待ちに待った国体切符だ。
 8月23日、愛媛県県営弓道場(松山市)で開催された国体四国ブロック予選で、ダイキ弓道部の北風磨理、山内絵里加、玉木里奈の3選手で構成された愛媛県成年女子代表は、近的、遠的ともトップの成績を収めた。結果、総合1位となり、上位2県に与えられる国体出場権を獲得した。同種別で愛媛県勢が国体に出るのは2009年以来6年ぶり。苦しい日々を乗り越えて、大舞台への挑戦権を手にした彼女たちに話を訊いた。
(写真:「今年はいいメンバーが揃っている」と仲間を信頼して弓を引いた北風)
「とにかく、うれしかった」
 3選手は異口同音に喜びを口にした。この5年、ダイキ弓道部を中心とする愛媛県勢は四国の厚い壁に跳ね返され続けてきた。昨年の予選では近的でまさかの4県中、最下位。遠的では2位と追い上げたものの、総合3位と一歩及ばず、涙を飲んだ。

 その悔しさをバネに選手たちは的に向かった。従来より練習量を増やし、遠征や練習試合など実戦機会も数多く積んだ。
「5年間行けなかったプレッシャーはありましたが、今年は手応えがありました」
 主将の北風が明かしたように、体力、技術がともに向上した選手たちには自信が生じていた。

 地元での予選開催とあって、DCMダイキの大亀孝裕会長はじめ、社員も大勢、応援に駆けつけた中、3選手は練習の成果を発揮する。昨年つまづいた近的では、北風が1立目で4射すべてを的に当てる皆中と快調な滑り出し。2立目は山内が皆中で、3人トータルでは24射中19中と高い的中率をみせた。

「1立目は緊張して手が震えて2中でした。2立目は全部、1本目という気持ちで集中して引きました」と山内が振り返れば、玉木は「緊張した分、丁寧に引いた」という。メンタル面が左右する弓道において、緊張といかに付き合うかは大切な要素だ。選手たちは重圧を乗り越え、前年、最下位に沈んだ“鬼門”を突破する。
(写真:自身は07年以来の国体出場。「8年は長かったが、あっという間だった」と感慨に浸る山内

「遠的では緊張がとれてリラックスして引けました」と北風が語った通り、3選手は普段通りの射をみせる。最高10点の的を射る遠的では、9点、7点と高得点を連発。2立目には北風が33点(4射で40点満点)を叩きだし、「こんな点数が出るとは」と本人も驚くほどの数字を残した。

 終わってみれば、3人で158点と2位以下に30点以上の差をつける圧勝。近的、遠的とも堂々の1位で、4県トップでの予選通過を決めた。

「チームの雰囲気が良かった。前向きに取り組めた」(北風)
「近的で北風さん、玉木さんが当ててくれたので安心して引けた」(山内)
「先輩におんぶにだっこでしたが(笑)、おかげでプレッシャーを感じなかった」(玉木)
 3選手が口を揃えたように3選手のチームワークも好結果を呼び込んだ。誰かひとりが足を引っ張ることなく、それぞれが力を出し切った。
(写真:「技術はどうにもならないが、気持ちの面で試合への持っていき方が良かった」と自己分析する玉木)

 次はいよいよ、1カ月後の「紀の国わかやま国体」。予選の成績だけみれば、本番でも充分、上位を狙える数字だ。晴れ舞台に向けて、選手たちはさらに強化練習を重ね、状態を上げていく。
 
「堂々と引きたいですね。2年後のえひめ国体につながる大会にしたい」
 主将の北風が意気込めば、自身8年ぶりの出場となる山内は「緊張しすぎず、練習通りに臨みたい」と自然体を強調する。入社2年目の玉木は「せっかくつかんだ機会なので楽しんで引きたい」と笑顔で語った。

 長年、破れなかった壁を突破し、ついに迎える国体の舞台。さらなる高みを見据え、3選手は的の中心を射抜いてみせる。 
 
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関連リンク>>公益財団法人 大亀スポーツ振興財団

(石田洋之)

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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