ガイナーズに昨季まで阪神にいた桜井広大の入団が決まりました。3年前には2ケタ本塁打を放った強打者も、以降は右ひじの故障に泣き、昨オフに戦力外。しかし、その打撃は素晴らしいものがあります。ひじを治しながら、復活をアピールするチャンスをぜひ与えたいと思い、獲得に踏み切りました。

 先日、入団発表のイベントで香川にやってきた時には多くのお客さんに集まっていただきました。香川はタイガースファンも多く、彼の加入は話題になっています。今まで独立リーグに関心のなかった方に興味を持っていただけるきっかけになるのであればうれしいです。

 もちろん、桜井には戦力として大きな期待がかかります。今年のガイナーズは昨季のクリーンアップを打っていた中村真崇(広島)、リ・ミョンファン(韓国・NCダイノス)が抜け、打線がやや迫力不足。彼がDHでも中軸を打ってくれれば攻撃の柱ができます。

 彼にはぜひフランシスコ・カラバイヨが持つリーグのシーズン本塁打記録(18本)の更新を期待したいと思います。そして、ひじの状態が良くなれば外野も守らせ、しっかりとスローイングができるところまで持っていきたいものです。

 独立リーグはタイガースと違い、環境面でも大きく異なります。今までと同じ感覚で野球はできないでしょう。しかし、香川で初心に返ってプレーできれば、きっと得るものもあるはずです。ここから這い上がって、また華やかな1軍の舞台で活躍する日を信じ、頑張ってほしいと感じています。

 桜井の加入は若い選手たちにもプラスになるでしょう。先日、香川でバッティング練習をした際には、他の選手たちが食い入るように見つめていました。

 選手の上達には指導者のアドバイスも必要ですが、身近な先輩をお手本にすることが一番の近道です。僕もカープに入った頃は山本浩二さんや衣笠祥雄さんの打撃練習を見て、いろいろなことを勉強しました。桜井の存在がチームにとって良き教材となることを望んでいます。

 今季は愛媛に河原純一(元中日)や橋本将(元横浜)が加入するなどNPBでも実績を残した選手が復帰を目指し、このリーグでプレーします。この事実はNPBの選手たちにも再挑戦の場として、独立リーグが受け入れられていることを示しています。

 育成選手の派遣も容認され、今季はNPBとの関係がより密接になることでしょう。昨季、アイランドリーグとの定期交流戦でソフトバンク3軍の一員として投げていた千賀滉大が春のキャンプで1軍昇格したように、実戦で数多くの経験を積ませれば、選手は必ず伸びてきます。

 ダルビッシュ有(レンジャーズや岩隈久志(マリナーズ)、青木宣親(ブルワーズ)といったスター選手が次々と海を渡るなか、新しい日本人スター選手の育成は急務です。そのためにも金の卵を大事に育てなくてはなりません。

 NPBと独立リーグが手を取り合い、お互いに切磋琢磨して、次世代を担う人材を育てる――今季はそのスタートの年にできればと考えています。

(このコーナーは毎月1日に更新します)


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