仕様写真3荒川氏とのツーショット

(写真:多くの人にランニングの楽しさを実感してほしいと話す荒川氏)

 adidasが掲げるエナジーランニング――。ランナーに「『尽きることのない、走る歓び』を提供することだ」とadidas japanの荒川正史(Runningビジネスユニット マーチャンダイジングシニアマネージャー)は切り出した。adidasはこのコンセプトに沿ったランニングシューズ「bounce(バウンス)」シリーズとランニングウェア「パックダイ」を発売した。ともにランニングにおける性能、デザイン性、を追求した商品だ。スポーツの秋をadidasが彩る――。

 

 走り出したくなるシューズ

 

 現在発売中のbounceはEVAモデルの中でも、より衝撃吸収性と反発力を併せ持つbounceフォームを使用している。これにより、踏み心地は柔らかさを増し、思わず走り出したくなる衝撃に駆られる、という。

 

 荒川氏は「クッション性と反発力の両立。adidasの最新のテクノロジーを手頃な価格でランナーに提供したかったんです」と語った。

 

仕様写真1bounce

(写真:adidas最新のテクノロジーを搭載したenergy bounce)

 2013年に発売以降市場を席巻し、今やadidasのランニングシューズの代名詞となっている「boost」シリーズは、ポリウレタンを粒の状態にすることでクッション性と反発力の両立を可能にした。一方、今秋発売のbounceはEVAを進化させることで、この利点を継承した。

 

「店頭で接客をすると初心者の方の多くは“クッションがあるものがいい”と言いますね。でも、まだランニングを始めようか、どうしようかと考えているお客様は、たとえ高性能のシューズでもそんなに多くのお金はかけない。そういった方にもadidasのランニングのエネルギーを体感していただきたい。価格帯が違えど、搭載されている機能に一貫性を持たせたかったんです」

 

 ランニングシューズは主にニュートラルと言われるクッション重視のものと、ケガをしがちな人のために、安定性の高いスタビリティー仕様のものに分けられる。このシリーズには、いくつか種類があり、bounceはランナーの用途に合わせて3パターンを提供することができる。

 

 相反する要素が共存する「bounce」シリーズ

 

 1つ目は、シリーズの中で最もポピュラーな「energy bounce(エナジーバウンス)」。履いてみると足を包み込むような包容力がある。クッション性を突き詰めた成果と言えよう。それでいて、弾む感覚もある。このシューズで走れば、自然と前に体が運ばれる感覚を味わえるのではないか。反発力もあるのに片足重量が305グラム(27センチ)しかない。

仕様写真2バウンスの赤)

(写真:鮮やかなワントーンで足元を彩る)

 

 デザインは色鮮やかで、スニーカーに近い。これなら、日常でも履きたくなるデザインだ。荒川氏は話す。
「今のランニングシューズ市場にはないルックス。だが、明るめのワントーンがすべての人に受け入れられるわけではないです。だからツートーンも用意しました」

 

 2つ目は「ozweego bounce cushon(オズウィーゴ バウンス クッション)」。片足重量が295グラム(27センチ)とenergy bounceよりも軽い。さらにトルションシステムを中足部に搭載することで、プロネーション(足部のねじれ運動)が制御される。クッション性を重視するランナーの滑らかな重心移動を可能にしている。

 

 3つ目は「ozweego bounce stability(オズウィーゴ バウンス スタビリティ)」。こちらは片足重量320グラムとbounceシリーズの中では一番重い。最大の特徴はホールド力にある。ozweego bounce cushonと同じくトルションシステムに加え、テイブルフレーム(ウレタンのパーツ)を搭載した。これにより、ランニング時にシューズの中で起こる、ねじれを制御してくれる。柔らか過ぎて不安になるランナー向きの仕様だ。

 

 軽さと安定性、クッショニングと反発性。ランニングシューズにおける相反する要素を共存させたのがbounceだ。

 

 唯一無二のデザイン

 

 スポーツの秋に、彩りを添えてくれるのは足元だけではない。ランニングウェア「パックダイ」も紹介したい。

仕様写真4パックダイ2パターン

(写真:ひとつひとつ染め上りが違うパックダイ)

 最大の特徴は、1つとして同じデザインが存在しない点である。パック状態のまま日本伝統の染め物の技術で染め上げているからだ。荒川氏は「世の中全体的に色々なものをカスタマイズしたり、“自分のオリジナリティー、自分だけの”という傾向にあるんです」とコンセプトを語る。adidasは日本古来の製法や、イノベーションを活かしたものを世界に向けて販売していく。

 

 この「パックダイ」には、まだ特徴がある。背中についているポケットにジャケットをしまいこめる。これなら持ち運びにも便利だ。また、腕を振りやすいように脇の部分がカットされている。サムホールという指を通す穴が袖口に開いていて、袖が手袋代わりになる。ランナーへの気配りが施されている。

 

 思わず走り出したくなるシューズと、持ち運びが便利で世界に1つだけのウェア。この秋、ランニングはadidasのイノベーションでさらに楽しくなる。


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