愛媛FCはJ2第31節を終え、7勝17敗5分の10位という状況だ。現時点では昇格1年目とほぼ同じ成績で、なかなか上積みをすることができていない。昨季とはメンバーも大きく変わり、苦しい戦いが続く中、望月一仁監督はクラブをどう見ているのか。前節(7月28日)、モンテディオ山形戦を終えた指揮官に直撃してみた。

▼8月5日(日)東京V戦は太陽石油サンクスデー
――シーズンも折り返し地点を過ぎたところですが、前半の戦いを振り返っての感想を。
望月: 昨年は9位でしたが、Jに昇格した勢いだけでやってきたところがありました。その中で高萩洋次郎(現広島)や菅沼実(現柏)といった若い選手たちが自信をつけ、最後に結果を出した。ところが今年は新しい選手がたくさんやってきて、まずチーム作りに苦労しました。2年目で相手もマークしてきますし、第1クール、第2クールと厳しくなるかなと。その予想が当たってしまいましたね。

――やはりチームの形を作るのに時間がかかったことが苦戦の要因と?
望月: サッカーは時間がかかるスポーツです。1人突出した選手がいればゲームを支配できるというものではなく、周りとコンビネーションを合わせなきゃいけない。コンビネーションを合わせるということは、チーム全体のレベルを上げていく必要がある。そういう意味では、どうしても時間がかかりますよ。

――昨年からチームが成長した点は?
望月: 素早い判断をしてゲームコントロールできる時間帯が増えてきたかなとは思います。ただ、まだまだ攻撃も守備もその時間帯が短い。その点は昨年までと同じですね。

――J昇格直後はカウンター攻撃が主でした。昨年の後半からは徐々にパスをつないで、くさびを入れて、という目指す形がみえてきましたね。
望月: そうですね。最初は向こうの攻撃に一生懸命合わすしかなかった。とにかく奪ったら早く仕掛けようというやり方だけでしたね。
 今は守備でも相手に全部、支配されているのではなくて、自分たちでコントロールしながら守れるようになってきたのかなと。落ち着きみたいなものが出てきました。

――ただ、今季の得点数は17。残念ながらリーグワーストで決定力不足という感は否めません。
望月: 現状ではそうなってしまいますね。これまでは上下に激しいサッカーだったのが、ゲームをコントロールできるようになってリスクは少なくなった。ただ、向こうもうちを警戒してリスクを背負わないように戦ってくる。次の段階としては、そこでリスクをとってハイリターンを得ることをやっていかなくてはいけないと思っています。

――リスクを犯して攻めるというのが、今後の課題だと?
望月: いや、これまでもやってきたつもりではいるんですけどね。高い位置に運んだときに、工夫がないと引いた相手から点は取れない。その点では、アタックエリアに入ったときのテクニックや判断をまだまだ上げていかなきゃいけません。そして、もう少し選手たちには束になって攻撃に絡んでほしいと思っています。

――前半戦を振り返ると、昨年は菅沼選手のいた左サイドや、高萩選手のいたボランチのメンバーがなかなか決まりませんでした。宮原裕司選手(鳥栖から期限付き加入)らを補強し、ようやく形が見えてきたときに、今度はチーム得点王の田中俊也選手が左足を骨折してしまいました。
望月: 田中のケガは痛いですね。メンバーが固定し、ようやく第3クールはやれるかなというところだったので……。サイドバックも攻撃的に出られるようにやりたいなと考えていた矢先のアクシデントでした。まぁ、逆に言うと他の選手にとってはチャンスと考えてほしい。その中でFW・内村圭宏が計算できるようになってきたのは救いです。

――ベテランの大木勉選手も地元出身で期待されましたが、故障が続いています。
望月: 大木の場合は昨年1年間、ほとんど試合に出ていませんから、コンディションを上げるのに1年かかってしまいますね。本来なら、夏過ぎには出てきてもらいたかったんですが……。大木は流れを変えてくれるし、守備でも貢献度が高い選手。万全の状態なら、長い時間使いたいのですが、ちょっと無理すると筋肉系トラブルを起こしてしまう。ウソはつけないスポーツなんですよ、サッカーは。

――昨年の菅沼選手や高萩選手がそうだったように、若い選手が経験を重ねることで成長してくれるのを監督は期待されているのだと思います。今季の若手選手についてはどう見ていますか?
望月: さっき名前を出した内村やセンターバックの近藤徹志、右サイドの大山俊輔などは、だいぶ自分の持ち味を出せるようになってきましたね。ただ、もっと自分の武器を前面に出してほしい。人に言われてから事が起こるような選手では大きな仕事はできないし、伸びないのかなと思っています。お互いに要求する部分はありますけど、もっと自己主張してほしい。もちろん、試合の中では裏方に徹することも大事ですが、自己主張する部分とうまくバランスをとりながらプレーしてくれればいいなと感じています。

――監督は結果が出なくても、選手をかなり我慢強く起用されていますね。
望月: 我慢強いですよ(笑)。1回ではチャンスを終わらせないようにしているつもりです。でも、チャンスをなくすのも選手の実力ですから。
 愛媛にきてから余計にそう思いますが、どんな選手であれ、“見守る”という作業はしっかりしたいと考えています。大変ではありますが、見守って育てていくというのは重要なことです。

――あらためて後半戦のテーマを教えてください。
望月: 前半戦と変わりませんが、“考えながら係わる”ということですかね。いかにゲームの中で自分たちの強みであるスピード感を出すことができるか。、そして相手のパワーを消すことができるか。それをずっと継続していくしかないですよ。

――具体的な勝敗の目標は?
望月: キャンプインの時点では半分くらい勝てたらと思ったんですけどね。成績の面では結果が出ていないわけですから、常に不満です。ただ、内容的にはちょっとずつ進化してきて、去年より上積みされているのかなという手ごたえは感じています。少なくとも去年(14勝23敗11分)を上回る成績を残せるようにはしたいですね。


<8月5日対東京ヴェルディ1969戦、主なイベント>
◎愛媛県総合運動公園陸上競技場 18時キックオフ

1.太陽石油サンクスデー
 先着3000名様に「オリジナルうちわ&応援スティックバルーン」をプレゼント。
 ハーフタイムにはプレイステーション・ポータブルなどが当たるお楽しみ抽選会(マッチデイプログラム表紙の抽選番号にご注目ください)。

2.愛媛FCオリジナルキャラクター、盛夏バージョンポストカードをプレゼント
【場所】 スタジアム公式グッズショップ
【対象】 グッズショップにて500円以上購入していただいた方
※このプレゼント企画は16日(木)対ベガルタ仙台戦でも実施します。

3.愛媛FC選手サイン入りボールプレゼント
 抽選で4名様にプレゼント。贈呈式は試合後のピッチ上で選手が行います(マッチデイプログラム表紙に赤いシールがあれば当選です)。

4.マッチシティは四国中央市
 中央広場で特産品の発売などを行います。


太陽石油は愛媛FCのオフィシャルユニホームスポンサーです[/color][/size]