このたび新しくプレーするクラブが決まりました。香港プレミアリーグに参入するドリームメトロギャラリーです。もともと2部リーグにいたメトロギャラリーというクラブに、プレミアリーグに所属するイースタンのオーナーが出資してできたと聞きました。

 ライバルクラブがお金を出して新しいチームをつくるというのは、日本では考えられないこと。良くも悪くも香港らしい出来事です。

 今回の移籍には、さまざまな人の支えがありました。家族のことを考え、香港内での移籍を希望した僕に、今まで在籍したYFCMDも協力して話を進めてくれました。プロは実力の世界とはいえ、結果を残したからと言って、次の所属先がうまく決まるとは限りません。条件的にも、これまでと変わりなく、新天地でプレーできることに感謝しています。

 新チームでの練習は7月13日からスタートし、週3回の2部練習でフィジカルの状態を上げています。香港人監督の下、紅白戦も実施し、他クラブとのトレーニングマッチも始まる予定です。

 新しく誕生したクラブとあって、特徴を一言で言えば、「若さ」になるでしょう。つながりのあるイースタンからは若手が5、6人移籍しています。外国人はカメルーン人のセンターフォワードとボランチ、そしてスペイン人のセンターバックです。

 このうち、カメルーンの2人は香港で7シーズンプレーしており、扱い上はローカル選手です。英語が通じるため、コミュニケーションは問題ありません。

 若いチームだけに、連係の部分ではこれから詰めていく必要があります。幸い、開幕までは、あと2カ月。8月下旬からは1週間ほど中国でキャンプも実施します。完成度を高め、個人としてもチームとしてもベストな状態で開幕を迎えたいものです。

 昔はサッカー選手でいることが当たり前のように感じていましたが、この年齢になると、そうではないと痛感します。家族やさまざまなサポートがないと選手は続けられません。そのことに対して、少しでもお礼の気持ちを伝えたい。この思いは年々強くなっています。

 移籍先が決まり、6月末から10日ほど日本に帰国した際には、いつもスパイクを提供してくださっているミズノさんや、お世話になっている方々に挨拶周りをしてきました。愛媛では母の墓参りをして、「また、ここから頑張る」と決意を新たにすることができました。

 短期間の帰国ながら、いろいろな人と会い、刺激も受けています。愛媛では赤井秀一、関根永悟、川北裕介と再会しました。赤井は今治FCで現役を続け、関根は引退してカフェの店員、川北は愛媛FCのGKコーチと、それぞれの道を進んでいます。

 横浜では香港で一緒だった井手口正昭、パク・テホン(ともに横浜FC)と会い、齋藤学(横浜F・マリノス)とも時間をつくって話をすることができました。学はいつ会っても向上心高くサッカーに取り組んでいて、年上の僕もエネルギーをもらえます。セカンドステージでは開幕戦でゴールを決めており、また日本代表に復帰して活躍してほしいものです。

 かなりバタバタした日程だったせいか、途中、体調を崩して熱が出てしまいましたが(苦笑)、それ以上に得るものが多かった一時帰国でした。1年分のプロテイン11キロや、ビタミン剤などのサプリメントも大量に香港へ持ち帰り、また次のシーズンが始まるんだなとの実感がわいてきました。

 選手として、これからもサッカーに一生懸命取り組むことは基本中の基本です。これにプラスして選手として培った経験をサッカー界や社会のために還元したい。それが、支えてもらっている皆さんへの恩返しになると信じています。

 いつも応援してもらっているファンの方々にも、本当にパワーをもらっています。おかげで、香港の地でプレーをお見せできます。いい結果を出して、このコーナーでも、いい報告ができるよう、引き続き、頑張ります。

(このコーナーは第4木曜更新です)

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