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(写真:ここ10年では最多となる677人の選手団で大会に臨んだ)

 10月6日に閉幕した「2015紀の国わかやま国体」で愛媛県は1203.5点を獲得して天皇杯(男女総合)順位で13位に入った。昨年の21位からジャンプアップし、2年後に控える「愛顔(えがお)つなぐ、えひめ国体」に向けて弾みをつける形で大会を終えている。

 得た収穫と残された課題とは。

 県選手団の総監督を務めた藤原恵・愛媛県体育協会専務理事に話を聞いた。

 

――天皇杯の順位は2年前が26位、昨年が21位ときて今年が13位と確実に順位を上げています。どのような評価を?

「現在の競技力から考えればよく頑張ってくれましたし、各競技団体の努力のたまものだと思います。しかし残念ながら目標の10位以内には届きませんでした。得点も参加点の400点を引くと、800点ちょっと。(わかやま国体に合わせて)各競技団体に目標点数を設定してもらったのですが、それを合わせると907.5点でした。つまり目標点数も100点ほど足りなかったことになります。総合優勝するためにはあと1000点必要になってきますので(※優勝した和歌山県の点数は2257点)一層の努力が必要になります。各競技には今以上に頑張ってもらわなければなりません」

 

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(写真:ソフトボール少年男子を制した県選抜チーム)

――競技別で見ると、県選抜の少年男子が8回タイブレークで広島を破って優勝を飾り、成年女子が準優勝したソフトボールが138点を叩き出しました。成年男子こそ準々決勝で栃木に8回タイブレークの末に惜しくも敗れたとはいえ、総合で1位。13位進出の原動力になりました。

「ソフトボールは目標点数を大幅に上回りました。要因と言えば、男子の愛媛ウエスト、女子の伊予銀行と日本リーグに所属する実業団チームが愛媛にあるというのがやはり大きいと思います。練習環境が整ってきて、高校チームが借りて使ったりもしています。8月のインターハイでは松山工が3位になりましたし、高校世代の強化も進んでいます。あとは少年女子に期待したいですね」

 

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(写真:準優勝を収めた剣道成年女子の選手たち)昨年に続いて3位に入った少年女子かじ付き4人スカル)

――前年152得点を稼いだお家芸のボートも3位の少年女子かじ付き4人スカルなど6艇が入賞しましたが、107得点にとどまりました。期待値から考えると、もう少し得点を伸ばしたかったというのが本音でしょうか?

「(アジア選手権で)選手が抜けたりという事情もあり、悪くても120点という目標を設定していました。優勝者も出ず、設定をクリアできなかったのは残念でなりません。しかし、武田大作をはじめ、選手はそろっていますから愛媛国体では200点も夢ではないと思っています。勝負ごとなのでどうなるかは分からないとしても、ボートには140、150点ほどは確実に取ってほしいと考えています」

 

――100点台を出したのはその2競技ですが、成年男女で準優勝の剣道が96点、成年女子が20年ぶりの準優勝となったバスケットが85点と健闘しました。

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(写真:準優勝を収めた剣道成年女子の選手たち)

「本当にそうです。あと重量挙げ(53点)、弓道(52点)、自転車(46点)……。ただこれまでなかなか点数を獲得できなかったセーリング(20点)やアーチェリー(28点)で個人種目の優勝者が出てきました。これまで点数を稼げなかったラグビーも今回、30点取ってくれています。様々な競技で底上げが成されているということは言えると思います」

 

――個人優勝の話が出ましたが、セーリングでは過去、国体で3度の優勝経験を誇る小嶺恵美選手(一宮グループ)が成年女子ウインドサーフィン級で優勝しました。

「リオ五輪を目指す選手が愛媛に来てくれて、全体を底上げしてくれています。いい効果が出ていると思います」

 

――参加得点の10点を除き、「競技得点ゼロを無くす」という目標も掲げていますが、その点ではいかがでしょうか?

「相撲なども今回取れましたし、去年は18競技あったのが、今年は5競技減って13。2年後の総合優勝を達成するためにも、オール愛媛として限りなくゼロに近づけたい。国体を振り返ってみて、各競技団体にヒアリングしながら課題や今後の取り組みについて協議していきたいと考えています」

 

 2年後の地元開催に向けて

 

――では、今後の取り組みについてお聞きしたいと思います。あと2年というスパンでやるべきことというのは?

「まずは各競技団体に話を聞き、課題をはっきりさせてから対策を考えていきたいですね。ただ、全体で言うなら、練習場の確保、練習時間の確保というところをもっと改善させていきたい。たとえば市や町の大きな体育館や施設を使いたいとしても、国体の練習が優遇されるわけではありません。出来る限りの配慮を、市町村にはお願いしていきたい。

練習時間に関しては、選手の所属先にお願いをしていかなければなりません。夕方5時に仕事を終えて2時間ほどの練習で十分なのか。もう少し前倒しして、練習に費やせる時間を持てないものか。そういったことも含めて、県民のみなさん、関係者のみなさんにご協力をいただければ。ただ一方で、市町村にご理解をいただいているのも事実です。たとえば就職に公務員を希望する選手のために、全国で好成績を収めた者には一次試験を免除していただけるところもあります」

 

――国体に向けて県民の盛り上がりはどうでしょうか?

「だいぶ出てきているとは思います。運営を行なう各市町に実行委員会ができ、ボランティアの募集なども始まっています。今、『ゆるキャラグランプリ2015』のランキングトップが愛媛の『みきゃん』なんですが、国体のマスコットキャラクターでもあります。そのままトップになってくれれば、国体の広報宣伝活動にも凄くプラスになると思います。

 ただ、これだけは言っておきたいことがあります。総合優勝を目標にするともに、国体の盛り上がりを一過性にはしたくはありません。開催地の成績が翌年にはグッと下がる傾向があって、国体の意義は終わったと批判する声もあります。何とかその批判をなくしたい。一過性に終わらせないという思いを強く持って取り組んでいます」

 

――と、言いますと?

「平成13年から愛媛のスポーツ振興は始まっています。(勝利を目的として)トップ選手を招くだけでは根づくとは思っていません。就職してもらって、県の選手を育ててほしいと言ってきました。スポーツで明るい愛媛をつくるという精神のもと、様々な競技で愛媛国体以降も盛り上がりを継続させたい。インターハイの強豪になる高校が新たに出てきてもいい。たとえば愛媛国体でビーチバレーが種目に入ってきますが、国体が終わってもビーチバレーを熱心に取り組み大学などが出てきてもいい。一過性に終わらない働きかけをしていければと思います」

 

 2年後の総合優勝と、国体後の盛り上がり堅持を目指して。

 来年は「2016希望郷いわて国体」が待っている。まずは天皇杯順位、10位以内入りを目指すことになる。

 

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(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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