一流と呼ばれるアスリートの肉体にはどんな秘密が隠されているのか。そして、一流と二流を分ける最大の要素は何か……。
 スポーツ界で古くから問われ続けてきた難問にひとつの答えを提示する新書が完成しました。答え探しの作業を試みたのはリングドクターとしても活躍する医師の富家孝氏と、当HP編集長・二宮清純。アスリートの肉体を間近で接してきたドクターが、彼らの核心に迫る取材を続けてきたスポーツジャーナリストとタッグを組み、格闘技はもちろん、野球、サッカー、陸上とあらゆるスポーツについて考察を巡らせます。これまでのスポーツ書籍とは一味も二味も異なる一冊です。
 二宮清純メッセージ

 日本ボクシングコミッションや新日本プロレスのリングドクターとして長年にわたって格闘家の肉体を診てこられた富家孝先生とは旧知の間柄である。著作を発表されるたびに送っていただき、何度か書評させてもらったことがある。
 
 何かの拍子で「一緒に本を出そう」という話になり、今回、それが実現した。
 富家先生は格闘技以外のスポーツにも造詣が深く、私が取材で得た情報や知識にドクターの立場から専門的な考察を加えていただいた。それにより、あまり類をみないコラボレーションができたのではないかと少々、自負している。

 対談していて改めて思ったのは、一流選手には一流選手の、二流選手には二流選手の「理由」があるということだ。そして、そのほとんどは後天的なものであり、先天的なものはきわめて少ない。

 スポーツの奥行きは恐ろしく深い。進めども進めどもゴールは見えず、逆に迷路に入ってしまったような錯覚に陥る。それでもゴールを探そうとするのは、「わからないことをわかりたい」とする人間の本能の成せる業なのだろう。

 対談での全ての検証が正しいとは思わないし、また、全てが間違っているとも思わない。ただ、5年先、10年先に読み返しても色あせない価値のある本ができたとは思っている。
(「はじめに」より抜粋)

『一流アスリートの「身体脳力」』

○第1章 アスリートの肉体――一流と二流を分けるもの
 最強アスリートの身体能力/松井秀喜とボールパークの関係について考える/長寿アスリートの秘密/スポーツとドーピングは切っても切れない関係か/最強アスリートに欠かせない条件とは

○第2章 最強伝説――結局、一番強いのは誰なのか
 三沢光晴の死が物語るプロレスラーの肉体の問題/プロレス界最強は誰なのか/頂を極める者と届かぬ者、その微妙な分水嶺/最強伝説の仕掛け人

○第3章 相撲・武道論――日本人が勝てなくなった真の理由
 角界に吹き荒れる「モンゴル旋風」の真実/“本当に強い”力士のたぐいまれなる身体能力/日本のお家芸「柔道」が抱える悩み

○第4章 プロ野球の超一流――その驚くべき身体能力の源泉
 プロ野球No.1ピッチャーは誰か/プロ野球史上最強打者は誰か/対極のバッター・イチローと前田

○第5章 世界標準――世界で勝つ日本人アスリートの条件
 陸上400mファイナリストの知られざるすごさ/日本サッカーが世界と互角に渡り合うには/スポーツを“教育”から切り離せ/強いアスリートを育てるための環境づくり

(青春新書インテリジェンス/定価:976円(税込)/二宮清純、富家孝著)
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