社会人3年目、25歳で大きく開花した選手がいる。北海道日本ハム5位指名の増井浩俊だ。大渕隆スカウトディレクターも「今年は大きく成長した」とその活躍ぶりに目を細めた。その増井の成長の陰には、ある一人のキャッチャーとの出会いがあった。
―― ドラフト当日、名前を呼ばれた時の気持ちは?
増井: 寮の部屋で一人でインターネットでチェックしていました。実は40人目の指名が終了したくらいから、もう諦めていたんです。しかも日本ハムは既に右ピッチャーを3人も指名していましたから、「もう、指名はないな」と思っていたんです。だからビックリしたというのが正直なところです。

―― 球団からはどんなことを期待されている?
増井: まだ先発なのか中継ぎなのかわかりませんが、与えられたところで頑張りたいと思います。希望としては先発をしたいなという気持ちはありますけど、そこは適性を見てもらって、与えられたところならどこでもやるつもりです。

―― どんなピッチャーを目指す?
増井: 真っすぐで空振りを取れるピッチャーになりたいですね。今はただ力任せに思いっきり投げているだけですが、武田久さんのようなキレのある真っすぐを投げられるようになりたいと思っています。

―― 日本ハムへのイメージは?
増井: ファンと一体となって、本当に球団自体が楽しそうだなと思っていました。実際、ファンフェスタにも4万人以上のファンが札幌ドームに来てくれていて、今まで経験したことのない圧倒的な熱気を感じました。自分も「増井くん」と呼んでもらったりして、「あったかいファンだなぁ」と感激しました。

―― ファンへのアピールポイントは?
増井: まずは真っすぐとフォークで強気に攻めていくという“自分らしさ”を見てもらいたいですね。

  オフの努力が実った春

 年齢を考えても、増井にとって今年はプロを目指す「ラストチャンス」だった。それだけに今シーズンにかける思いは人一倍強かったという。実際、どんな1年を過ごしてきたのか。そして、プロ入り後の課題とは?

―― プロへの意識はいつ頃?
増井: これまでは最高でも145キロが出ればいい方で、常時140キロ台前半だったんです。ところが、今春の静岡大会で140キロ台後半がバンバン出るようになった。一冬越えて、変わったということを実感しました。

―― なかでも一番鍛えた部分は?
増井: ピッチングする中で、肩や腕まわりの筋肉が必要だなと思ったので、そこを重点的に鍛えるようにしました。もちろん真っすぐのスピードをアップさせたいというのもありましたけど、何より今年プロに行くには何かを変えなければいけないと思ったんです。それで、これまで取り組んでこなかったことを積極的にやっていこうと。

―― 練習で心がけていることは?
増井: 日々、全力でやるということですね。「よくオマエ、毎日そんな全てに全力でやるよな」ってピッチングコーチから言われたこともあります。でも、自分としては高校、大学の頃から常に全力でやってきたので特に疲れは感じないんです。オンとオフのメリハリをしっかりととるようにしているからかもしれません。

―― 今季、成長した部分は?
増井: それまでほとんど実戦では投げていなかったフォークボールを、今季は多く投げるようになったことでピッチングの幅が広がりました。三菱ふそうから移籍してきたキャッチャーの井川良幸さんに「フォークボール、もっと使っていこうよ」って言われたことがきっかけでした。使い始めたら空振りが取れるようになって……。フォークの効果がわかって、自信が出てきたんです。今までのスライダーとチェンジアップで左右に振っていたところに縦の変化が加わったのは大きかったですね。井川さんのアドバイスがなかったら、今の自分はなかったかもしれません。

―― プロでの課題は?
増井: 体重が軽いので、その分、球も軽いんです。もっと力のあるボールを投げたいので、まずは身体を大きくすることですね。実はファンフェスタの時に早速言われてしまいました。ただ、ダルビッシュ有投手などは見た目は細いですけど、しっかりと鍛えています。自分も細くてもいいので、必要な力をつけたいですね。

 増井には対戦を楽しみにしているバッターがいる。同じチームの稲葉篤紀だ。今から13年前、小学6年の時に参加した野球教室で増井は、当時ヤクルトに入団して2年目の稲葉に指導を受けたことがある。初めて接した憧れのプロ野球選手は、今春のWBCでは日本代表の4番を務めるなど、今や押しも押されもしない日本球界屈指の強打者となっている。そんな雲の上の存在に、自分がどんなピッチングができるのか。「自分の持っている球種を全て投げてみたい。もし、打ち取ることができたら、きっと大きな自信になると思います」と増井。今からキャンプでの紅白戦が待ち遠しい。


増井浩俊(ますい・ひろとし)プロフィール>
1984年6月26日、静岡県出身。静岡高校、駒澤大学を経て、2007年東芝に入社。3年目の今季、最速150キロを記録。主力投手の一人として都市対抗に出場した。予選ではチーム最多の4試合に登板し、防御率1.66をマークした。本戦でも初戦に先発を託されるなど、チームからの信頼も厚い。IBAFワールドカップ日本代表にも選出されるなど、今シーズンの活躍がプロへの道を切り開いた。181センチ、67キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)

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