その日、松山中央商店街は、あふれるほどの人々で賑わっていた。
 7月25日(土)、松山市の中心街となる「大街道」と「銀天街」、並びに「まつちかTOWN」では、毎年恒例となっている土曜夜市が開催されていた(今年の開催日は、6月20日〜8月1日の間の土曜日)。
(写真:大街道の特設ステージにてライブを行うL−プリ#の皆さん)
 土曜夜市では、通常のアーケード店舗に加え、さまざまな露店やレクリエーションブースが仮設で出店される。特設のステージも設けられ、各種イベントが開催されるなど、毎週土曜日に、これら商店街を訪れると、どことなく“夏祭り”を感じられる松山における風物詩的な催事となっている。

 ゆえに、艶やかな浴衣着姿のお客様や、法被姿の店舗関係者が多数往来し、いつ来ても賑やかで活気にあふれているのだ。さらに、この時期、学校は夏休みに入っていることもあり、若者や子供連れの家族も大勢詰めかけていた。
 
 そんな中、この日は女性バンドグループ「Love Princess(L−プリ#)」の皆さんが、大街道商店街アーケードの中央特設ステージにて、ライブを行う予定になっていた。実は、L−プリ#のボーカルを務めているRumiyさんは、いつもスタジアムのゴール裏席にて、大旗を振って応援している熱心な愛媛FCサポーター。
 
 そのRumiyさんから、お誘いがあり、L−プリ#の皆さんのご好意で、私たちサポーターがライブの終わりにホームゲームの告知活動をさせていただくことになったのである。とても貴重な機会をいただき、ありがたいばかりだが、お客様の層が分からないし、実際の場の雰囲気も分からない。私は緊張状態のまま、特設ステージ横で告知のスタンバイに入っていた。
 
 スケジュールが押す中、L−プリ#の皆さんのライブは、夕方の6時10分からスタートした。
 軽快な演奏の中、Rumiyさんが唄い始めると、ステージ前に詰めかけた観客たちが素晴らしい歌声に魅了され、聴き入っていた。聞き覚えのあるナンバーを巧みに演奏し、熱く唄い続ける彼女たちのライブに私も知らず知らずに引き込まれ、いつの間にか、身体を覆っていた緊張も解かれていた。
 
 ライブも終盤へと入り、曲の終了と同時にRumiyさんが私たちサポーターをステージ前へと呼び込んでくれた。ステージ前には、愛媛FCのレプリカユニフォームを着たサポーターが10名ほど整列した。

 私はマイクを握り、「皆さん、こんにちは! 愛媛FCサポーターです! 少し、お時間をお借りして、ホームゲームの告知をさせていただきます」と挨拶し、愛媛FC事務局のスタッフへとバトンタッチ。スタッフが8月1日(土)に行われるJ2第27節、愛媛FC対セレッソ大阪」の一戦を告知した。

 その後、再び私がマイクを譲り受け、「いつもスタジアムで唄っている“この街で”という歌を、会場の皆さんと一緒に唄いたいと思います。ご存知の方は、ついて来てください!」とアナウンス。「愛すーるー、このー街でー!」と唄い始めると、それに合わせ、サポーターやL−プリ#の皆さん、会場の一部の方も一緒に「この街で」を唄ってくださった。

 歌の2番を唄い終わり、最後は会場全体で「愛媛FCコール」を私の太鼓の音頭で合唱し、告知活動を無事に終えることができた。大街道の会場には普段、スタジアムへは来られていない方も大勢おられたかと思うのだが、意外にもノリが良く、一緒にコールもしてくれ、最後は大勢の方が拍手で称えてくださった。
 
 依然として、J2におけるホームゲーム平均入場者数が22クラブ中、最下位という苦しい状況の愛媛FC。今回の土曜夜市での告知活動が、ホームゲームでの集客に少しでも役立ってくれると本当にうれしい。
 
 また今回、貴重なライブの時間を割いていただき、サポーターを招き入れ、告知活動のチャンスを与えてくださったRumiyさんはじめ、L−プリ#の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいである。今後も、音楽活動での活躍に期待したいと思うし、スタジアムでは、ともに愛媛FCサポーターとして選手たちの後押しを頑張ってほしいと感じている。

 
松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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