってラウンドしたことがあるんですよ。「ディズニー・ゴルフ・クラシック」にスタンフォード大学で仲が良かったノタ・ビゲイと一緒に参加して、毎晩のように自宅でパーティーをしていたんです。当然、成績は良くなかったですけど(笑)、あのタイガーでも、大会中に友達とお祭り騒ぎをしたところに人間味を感じました。

二宮: プレーに支障が出るまで飲むのはまずいでしょうが、気分転換にお酒を楽しむのは翌日への活力につながるのでは?
小山: 5月に50歳で自国のスペインオープンを優勝したミゲル・アンヘル・ヒメネスは年齢を重ねても勝てる秘訣として「おいしいものを食べて、おいしいお酒を飲んで、いいたばこを吸って、少しの運動をすること」と発言しています。全英オープン覇者のダレン・クラークも「オレの体はお酒でできている」と、優勝したら皆で乾杯する。お酒好きで長く第一線で続けている選手は多いですよ。

 周囲からリスペクトされる選手に

二宮: さて、6月の全米オープンで日本の注目が集まりそうなのが松山英樹選手です。先日は米ツアー初優勝を収めました。全米オープンでは昨年はトップ10入りしており、さらなる上位進出へ期待がかかります。
小山: 松山君の実力は海外のトップ選手と大差ないレベルまで上がってきています。ただ、本当に欧米で活躍し続けるには気をつけてほしいことがありますね。

二宮: それは何でしょう?
小山: 日本ではあまり報道されていませんが、昨年から松山君に対する現地の評判は決して芳しくありません。昨年の全英オープンではスロープレーに関してペナルティを受けました。そして10月の米ツアー開幕戦では、同組のデービス・ラブ3世から、ボールをマークした位置に正しく戻していないと注意されています。同じことを5月にはジェイミー・ドナルドソンからも言われました。度重なるマナー違反の指摘は彼にとってプラスはなりませんよ。

二宮: 本人は「ごまかしているつもりはない」と発言しており、決して故意ではないのでしょうが……。
小山: ルールではボールはマークした場所にリプレースすることが定められています。リプレースですから、当然、元の場所とは違うところにずらして置いてはいけない。マークの位置はカップとボールを結んだライン上で、「ボールの真後ろにすることが望ましい」とされています。横につけてマークしても、その通りに戻せば違反ではありません。ただ、マークを真後ろにしないと得てしてリプレースの際に“拡大解釈”が生じやすい。ジェイミー・ドナルドソンの場合は、1度だけでなく何度も同様のケースを見ていて忠告したようですから、松山君は意図的でないなら、もっと注意してマークとリプレースをすべきです。

二宮: 今後、何十年と世界を舞台に戦うことが予想される選手だけに、“李下に冠を正さず”の心構えが求められると?
小山: メジャー大会でいくら勝っても、周りの選手から「アイツが勝って良かった」と称賛されない選手もいます。いくらゴルフは個人競技であっても、そういう選手は長続きしない。他の選手から「ナイスプレーヤー」「グッドプレーヤー」と慕われる存在でないとギャラリーからも愛されない。ジョン・デーリーのように型破りなスタイルで評価されるのはほんの一握りです。特に外国からやってきた選手は現地でリスペクトされないと成功しにくいですよ。これはゴルフに限らず、野球や他の競技でも同じではないでしょうか。

二宮: ゴルフはセルフジャッジをする“紳士のスポーツ”。近年、松山選手や石川遼選手の影響もあってジュニアゴルフが盛んになっていますが、世界で通用する人材を育てるなら、テクニックのみならず、マナーの部分もしっかり教えていく必要があるでしょうね。
小山: 最近の日本のジュニアゴルフはプロゴルファー養成がメインになってしまって、どうしてもモラル教育が後回しにされがちです。大会で好成績を収めると強豪校に推薦入学できたり、用具にメーカーのサポートがついたり、国体の代表選手に入ったりしますから、成績さえ良ければいいという考え方に陥りやすい。そのためジュニアの選手がスコアを改竄したり、ルール違反をしたり、といった歪みが生じてきています。

二宮: 本来は誤りを指摘すべき大人も、スコア至上主義の下では見て見ぬふりをしてしまうと?
小山: 子どもたちにとって、長い目で見れば、この風潮は良くない。たとえば、米国のカントリークラブではメンバーになると、単にゴルフができるだけじゃなく、施設内でバスケットボールやいろんなスポーツができます。結婚式を開いたり、社交の場にもある。その中で、子どもたちに社会生活を送る上でのマナーを身につけさせるんです。

二宮: 2年後のリオデジャネイロ五輪からゴルフは正式種目に採用され、2020年の東京五輪でも実施されます。さらなるゴルフ熱の高まりが予想されるだけに原点を確認しておきたいですね。
小山: スコアだけを重視してルールやマナーを軽視してしまう選手は真の強さは手に入れられません。それだけ自分に甘いわけですから。ルールに基づいてフェアプレーを志すスポーツの理念からも離れてしまう。自分を厳しく律することができないメンタルでは、いくらテクニックを磨いても成長は頭打ちになってしまうのではないでしょうか。

