日本男子バレーボールは、92年のバルセロナ大会以来、五輪の舞台から遠ざかっている。男子バレーボール日本代表のスーパーエース・山本隆弘選手は、膝の手術を経て、7月下旬に代表チームに合流した。3大会ぶりの五輪出場を目指す日本代表をけん引する大黒柱に、二宮清純がインタビュー。北京五輪への想いを訊いた――。
二宮: 身長201センチだそうですが、近くから見ると本当に背が高いですね。
山本: 中学時代に30センチ伸びたんです。入学の時点では160センチだったのが、卒業するときには192センチくらいまで。牛乳はよく飲んでいましたけど、そこまで伸びるとは思わなかったですね(笑)。

二宮: 30センチ以上伸びたわけですか!? それはすごい。山本選手は1試合の中で60〜70本、スパイクを打つそうですが、成功率は?
山本: 40%から55%くらいですね。どうしても良い状態でのトスが少なく、ポジション的に崩れたところから打つことが多いので、50%いけば良い方です。サーブ、レシーブが崩れて、どうしようもなく高いトスを上げないといけないときにスーパーエースに頼る、というケースが多いんですよ。

二宮: なるほど、スーパーエースはどこからでも打たないといけないわけですね。打つ瞬間に相手の動きはわかるんですか?
山本: 跳んだ瞬間に、まずブロックを見て、向こうのレシーブフォーメーションを確認します。そこで打つ方向を決めますね。跳んでからじゃないと相手に読まれてしまう。打つ瞬間に動かされたら、変えようがないですが…。

二宮: 0コンマ何秒の時間ですね。ところで来年は北京五輪イヤーですが、やはり五輪への思いは強い?
山本: そうですね。日本代表入りして7年目ですが、まだ五輪に出たことがないので、ぜひ出場権を獲得したいですね。今29歳なので、北京五輪のときには30歳。年齢的にもラストチャンスだと思っています。

二宮: なるほど、次が勝負ですね。男子バレーは3大会連続で五輪出場を逃していますが、何が足りないと思いますか?
山本: 絶対に勝てない相手ではないところにも負けたりしているので、経験もあると思います。あとは過去の代表チームの傾向として、メンバーがよく入れ替わっているんですね。バレーボールの場合、代表チームの活動の間にVリーグを挟むので、コンビネーションをしっかり合わせるためにも、ある程度はメンバーを固定して、チームづくりをしていかないと厳しいと思います。

二宮: 日本代表の植田辰哉監督からよく言われることは?
山本: スーパーエースはチームの大黒柱になるので、普段からそういう空気を出せ、とは言われますね。あとはゲームの中でも、チームのムードをつくっていくように、と。プレー以外に、試合中の表情のことなども厳しく言われます。妥協はしない人なので、厳しいですね。本当にいちばん苦しいときに打つのが自分の役割だという自覚はあります。

二宮: 北京五輪出場への道のりは?
山本: 今年11月のワールドカップ、そこでダメなら、来年の最終予選で目指すことになります。ワールドカップでは五輪開催国の中国を除いた上位3位チームが、五輪の出場権を獲得できます。強豪国ばかりなので厳しい戦いになると思いますが、頑張りたいですね。

※多くのアスリート、またスポーツに関わる人々を栄養の面からサポートし、様々な競技で大きな成果へとつなげている『ザバス スポーツ&ニュートリション・ラボ』の活動を紹介する「二宮清純のラボ取材記」。次回はラボスタッフによる山本隆弘選手へのサポートの模様をレポートします(8月上旬アップ予定)。お楽しみに!