香港はレギュラーシーズンが終了し、来年のAFCカップへの出場チームを決めるプレーオフに突入しています。僕たちYFCMDはプレーオフ準決勝(27日)の太陽ペガサス戦に3-2で勝利。今週末(30日)のサウスチャイナとの決勝に臨みます。

 リーグ戦上位の太陽ペガサスには先月の試合で2-0とリードしながら、追いつかれています。今回も2-0から3点目を取ってリードを広げたものの、1点差まで追い上げられました。それでも逃げ切れたところに、この1年のチームの成長を感じます。

 この一戦、僕はベンチ入りしたものの、出場機会がありませんでした。実はレギュラーシーズンラスト(9日)のキッチー戦ですねを12針縫うケガをしてしまったのです……。

 前半21分、相手のバックパスを奪おうと全速力でチャージした際、突っ込んできたキーパーと激突。相手GKのスパイクがすねに突き刺さってしまいました。すねあてでガードしていた上の部分にモロに入ったため、出血はひどく、裂けた皮と肉の間から白い骨が見えていました。まるでホラー映画の世界です(苦笑)。

 ここまで大きな裂傷はサッカー人生初めて。途中交代となり、救急車で病院に運ばれました。もちろん、即縫合手術です。麻酔をケガをしている部位に打たれ、あまりの痛さに大絶叫。切れた肉の部分を引っ張りこんで縫っていくのは自分の足とはいえ、グロテスクすぎました(苦笑)

 ただ、不幸中の幸いは骨に影響がなく、傷口さえふさがれば早期復帰できる状態だった点です。痛みはあるものの、4、5日で歩けるレベルになり、約10日で走れるようになりました。最初は血流が悪く、足がむくんでいましたが、今は抜糸も済み、試合出場も可能な状態です。

 しかも、抜糸翌日でピッチに立つことが不可能だったプレーオフ準決勝の太陽ペガサス戦は、0-1とリードされた展開で雷雨が激しくなり、前半で打ち切りに。4日後、仕切り直しの一戦で勝利することができ、僕たちにとっては恵みの雨となりました。

 この1カ月を振り返ると、決勝進出を狙ったFAカップ準決勝(4月25日)では0-0のまま、延長戦でも決着つかず。最後はPK戦で敗退となってしまいました。5本目、あと1本決めれば勝利という大事な場面でPKを失敗したのは僕です。

 120分を戦った疲労か、右足のキックは力が入らず、左にジャンプしたGKとタイミングが合ってしまいました。ヤバイと思った瞬間、ボールはGKがセーブ。これで流れが変わり、次の味方選手も外して万事休す。連続で決めたキッチーに軍配が上がってしまいました。

 決勝に行ける絶好の機会を逃した心残りを抱いたまま、仮にこのプレーオフも負傷で出られずに敗退していたら、きっと今季は不完全燃焼のシーズンになっていたことでしょう。今回、プレーオフ決勝に出られるチャンスが出てきたことで、僕もこの試合にすべてを賭ける思いです。

 サウスチャイナは昨季もプレーオフを勝ち抜いており、レギュラーシーズンでも過去に優勝経験のある強敵です。1週間のインターバルがあった相手と、振替試合のため、中2日での戦いとなる僕たちとはコンディション面でも差があります。しかもサウスチャイナ戦で2得点をあげたフェルナンドがイエローカードの累積で出場停止と、YFCMDは戦力ダウンも否めません。

 しかし、泣いても笑っても、この試合が今季最後の公式戦。下位から勝ち上がってきた僕たちに怖いものは何もありません。ケガ明けでフレッシュな僕が何とかチームを引っ張って助けたい。今はその気持ちでいっぱいです。

 現時点では来季の契約はどうなるかわかりませんから、このプレーオフ決勝が僕の今後を左右することになるかもしれません。ケガの傷もつながり、チームメイトが頑張ってくれたおかげで希望もつながりました。

 30日の試合は僕にとっても、クラブにとっても来季につながる勝利をもぎとります。笑顔でシーズンを締めくくれることを皆さんも楽しみに待っていてください。

(このコーナーは第4木曜更新です)  

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