二宮: ひとつの問題提起をする時期が来ているのかもしれませんね。
小山: ただ、日本のマスメディアでは、松山君を巡るトラブルは大きく扱われていないのが実情です。だから、ゴルフの事情に詳しくないと知らない人が多いのではないでしょうか。僕は国際映像でドナルドソンがジェスチャー付きで「リプレースの位置がずれている」とアピールしているのを見ましたが、それは日本では全く流れていない。いくら将来有望な日本人選手であっても、事実は事実として伝え、指摘すべきところを指摘しなくては本人のためにもならないと感じます。

 日本オープンは真の開かれた大会へ

二宮: ところで全米オープンといえば、昨年、タケさんが日本経済新聞でのコラムに書いた内容が印象に残っています。全米オープンは文字通り“オープン”、開かれた大会です。予選会を勝ち抜けば、アマチュア選手でも本大会に出場できます。しかし、同じオープンでも日本オープンは参加できる枠が限られていて開かれた大会とは言い難い。もっと多くの選手が挑戦してみたいと思える大会に改革すべきだと主張していました。
小山: これは、まさに今回、二宮さんにお話したかった日本ゴルフ界の問題点です。今年の全米オープン、予選の参加者は初めて1万人を超えました。米国の全50州はもとより、世界75カ国・地域からエントリーがあったそうです。いくら人気のあるメジャー大会とはいえ、それだけの人数が集まってきます。翻って日本は180人しかエントリーしていないんです。

二宮: そんなに差がついてしまったのはなぜでしょう?
小山: 本戦に出られるのは、全米オープンは156人、日本オープンは昨年までは108人。ただ、その中に含まれるシード選手の割合が違います。全米オープンはシード選手が51名と約3分の1なのに対し、日本は出場枠のほとんどをシードが占めている。予選を勝ち抜いて出られる枠はわずかしかないんです。

二宮: つまり、予選に出ても本大会に出られる可能性は極めて低い。したがってエントリーする意欲が沸いてこないと?
小山: するとエントリー料も入ってこないんです。全米オープンの場合、150ドルのエントリー料を1万人払うので、約1億5000万円の収入になります。日本オープンは参加者も少ないので、たいした儲けにはならない……。それでも、世界的なメジャー大会の全米オープンよりもエントリー料が高い(2万6000円)のは、参加者を限定したい思惑があるとしか考えられません。日本オープンとは名ばかりで、日本“クローズド”になっているんです。

二宮: 日本オープンを主催する日本ゴルフ協会(JGA)は「ゴルフ界の健全な発展と普及」を目的とした団体のはずですが……。
小山: 言っていることと、やっていることが正反対になってしまっていますよね。アマチュアの選手や、プロになりたての選手たちが自国のナショナルオープンに気持ち良くトライできるようなシステムに変える。これが真の普及につながるのではないでしょうか。

二宮: 日経でタケさんがこの問題を訴えた影響か、今年は少し枠が広がったそうですね。
小山: 本戦の出場選手が120名に増えた分、チャンスは広がりました。でも、歴史を紐解いていくと170人で実施した年もある。全米オープンや全英オープンのように、日照時間の長い5月、6月に開催すれば、プレーできる人数はもっと増やせるはずです。参加枠が広がると、自ずとエントリー選手も増えていく。そうすれば大会自体、もっと盛り上がるし、魅力的なものになるでしょう。

二宮: 話もお酒も進んで、あっという間に9番ホールまで行った感じがします(笑)。
小山: 爽やかなSoba&Sodaのおかげで、口も滑らかになって、いっぱい話してしまいましたね(笑)。後編はどんな話をしましょうか。まだ物申したいことはいろいろありますよ!

(後編につづく)

<タケ小山(小山武明 こやま・たけあき)プロフィール>
 1964年7月7日、東京都出身。中央大卒業後、蛇の目ミシン開発・蛇の目スポーツプラザ高尾の所属プロゴルファーとしてレッスン業務に携わる。89年に米国フロリダグレンリーフリゾートの所属プロとして渡米し、米ツアーを中心に各国の大会を転戦する。01年からはザ・ゴルフチャンネルの専属解説者に。07年に帰国して日本チャレンジツアーに参戦。08年からは早稲田大学大学院に入学し、スポーツビジネスを学ぶ。TBS系列「サンデーモーニング」、インターFM「GREEN JACKET」などに出演し、ゴルフ解説を中心に幅広くメディアで活躍中。最近の著書は『ゴルフは100球打つより見てなんぼ!』(ゴルフダイジェスト社)、『今の技術でベストスコアを叩き出す! タケ小山のセルフマネジメントゴルフ』(マイナビ)。
>>オフィシャルブログ

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
焼肉の清香園 渋谷店
東京都渋谷区宇田川町37−14 篠原ビル1F
TEL:03-3466-1369
営業時間:
昼(月〜金) 12:00〜14:00(L.O.13:30)
夜(月〜土) 18:00〜26:00(L.O.25:30)
夜(祝日)  18:00〜23:00(L.O.22:30)
日定休(月末の日曜、貸切の場合は営業)
>>店舗の詳細はこちら(HOT PEPPERのサイトへ)
>>店舗Facebookはこちら

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 タケ小山さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「タケ小山さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は7月10日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、タケ小山さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)


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