第60回全日本大学野球選手権が7日、開幕する。優勝候補の筆頭は連覇を狙う東洋大、2季ぶりに東京六大学を制した慶應大だ。さらに就任4年目にして東京国際大を初優勝に導いた古葉竹識監督の采配も注目される。全国から26の代表校が出場し、神宮球場と東京ドームで6日間にわたる熱戦が行なわれる。
 東洋大は今秋のドラフトで上位指名確実と言われているエースの藤岡貴裕がリーグ戦全11試合に登板し、防御率1.41と好調をキープしている。一方の慶應大の伊藤隼太は大学No.1の野手として、こちらもプロ注目の逸材だ。伊藤を中心とする打線は機動力もあり、得点能力が高い。投手陣は低めへの制球力が生命線の竹内大助と、最速155キロのストレートを誇る福谷浩司と異なるタイプの投手陣が柱となる。首都大学リーグでドラフトの目玉と言われている菅野智之擁する東海大を押しのけ、優勝を果たした日本体育大はエース辻孟彦が大黒柱だ。リーグ戦では菅野に2度も投げ勝ち、リーグ記録となる10勝をマーク。そのうち完封5試合とスタミナも抜群だ。

 5年連続、出場校最多の28度目となる東北福祉大は最速148キロを誇る右腕・中根佑二を擁する。中根は仙台六大学リーグで被安打、与四球ともに自己最多を記録するも、5連勝を果たし、MVPを獲得した。中根自身、今回で5度目の全国大会挑戦となるが、過去4度は全て登板したものの未勝利に終わっている。今秋のドラフト上位指名の可能性を秘める右腕だけに、全国で結果を出したいところだ。得点圏打率約5割で11打点をマークし打点王を獲得、打率もリーグ2位の3割6分1厘と好成績を残した尾形裕介の勝負強さにも注目したい。

 2年前の準優勝校・富士大は当時のメンバーだった主将・川中理、古川貴広、佐藤弘典を中心に、北東北リーグでは開幕8連勝を飾った。打線は野手のほとんどが昨秋からのメンバーで、1試合平均6.4得点を叩き出した。特に打率(3割9分5厘)、本塁打(3本)、盗塁(8)の3部門でトップの成績を残した1番・佐藤、さらに12打点をマークして打点王に輝いた古川は大黒柱として打線を支える。投手陣が2年生中心と若いだけに、打線の援護が勝利の必須条件となる。

 初出場ながら古葉監督が率いる東京国際大にも注目だ。古葉監督は広島監督時代、球団史上初のリーグ優勝、さらには3度の日本一に導いた名将。就任4年目で同大を初優勝に導き、その手腕は健在だ。果たして全国の舞台でどんな采配を見せるのか。そのほか、広島六大学リーグで7勝、防御率0,87と抜群の安定感を見せたエース久保田高弘擁する近畿大学工学部、四国六大学リーグで無敗の10連勝を飾った四国学院大などが出場する。
 

〜第60回全日本大学野球選手権日程(初戦のみ)〜

【第1日】
<1回戦>
東京ドーム・8時半
 徳山大(中国地区大学) − 奈良産業大(近畿学生)
東京ドーム・11時
 京都学園大(京滋大学) − 福岡大(九州六大学)
東京ドーム・13時半
 上武大(関甲新学生) − 道都大(札幌学生)
東京ドーム・16時
 四国学院大(四国地区) − 大阪体育大(阪神大学)

神宮・8時半
 東日本国際大(南東北大学) − 愛知学院大(愛知大学)
神宮・11時
 横浜商科大(神奈川大学) − 東京農業大生物産業学部(北海道学生)
神宮・13時半
 東京国際大(東京新大学) − 龍谷大(関西六大学)
神宮・16時
 東京情報大(千葉県大学) − 日本大国際関係学部(東海地区大学)

【第2日】
<1回戦>
東京ドーム・8時半
 近畿大工学部(広島六大学) − 名桜大(九州地区大学)
東京ドーム・11時
 福井工業大(北陸大学) − 九州共立大(福岡六大学)
東京ドーム・13時半
 東洋大(東都大学) − 第1日第2試合(東京ドーム)の勝者

<2回戦>
神宮・8時半
東北福祉大(仙台六大学) − 第1日第1試合(神宮)の勝者
神宮・11時
 慶應義塾大(東京六大学) − 第1日第2試合(神宮)の勝者
神宮・16時
 日本体育大(首都大学) − 第1日第1試合(東京ドーム)の勝者

【第3日】
<2回戦>
東京ドーム・11時
 富士大(北東北大学) − 第2日第1試合(東京ドーム)の勝者
東京ドーム・13時半
 同志社大(関西学生) − 第2日第2試合(東京ドーム)の勝者