17日、サッカー日本代表はAFCアジア・アフリカチャレンジカップでエジプト代表と戦い、4−1で快勝した。先発したFW大久保とFW前田が代表初ゴールを挙げる活躍を見せた。

◇10月17日、大阪・長居陸上競技場
日本代表 4−1 エジプト代表
【得点】
[日] 大久保嘉人(21、42分)、前田遼一(53分)、加地亮(68分)
[エ] ファドル(59分)
 2人のFWがオシム監督の起用に応えた。

 サッカー日本代表にとって、今年最後の公式試合。システムは4−4−2で、2トップには8月のカメルーン戦以来の復帰となるFW大久保とFW前田が入った。9月のオーストリア遠征を腰痛で欠場したDF阿部がDF中澤とセンターバックを組んだ。

 対するアフリカ王者のエジプトは欧州組のMFモハメド・ジダン(ハンブルガーSV)ら9人の主力選手が来日せず。FIFAランキングは日本の34位に対して、43位。

 試合は序盤から激しい打ち合いとなった。6分、エジプトFWザキが右サイドを崩して、最後はFWハッサンが頭でゴール左隅を狙えば、日本も14分に大久保が左サイドから強烈なミドルシュートを放って相手ゴールを脅かす。判断が早く、キレのある動きを見せるエジプトに対して、日本は一歩も譲らない。

 スコアが動いたのは21分。中盤でこぼれ球を拾った大久保が巧みな反転で相手DFを振り切って、左足で狙いすましたミドルシュート。ループ気味のボールがGKをあざわらうかのように右サイドネットに吸い込まれる。大久保の国際Aマッチ21試合目にして初のゴールが貴重な先制点となった。

 大久保の勢いはとどまるところを知らない。41分には、遠藤の右足から放り込まれたクロスを頭で強烈に叩きつけて、ネットを揺らす。今季のJ1で日本人最多の14ゴールを叩き出している実力を存分に発揮して、前半だけで早くも2ゴールを挙げた。

 後半、もう一人のFW前田も輝きを放つ。8分、ゴール前でMF山岸の巧みな落としを受け、急加速。DFの網を抜け出ると、飛び出してくるGKの動きを冷静に見極め、左隅へ流し込んだ。前田にとっては嬉しい代表初ゴール。前半36分にはGKの1対1の絶好機をモノにできなかっただけに、面目躍如の得点でもあった。

 3点目を奪った後、日本はペースダウンして、13分に山岸のハンドで与えたゴール前のFKから1点を返されたが、最後まで手綱は緩めず。22分に駒野の左クロスをファーサイドで受けたDF加地がキックフェイントで相手DFをかわして、左隅へ駄目押しのゴール。その後は、エジプトの攻撃を耐えしのぎ、追加点を許さなかった。

 試合後、オシム監督は「よかったのは個人ではなく、チームとしてまとまったプレーができたこと。今日のゲームはJリーグも終盤にさしかかっているデリケートなタイミングで行われたが、選手たちはいいプレーをしてくれた」と選手をねぎらった。

 一方で、シュート数は日本とエジプトが13本で変わらず、数多くの好機をつくられたこともあり、「エジプトは若手選手を多く起用していたが、強かった。(エジプトと日本に)点差ほどの差はなかったかもしれない」とクギを刺すことも忘れなかった。

【FWのポジション争いに活気】

 このゲームでは大久保と前田の活躍が光った。2人ともに両軍最多の4本のシュートを記録。大久保は持ち前のシュート意識の高さでチームを勢いづかせ、前田は巧みなボールコントロールと正確なポストプレーで流れるような攻撃を演出した。アテネ五輪世代の2人のストライカーの台頭に、FW高原直泰(ハンブルガーSV)を頂点とするFW争いが活気づいてきた。

 2007年の最終戦で新たな収穫を手にした日本は、来年2月から始まる南アフリカW杯予選に臨む。

<2ゴールを挙げた大久保嘉人選手のコメント>
「(代表Aマッチ21試合目にして初ゴールに)やっと入ったなとホッとした。ボールをトラップした瞬間にDFを抜けたので、次にシュートを打とうと思った。点を獲れたので、その後、落ち着いて体が動くようになった。(2点目の場面は)いいボールがきて、たまたま頭に当たった。(前田とのコンビについて)遼さんはアンダーの頃からやってきて、動きがわかっているので、やりやすかった。今日は結果を出すことができたが、まだまだだと思う。Jリーグでも結果を残さないといけない」

<日本代表出場メンバー>

GK
川口能活
DF
中澤佑二
阿部勇樹
駒野友一
加地亮
MF
鈴木啓太
⇒今野泰幸(73分)
中村憲剛
遠藤保仁
⇒藤本淳吾(73分)
山岸智
⇒橋本英郎(73分)
FW
大久保嘉人
前田遼一