到着しました、コンフェデレーションズカップの舞台・ブラジルに。

 W杯アジア最優予選イラク戦の会場となったカタール・ドーハから飛行機でサンパウロまで14時間半、そこから国内線で開幕戦ブラジル―日本の会場、首都ブラジリアまで2時間。空港までのアクセスを含めると丸一日かけて移動してきたので、13日深夜にブラジリアに着いたころはもうぐったり。日本の真裏に来たんだという変な実感があった。

 ブラジリアはブラジルの中央、内陸部にある都市。きちんと区画が整理されている計画都市であり、「ジェット機のような形」をしていると教えてもらっていたが、確かに着陸前に上空から眺めるとそんなふうに見えた。

 ブラジルには親日家が多いと聞く。まずここに来て驚いたのは、日本語を話せるブラジル人にたった数時間で2人も出会えたことだ。

 ひとりはサンパウロの空港で国内線に乗り換える際に、こちらのルールがわからないでいたら「日本人ですか? チケットに順番が書いてありますよ」と教えてくれた男性。ブラジルの国内線は搭乗の順番にAからDまであって、Aから順番に入る。Aが優先搭乗になるわけだが、僕はどうもAの列に並んでしまっていたようで、そこを教えてくれたわけである。「日本語、うまいですね」と言うと「日本に住んでいました」とのこと。「日本は好きです」とも言ってくれた。

 もうひとりはブラジルのホテルで出会った。到着が遅い時間になったため、宿泊するホテルのレストランで一緒にやってきたライター、カメラマンの先輩たちと夕食を取ることになった。しかし、ポルトガル語がうまく聞き取れず、簡単な英語でも通じないため、困っていたときに厨房から「日本人ですか?」と日本語でまたまたお助けの声が。そのスタッフは「今、日本語を勉強しているんです」と少したどたどしくも、料理を説明してくれたりして非常に助かった。

 それにしてもさすがにラテンの国だ。夜遅かろうが、にぎやかに笑って会話する人が多い。酔ってもいないのに歌い出している人もいた。我々の顔を見て「ニッポン、フットボール、ストロング」と近づいてくるオジサンも。地理的には真裏にあるというのに、何故だか、「人との距離」という点で日本とブラジルは近い感じがした。治安を含めてこれから印象は変わっていくかもしれないものの、第一印象としては「日本と近い国」というイメージを感じた。

 日本人もブラジル人も待ちに待ったコンフェデ。ホスト国ブラジルが開幕戦で登場するブラジリアは相当な盛り上がりとなるだろう。
 ザックジャパンの気合いは語るまでもない。イラク戦に1―0で勝利した後、長友佑都は「凄くワクワクしている自分がいる」と話していたが、メンバー全員がそんな思いでいることは間違いない。

 今のザックジャパンの力量を測るうえでブラジル、イタリア、メキシコはまたとない相手。1年後のワールドカップ本大会に向けて何を改善すべきか、逆に何を武器にしていけばいいか、それらをしっかりと把握できれば大きな収穫となる。

 強豪との戦いを前に、特に本田圭佑の鼻息が荒いようだ。
それもそのはず、世界のクラブが注目するコンフェデは“就活”の舞台ともなる。今年いっぱいでCSKAモスクワとの契約が切れるだけに、ここで活躍してビッグクラブからのオファーを勝ち取りたいところ。

 過去、コンフェデの活躍で移籍を実現させたのが中村俊輔だった。2005年、ドイツで開催された同大会で活躍し、スコットランドの強豪セルティックを指揮するゴードン・ストラカンの目に留まったのだ。指揮官の意中の人は日本と対戦したメキシコのプレーヤーだったようだが、結果的には相手チームの司令塔にほれ込んでしまった。その後、セルティックでの中村の活躍は今さら説明する必要もないだろう。

 ブラジル、イタリア、メキシコという相手関係を見ても日本の試合は注目を集めるに違いない。そして当然ながら本田だけではなく、他の日本代表選手にとってもチャンスになる。

 日本にとって大事な意味を持つコンフェデがいよいよ開幕する。

(今月の日本代表特捜レポートはコンフェデ杯に合わせて更新日を変更いたしました)
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