午後から日本代表の練習を取材。「ドーハの悲劇」の舞台となったアル・アハリスタジアムが、日本代表の練習グラウンドとなっている。当時を知っている先輩ライターも「面影があるな」と感慨深げだった。
(写真:ドーハの悲劇のスタジアムで見たトロフィー)
◇1月11日 「数々の栄光と挫折を知るアル・アハリスタジアム」

 このスタジアムをホームとするアル・アハリはカタールの強豪クラブで、バルセロナ監督のグアルディオラもここでプレー経験がある。ロビーには栄光を物語るトロフィーが所狭しと並べられていた。
「ドーハの悲劇」のスタジアムであることに選手のなかでも驚きの声を上げた者もいるとか。

 さて日本代表である。シリア戦は絶対に勝たなくてはならないために、選手たちからは緊張したムードが伝わってきた。どの選手も、言葉は多くない。背番号10を背負う香川真司はバスの前で足を止めて「90分のなかでは必ずチャンスがくる。裏にスペースが出てくると思うんでしっかりとやりたい」と意気込んでいた。
 練習の後は、練習場からホテルへ徒歩で帰宅。40分ほど歩いたが、歩道が狭く、砂煙でのどが痛かった。タクシーで戻ればよかったと後悔した。


◇1月12日 「完璧なホスピタリティのメディアセンター」

 この日は午前11時半から、メディアセンターにおいて試合前日の公式記者会見が行なわれた。アルベルト・ザッケローニ監督は「チャオ」と報道陣にあいさつし、追い込まれた状況ではあるものの、表情は落ち着いていた。
「シリアはサウジアラビアに勝っているし、組織力もあってモチベーションも高いチーム」と語りながらも「(日本の)問題はプレースピード。フィジカルコンディションがよければ解決できる」と余裕も感じさせた。
 いろいろと取材してみると、ザッケローニ監督はピッチ以外のことで新しい試みをいろいろとスタートしているようだ。たとえばヨルダン戦を終えた後、ロッカーにおにぎりを用意して食べさせている。炭水化物を摂取して、疲労回復を促進させるためだという。
(写真:会見に出席した長谷部とザック)

 会見を終えてから、メディアセンター内にある食事会場で昼食。このランチが凄い!
 メディアは受け付けでチケットを受け取れば、ここで無料で食事ができるのだ。南アフリカW杯のときはバーガー系が中心で、値段も安いわけではなかった。
 でもここはビーフやチキン、ときにはフィッシュとバリエーションに富んでいて、サラダやデザートも充実している。コーヒーなどドリンクまでタダなのだ。実に気前のいいカタール。メディアの評価も上々だ。次のコラムでは満足の食事を写真に撮って送ります!

(このレポートは不定期で更新します)

二宮寿朗(にのみや・としお)
 1972年愛媛県生まれ。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。格闘技、ボクシング、ラグビー、サッカーなどを担当し、サッカーでは日本代表の試合を数多く取材。06年に退社し「スポーツグラフィック・ナンバー」編集部を経て独立。携帯サイト『二宮清純.com』にて「日本代表特捜レポート」を好評連載中。