9月26日に開幕する「紀の国わかやま国体」まで残り2カ月。各競技とも、この7月から8月にかけて国体出場に向けた四国ブロック予選が繰り広げられている。昨年は予選突破率が四国4県でトップの41%。愛媛県体育協会では、これを上回って国体出場の競技種目が増えることを最低限の目標に掲げている。
「今年は天皇杯(男女総合)で10位以内を狙っています。予選突破率も大事ですが、本番で勝って得点を稼げるか。こちらの方がより重要です」
 県体協の藤原惠専務理事は、より高いハードルを選手たちに求める。昨年の天皇杯は21位。参加得点を除いた競技得点は584.5点だった。10位以内を目指すには競技得点で1000点獲得が目安になる。ほぼ倍増させなくてはいけない状況だ。

 そのために急務なのが、「競技得点0の競技をなくす」ことだ。昨年の長崎がんばらんば国体では参加した40競技中、競技での得点がとれなかったものは実に半分近い18を数えた。予選は突破できても、全国では歯が立たない。多くの競技で全国の厚い壁があるのが現実だ。

 ここまでのブロック予選では、愛媛県勢は好調だ。体操では成年男女と少年女子の出場権が決定。馬術では四国4県でトップとなり、全種別での出場が可能になった。

 カヌーでも成年男子で2枠、成年女子で1枠、少年女子で1枠の出場権を獲得。空手では形で成年男女、少年男子が国体に駒を進めた。なぎなたは県単位で出場できる成年女子に加え、少年女子でも出場が決まった。

 県勢強化のための取り組みも着々と進んでいる。有望選手の確保では、愛媛県の競技力向上対策本部が昨年度から導入したスポーツ専門員制度があり、今年度は18競技で25名と増員された。また県下8つの市町でもアスリートを採用。各企業でも伊予銀行のテニス部が男女プロと1名ずつ契約を結ぶなど、2年後の「愛顔(えがお)つなぐ えひめ国体」で上位入賞が期待できる陣容は急ピッチで整いつつある。

「強化の見通しはようやく立ち始めました。少年はターゲットエイジを設け、中学生を育てています。剣道では警察が中心になって成年を強化していますし、ウエイトリフティングもロサンゼルス五輪メダリストの眞鍋和人さんの下、人材を集め、女子選手も獲得しています」
 藤原専務理事は手応えを口にする。

 他にもビーチバレーでは五輪2大会出場の楠原千秋が現役に復帰。シドニー五輪4位の実績を誇る佐伯美香が指導し、チームづくりを進める。サッカーも日本代表の岡田武史元監督がオーナーに就任したFC今治が強化に乗り出しており、国体の成年男子競技の観点からも追い風が吹いている。

「0点の競技で確実に得点を獲り、他の競技も得点を伸ばす。えひめ国体で天皇杯を獲得するには競技得点で2000点が必要です。出場するだけではなく、上位進出、そして優勝を目指せる体制づくりが求められています」
 えひめ国体に向けて、残り時間は限られてきた。愛媛県勢にとって勝負の夏がやってきた。

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(石田洋之)

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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