香港は今、旧正月の春節を迎えています。街はお店がほとんど閉まり、練習も4連休になりました。試合も7日のリーグ戦を終え、約3週間のインターバルに入っています。

 実は、前の試合を終え、少し風邪を引いてしまいました。38度くらい熱が出て、練習も1日休まざるを得ないほど。もう回復しましたが、28日の次戦に向けてフィジカルを上げていかなくてはいけません。

 7日のレンジャーズ戦では67分に先制ゴールを決めることができました。この試合は下位を引き離し、上位にくらいつくためには負けられない一戦。相手には1月にタイから移籍してきたDF片野寛理がおり、日本人同士のマッチアップでも勝ちたいと思っていました。

 ゴールは左足でズドンと打ち込みました。一端、サイドへはたいたボールが戻り、うまくコントロールして体勢を切り替え、相手のDFをかわすことができましたね。

 昨季は13ゴールを決めたものの、チームがなかなか勝てず、勝ちにつながる得点を多くあげられませんでした。今季は先月のハットトリックに続き、勝ちゲームでゴールをあげることができ、充実感があります。

 何より、昨季から改善されたのは守備です。レンジャーズ戦も無失点だったように、守りが安定している分、ゲームプランが組み立てやすくなっています。「決めれば勝てる」と攻撃にエネルギーをさけるのです。

 その立役者がルーベンとホセ。2人のスペイン人助っ人です。30代で高い経験値があり、リスクマネジメントがしっかりできます。彼らのおかげで攻守のバランスが良くなりました。

 また新加入のブラジル人FWフェルナンドもチームにフィットしてきており、パス出しやシュートで攻撃に厚みができました。僕もこういった選手たちに負けじと競い合うことで、いい影響が生まれているように感じます。

 現在、YFCMDは5勝3敗1分と勝ち越し、9クラブ中5位です。4強といわれる上位のイースタン、ペガサス、サウスチャイナ、キッチーまで勝ち点4~6の間につけています。

 リーグ戦では、4強との対戦がまだ1試合ずつ残っていますから、ここで勝ち点をいかに奪えるかが、さらに上を目指せるかどうかのポイントです。

 28日は一発勝負のトーナメント方式のカップ戦で4強の一角、ペガサスと対戦します。ここで勝ってリーグ戦にも弾みをつけたいところです。

 日本のJリーグは間もなく開幕ですね。今季からJ1は2ステージ制が復活すると聞きました。僕もJリーガーになった当初は2ステージ制が採用されていました。1ステージであれ、2ステージであれ、選手は目の前の試合で結果を出すことが第一です。その意味では方式が変わっても選手としてできることは変わりません。

 もちろん、クラブとしてはファーストステージからセカンドステージの間でチームを変えたり、立て直す機会が生まれます。僕が行った国ではパラグアイやメキシコが2ステージ制でしたが、前期シーズンを終えると主力をごっそりと入れ替え、全く違うチームにしていたところもありました。 

 僕もパラグアイのグアラニ時代、前期シーズンで得点を多く稼ぎ、セロ・ポルテーニョという強豪クラブからオファーを受けました。現在はアルゼンチン代表で指揮を執るヘラルド・マルティーノ監督から「欲しい」と誘われ、僕は半分、一員になったつもりでいました。

 ところが結局は移籍が認められず、残留することに。後期シーズン、僕はあまり活躍できずに失速してしまったのですが、サポーターからはチームに残ったことで歓迎を受けました。「愛している」という横断幕が出ていたことを、よく覚えています(笑)。

 このように2ステージ制になると、レギュラーが確約されていない選手たちがアピールして新天地に羽ばたくという流れが1ステージ制より加速するかもしれませんね。J2の選手などはチャンスが広がるのではないでしょうか。

 春節の期間中、香港では恒例のチャイニーズニューイヤーカップが開催され、米国のニューヨーク・コスモスがやってきて地元のサウスチャイナと試合をしました。ニューヨーク・コスモスの目玉は元スペイン代表FWラウール・ゴンサレス。同い年のストライカーとして大いに刺激を受けましたね。

 リーグ戦は残り6試合。クラブも僕自身もいいかたちで終盤戦を戦えるよう、引き続き勝利につながるゴールを狙っていきます。

(このコーナーは第3木曜更新です)  
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