日本列島も本格的に寒くなってきたようですが、香港も最近は肌寒い日が続いています。気温は10度そこそこあっても、ずっと暖かかっただけに余計、寒く感じる気がします。

 先日(14日)のサウザン戦は雨が降り、体感温度もグッと下がった中での試合でした。結果は2-2のドロー。横浜FC香港は未だに今季、公式戦未勝利が続いています。

 しかし、勝てない時には勝てないなりの理由が必ずあります。開幕からの試合を振り返ると、ミスからの失点や、絶対に点を獲られてはいけない時間帯でゴールを許してしまうシーンが目立ちます。若い選手が多いだけに経験が足りず、勝負どころで踏ん張り切れません。

 とはいえ、僕たちはプロです。同じ失敗を何度も繰り返すのは応援していただいているサポーターの方に失礼にあたります。普段の練習から危機感を持ち、ワンプレーワンプレーを大切にしていかなくてはなりません。

 幸い、チーム内には大きなケガ人もなく、メンバーは揃っています。全員が目の前の試合に向けて一丸となり、ひとつ勝てば歯車がかみ合うはずです。そういった意識面は僕も年長者として、どんどん若手に伝え、引っ張っていければと考えています。

 さて、ブラジルW杯の組み合わせが決まり、日本はギリシャと同組になりました。ギリシャのサッカーは堅守が持ち味。隣国イタリアのカテナチオの影響をかなり受けています。僕もギリシャでプレーした時は1点を獲るのに苦労しました。

 一方で、ギリシャの弱点はスタミナにあります。前回の南アフリカW杯でも試合終盤になると運動量が落ちていました。ギリシャの夏は暑いといっても乾燥しているため、30度を超え、熱帯気候のブラジルでは、かなり体力を消耗することでしょう。日本は後半勝負に持ち込めば、十分勝ち目はあるとみています。

 気づけば、愛媛FCから契約を更新しない旨を告げられ、合同トライアウトを受験してから早くも1年になります。今年もトライアウトが開催されたとのニュースを見て、去年のことを思い出しました。

 プロ選手にとって、どこからも声がかからず、所属先が見つからないことほど苦しいものはありません。精神的に追い詰められた状況の中、全員がトライアウトに人生を賭けてやってきます。当然、どの選手もピッチ上でのプレーは激しく、あのようなガツガツした雰囲気は、どんな試合でも味わえないでしょう。

 僕の場合は、トライアウト後もオファーはなく、本当につらい毎日を過ごしました。サッカー選手を続けることの難しさ、厳しさを痛感しました。

 それだけに横浜FC香港からお話をいただいた時には、本当にうれしかったです。サッカーができる今を大切に、一生懸命プレーしよう。当たり前のことかもしれませんが、その思いを改めて強くしました。

 振り返ってみれば、自分のサッカーに対する気持ちを再確認する貴重な時間になったのかもしれません。トライアウトを経験できて良かった。それが今の僕の偽らざる思いです。

 おかげさまで今季、コンディションは格段にいい状態が続いています。トレーニングと食事、休養のバランスがしっかりとれており、支えてくれる家族には感謝の気持ちでいっぱいです。調子の良さが公式戦8試合で6ゴールという好結果につながっているのでしょう。

 次節(22日)のテュンムン戦で、2013年は最後のゲームとなります。未勝利は今年のうちに止め、年明けは心機一転、巻き返しを果たしたいものです、FWとして、そのためにできるのは点を獲ること。1点とは言わず、2点、3点と獲り、次こそは勝ちます!

 日本から香港へと渡った激動の2013年を、いいかたちで締めくくれるように頑張ります。皆さんも、よいお年をお迎えください。

(このコーナーは第3木曜更新です)
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