8月29日の高知戦(高松)では藤川球児が先発しました。お客さんも多く、ガイナーズの選手たちのモチベーションも上がって、さすがスターといったところでしたね。

 結果は立ち上がりに赤松幸輔のタイムリーなどで先制し、3-1での勝利。藤川は敗戦投手となったものの、121球を投げて完投しました。

「久々に楽しかったです。クリーンアップを意識して投げました」
 試合後、藤川に会うと充実した表情を見せていましたから、結果よりも得られたものは大きかったのでしょう。

 ストレートの球速は140キロ台後半。高めのストレートで空振りを奪うなどベンチから見ていても球威を感じました。スライダー、カーブ、フォークを交え、11三振を奪ったところは格の違いをみせつけましたね。

「クリーンアップを意識した」と藤川が語っていたように、今季のガイナーズは4番の中川竜也、3番の赤松、5番の松澤裕介が全員打率3割を超えています。特に中川は打率.323、11本塁打で、ともにリーグトップです。

 中川は今季が5年目。26歳を迎え、本人は今年がラストとの思いを抱いてシーズンに臨んでいます。開幕前、僕は彼と「4番は外さない」と約束をしました。その期待に応え、ここまでは中心選手として活躍をみせています。

 技術的にはタイミングの取り方を工夫し、どんなピッチャーでも対応できる力がついてきました。充実したシーズンを過ごしているだけに、ケガには注意して、このまま打ち続けてほしいものです。

 NPBに目を転じると、連日のように元ガイナーズの選手が1軍で注目を集めています。アイランドリーグ創設から10年、これまでの取り組みがようやく実を結び始めたと言っていいでしょう。僕も楽しみが増えてうれしい限りです。

 8月27日の巨人戦で初登板初先発を果たした寺田哲也(東京ヤクルト)は四球こそ多かったものの、3回を無失点に抑え、最低限の仕事はできました。結果的にチームが勝利し、いい経験になったことでしょう。これを踏まえ、2軍でもう一度、次のチャンスを狙ってほしいと願っています。

 今後も元ガイナーズ、元アイランドリーグの選手には1軍でバリバリ働いてほしいものです。それがリーグやチームの評価を上げ、今の選手たちの道を広げることにつながります。リーグに挑戦する選手たちの意識も変わるはずです。

 リーグ自体も、藤川と勝負できたり、NPB2軍や3軍チームと対戦できたり、北米遠征に行けたり、と他では味わえない体験が可能になっています。これらをうまく生かして、選手たちにはどんどん自らのレベルを高めてほしいですね。

 後期シーズンは残り10試合強。9月は2日から12連戦が組まれる強行日程です。投手陣のやりくりが大変になるだけに、打線の奮起がポイントとなります。盗塁トップの1番・大木貴将も含め、いい打線になってきましたから、早い回に点を獲って援護してくれるでしょう。

 ガイナーズには前期優勝のアドバンテージがあります。他チームの戦い方も見ながら、20日からのチャンピオンシップに臨むつもりです。個人としても、チームとしても、いい締めくくりができるよう、選手の状態を見極めて最後の戦いに向かいたいと思っています。

(このコーナーは毎月1日に更新します)
◎バックナンバーはこちらから