端整な顔立ちと醸し出す雰囲気は、まるで涌井秀章や岸孝之を彷彿させる。野上亮磨(日産自動車)、20歳。今年、4年ぶりに日本一に輝いたヤングライオンズにまた一人、自称“マイペース”ピッチャーが仲間入りした。表向きには決して出さないという負けん気の強さが売りという野上投手にプロへの意気込みを訊いた。
―― 西武に2巡目で指名されたことについて。

野上: 自分としては3位か4位くらいでかかるかなと思っていたので、予想以上の高い評価をもらい、正直ビックリしました。西武は若くて勢いがあるチーム。自分を見失わないようにして1軍入りを目指したいと思います。

―― 最大の武器は?

野上: 負けん気の強さですね。自信があるとかないとかではなく、ピンチでも不安にならない。前を向いて攻める気持ちをもって投げています。

―― 最も自信のあるボールは?

野上: 僕の生命線はアウトコースのストレートです。そのストレートを磨くために走り込みや投げ込みをしました。特に1年目はそのコースばかりを200球投げたりしていましたね。今年になってフォークに対しても自信がつきました。カウントをとる場合は浅めに、三振をとりたい場合は深めにというように投げ分けています。浅めに挟むと落ち方は小さいのですが、スピードを保ったまま落ちるんです。加えてコントロールもしやすい。逆に深めに挟むと、力を入れて握っているので、ベース際でストーンと落ちるんです。カウントやバッターのタイプによっても投げ分けていますね。

 神村学園高校(鹿児島)、日産自動車と常にチームの大黒柱として活躍した野上投手。だが、決して順風満帆だったわけではない。悔しい敗戦、ケガとの戦い……全てが現在の糧となっている。

―― 自分にとって大きな意味をもつ試合とは?

野上: 高校最後の夏の県大会決勝です。樟南高校に8回まで4−1で勝っていたのですが、最終回に4失点を取られて逆転負けしたんです。自分のせいで甲子園に行けなくなってしまい、だいぶ落ち込みました。
 でも今考えると、あの時甲子園に行っていなくて良かったのかなと。実は春の選抜が終わってからヒジに痛みが出るようになっていたんです。それでも一度は治ったのですが、県大会中にまた痛くなってしまった。だからもし、甲子園に行くことができても、痛めていたヒジがもたなかったと思います。

 目指すはMVP岩隈

―― 社会人で一番苦しかった時期は?

野上: 今年の春先ですね。足首と肩を痛めてしまい、投げれば打たれるというような状態でした。結構、苦しかったのですが、ピッチングコーチが「打たれるのをわかった上で投げさせてるんだから、気にするな。全部、オレの責任だから」って言ってくれたんです。その言葉で開き直ることができて、一気に楽になりました。

―― 高校時代に比べて成長した点は?

野上: 全体的に成長できたと思いますが、特にメンタル面では強くなったと思います。高校時代はピンチになるとすぐにカーッとなって力んでしまったのですが、今では常に落ち着いて投げられるようになりました。
 技術的な点では球威が増したと思います。入社当初は単にスピードに頼ってガンガン投げていたのですが、今はバッターとの距離感、要するに球持ちがよくなったことでキレで勝負できるようになりました。

「同級生には打たれたくない」。マウンドではいつもポーカーフェイスの野上投手だが、勝負に対するこだわりは強いものがある。だが、決して焦って結果を望んでいるわけではない。果たして、どのような目標を掲げているのか。

―― 1年目の目標は?

野上: できれば1年目から先発ローテに入りたいですが、正直、自信はないです(笑)。まずは1軍定着を目指したいと思います。何年後かには毎年2ケタを残せるようなピッチャーになりたいですね。そういう点では一度落ちて、また這い上がってきた岩隈久志さん(東北楽天)を尊敬しています。岩隈さんは思いっきり投げれば150キロ出るにもかかわらず、キレを意識して140キロ前半しか出さずに抑えている。僕自身もキレで勝負したいと思っています。

―― 理想とするピッチングは?

野上: 三振じゃなくても打たせて取って、ランナーがいても残塁が多いみたいな。完投などにこだわりはないですね。試合がつくれれば、それでいいと思っています。自分に勝ち星がつかなくても、その試合にチームが勝てればいいんです。

「冬は必ず春になる」――最近、姉からもらった言葉だという。「苦しくても最後にはいいことが起きる、そう受け止めました」と野上投手。プロの世界でも自分を信じ、焦らずにしっかりと前に突き進んでいく。

<野上亮磨(のがみ・りょうま)プロフィール>
1987年6月15日、福岡県出身。小学生以来、投手一筋。神村学園高校野球部の第一期生として入部し、3年春に甲子園初出場を果たす。エースとしてチームを準優勝に導いた。2006年、日産自動車に入社し、1年目から活躍。2年目の昨年は都市対抗、日本選手権など全国の舞台を経験した。178センチ、70キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)

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