グラクソ・スミスクライン株式会社が運営する喘息情報ウェブサイト「Zensoku.jp」にて、当HP編集長・二宮清純がナビゲーターを務める対談シリーズ「二宮清純のゼンソク人間学」が好評配信中です。幼い頃から喘息に悩まされてきた二宮が、病気を克服して活躍しているスポーツ選手、元選手と対談。喘息をいかに乗り越えるかというテーマで話を進める中で、この病気への理解を深め、患者さんを勇気づけることを目指しています。同シリーズでは現在、プロトライアスリートの庭田清美選手、東京アレルギー・喘息研究所所長の佐野靖之先生との対談を公開中です。今回、新たに後編が更新されました!

(写真:現在はオーストラリアを拠点に活動中の庭田選手)
 当サイトでは対談の一部を特別にご紹介します。
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 適切な治療で引退回避

二宮: 30代で喘息を発症し、競技を続けている庭田さんの存在は貴重です。大人になって発症しても、適切な治療で症状をコントロールすれば、パフォーマンスが上がる。先駆者の役割を果たせるのではないでしょうか?
庭田: おそらく喘息だと気づいていないアスリートもいっぱいいると思うんです。それで競技を辞めた人も多いのではないでしょうか。実際、私も喘息とわかるまでは、「もうダメだな」と思っていたんですよ。いくらやっても息苦しくてパフォーマンスが上がらない。それでもレースに出ないと、年齢が年齢なので若い選手にチャンスが与えられてしまう。北京五輪の前年の2007年のシーズンは本当に苦しかったです。引退も考えました。私はコーチに「喘息じゃないか?」って言われた、あの一言で救われたようなものです。

二宮: そう考えたらアスリートの方はみんな喘息のチェックを受けたほうがいいかもしれませんね。治療すれば改善するのに、現役を辞めてしまったらもったいない。
佐野: 特にアスリートは肺や気管を酷使していますから、気づかないうちに発症している可能性もあります。喘息というと咳込んでゼエゼエ、ヒューヒューとなるイメージがありますが、それは典型例で重いケース。喘息のせいで息苦しいのに「体力落ちたのかな、年のせいかな」ととらえている方は多いかもしれませんね。

二宮: 早く喘息だと気づけば適切な治療が受けられる。最終的には専門医の診断が必要でしょうが、喘息かどうか判断する方法をぜひ教えてください。
佐野: やはり息苦しさを感じるというのが一番でしょう。あとは、夜中や寝る前に咳が出たり、タバコの煙や香水などの化学物質に過敏に反応する方は、その可能性がありますね。喘息は、気道がアレルギー性の炎症によって狭くなる病気です。喘息患者さんの気道は、炎症を繰り返すことにより、タバコの煙や冷たい空気などの刺激に過敏になっていて、反応が起こりやすくなっています。ちょっとした刺激で気道が狭くなって息苦しくなったりするのです。思い当たることがある方は、一度、診察を受けたほうがよいかもしれません。その上で呼吸機能が低下していれば、喘息と診断することになります。

二宮: となると潜在的な喘息患者はもっと多いと?
佐野: そう思いますよ。たいていの患者さんは、病院に来る段階で非常に息苦しくゼエゼエしていて、症状がかなり悪化しています。夜中にちょっと息苦しいという段階では喘息とは思わずに放置しがちで、その間に呼吸機能がどんどん低下してしまうのです。

二宮: 庭田選手は肺活量がアップしているとのことですし、ロンドン五輪では今度こそ入賞との期待が高まりますね。
庭田: 肺活量だけじゃなくて体もゴツくなっていますよ(笑)。おそらく、これが最後の挑戦。できる限りのことをやって最高のパフォーマンスが出せればいいと思います。ただ、私は今年で40歳を迎えますから、あまり先ばかり見るのではなく、1年1年を頑張りたいです。その上で、来年、五輪を目指せる位置にいれば、代表入りへスパートをかけます。
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 今後もアテネ、北京と五輪2連覇を達成した柔道の谷本歩実選手、球界を代表するクローザー藤川球児投手など、喘息を乗り越えて活躍する各スポーツのアスリートがゲストとして登場予定です。どうぞお楽しみに!
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