10月31日、11月1日と四国アイランドリーグ選抜チームを率いて、中日との交流試合に臨みました。中日は若松駿太や又吉克樹、平田良介、高橋周平ら1軍クラスの選手が多く出場して、いい経験になったことでしょう。リーグ選抜もドラフト指名選手がメンバー入りし、2連敗だったものの、それなりの戦いはできたと感じています。

 

 とりわけ、中日に育成指名された吉田嵩(徳島)は先発で3回1安打1失点。谷繁元信監督が見つめる前で好内容を見せました。入団前に直接、ピッチングを見てもらう機会があるのは独立リーグならでは。すばらしいアピールができました。

 

 吉田はストレートとカーブが良い右腕。まだ19歳で伸びしろもあります。この1年で北米遠征にも参加し、数多くの登板をこなすことでたくましさが増しました。高卒1年ながら、試合の中でのレベルアップを証明したのではないでしょうか。

 

 今回のNPBドラフト会議でガイナーズからは4名の選手が指名を受けました。本指名は松本直晃のひとりだけ。しかも順位は埼玉西武の10位と、物足りなさはありますが、選手にとってはNPBに入れる資格を得たわけです。入団すれば1位も10位も変わりません。力をつけて戦力になってほしいと望んでいます。

 

 松本は硬式での投手経験1年目でも、クイックや牽制は既にNPB1軍レベル。その成長曲線にスカウトが早くから注目していました。即戦力ではないかもしれませんが、ストレートの質と変化球の精度を磨けば、1軍も見えてくるでしょう。

 

 今季、盗塁王を獲得した大木貴将は、その俊足と内外野が守れる点が評価されました。欲を言えば、育成ではなく、本指名で行ってほしかったところです。千葉県出身で千葉ロッテは地元球団。打撃をワンランク上げて、まずは支配下登録を勝ち取ってもらいたいものです。

 

 巨人から育成指名を受けた松澤裕介は、まだ粗削りですが、バットがしっかり振れ、伸びる要素はあります。巨人は来季から3軍制を導入し、川相昌弘が監督に就任しました。育成に力を入れ、実戦機会も増えそうです。同じく徳島から入団する増田大輝とともに切磋琢磨してほしいと思っています。

 

 オリックス育成2位の赤松幸輔は前期にリーグトップの9本塁打を放って前期MVPに輝くなど、100キロを超える巨漢の割には柔らかいバッティングが持ち味です。みやざきフェニックス・リーグではキャッチャーとして相手の盗塁を連続して刺し、つかんだものがあるようです。キャッチャーは重労働のポジション。NPBでは練習もきつくなるでしょうから、まず環境に適応して長所を発揮してもらいたいですね。

 

 これでガイナーズからは10年連続でNPB選手を輩出することができました。リーグでも創設1年目から常にNPB選手を生みだし、その歴史がつながったことはホッとしています。

 

 来季も大幅に選手が入れ替わることになるでしょうが、ドラフトの実績からガイナーズで挑戦したいという選手も増えています。BCリーグも含めて球団数が増え、いい素材を集めるのは大変な作業になっています。可能性のある選手をひとりでも確保し、アピールポイントを見極め、スカウトに売り込むことが我々の大事な役割です。

 

 リーグも12年目となり、単にNPBに行くだけでなく、活躍できる人材を送りだすことが目標になります。引き続き、育成リーグとしての存在価値を高める。このことを念頭に、オフの選手獲得を進めていくつもりです。

 

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