14日、WBSC世界野球プレミア12の第1ラウンドが行われ、Bグループの日本代表(世界ランキング1位)は、アメリカ代表(同2位)に10-2で快勝した。日本は序盤、2点を先行される苦しい展開。4回表に1点を返すと、6回表に筒香嘉智(横浜DeNA)の適時打で追いついた。続く中田翔(北海道日本ハム)の勝ち越し3ランで逆転に成功する。7回表には筒香が3打席連続となるタイムリーを放つと、松田宣浩(福岡ソフトバンク)が満塁本塁打でダメを押した。開幕4連勝の日本は、Bグループ1位通過で決勝トーナメント進出が決定。16日にAグループ4位と準々決勝で対決する。

 

 10安打13打点で圧勝 (桃園国際棒球場)

日本代表     10 =000104500

アメリカ代表   2 =011000000

 

(日)菅野‐○則本-山崎‐増井‐澤村

(ア)グルーベ‐●シモンズ‐イーブランド‐サターホワイト‐フォーサイス‐コールマン

本塁打 (日)中田2号3ラン、松田1号満塁

    (ア)マクブライド1号ソロ

 

 勝てば、Bグループ1位で準々決勝進出が決まる一戦。先発の菅野智之(巨人)は、立ち上がりから2者連続で四球を出すなどコントロールに苦しんだ。2回裏にマット・マクブライドに先制ソロ本塁打を浴びると、3回裏に守備の連係ミスをきっかけに再び失点する。今季セリーグ防御率2位の右腕は、毎回走者を背負い、ピリッとしなかった。

 

 一方、打線は、アメリカ先発のジャレット・グルーベに3回まで1本のヒットに抑えられて、攻撃のチャンスを作れずにいた。しかし、リードを2点に広げられた直後の4回表にようやく1点を取り返す。山田哲人(東京ヤクルト)がツーベースヒットを放つと、2死二塁で筒香に打順が回る。筒香は初球を積極的に振り抜くと、打球は左中間に飛んでいき、山田は生還した。

 

 1点差に詰め寄った日本は、5回裏から則本昂大(東北楽天)が登板。則本は先頭を空振り三振に切って取る。躍動感溢れるピッチングで、後続もファーストゴロ、ライトフライに仕留めた。1番からの好打順を三者凡退で抑えて攻撃のリズムを作った。すると、6回表に日本の猛攻が始まった。2番手のセス・シモンズから山田が四球を選ぶと、中村剛也(埼玉西武)がヒットで繋ぐ。1死一、二塁となると、ここでアメリカは左の筒香に対し、左のディナ・イーブランドを投入してきた。筒香は2球目のスライダーにバットを折りながらもセンター前に運んだ。同点に追いついてなおもチャンスは続く。

 

 ここでバッターボックスには今大会打率6割超えと大当たりの中田が入った。第2戦はサヨナラ含む5打点、第3戦は決勝タイムリーと連日ヒーローとなっている。抜群の勝負強さを誇る26歳のスラッガーは一振りで日本に歓喜の瞬間をもたらす。カウント2ボールからの甘い球を見逃さなかった。レフトスタンドへ勝ち越しとなる3ランホームランを叩き込んだ。この回に一挙5得点をあげた日本は、試合の流れを完全に呼び寄せた。

 

 続く7回表、日本の打線は再び爆発した。秋山翔吾(西武)と山田が四球で出塁すると、2死一、二塁で2安打2打点の筒香が打席に入る。筒香は5球目の変化球を、体勢を崩しながらもセンター前に打ち返し、3打席連続で打点をあげる。次の中田が四球を選ぶと、2死満塁で松田が初球を積極的に振り抜いた。打った瞬間、球場はドッと沸いた。高く伸びた打球はきれいな弧を描き、レフトスタンドに飛び込む。松田のグランドスラムでアメリカを8点差に突き放した。

 

 大量リードの日本は7回を山崎康晃(横浜DeNA)、8回を増井浩俊(日本ハム)がそれぞれ三者凡退に抑えると、9回は澤村拓一(巨人)が上がる。澤村は、全12球中11球ストレートとアメリカ打線を力でねじ伏せて三者凡退で試合を締めた。菅野の後を託されたリリーフ陣は、見事な無失点リレーをみせた。

 

 この試合をモノにできたのは、3本の適時打を放った筒香の活躍に尽きるだろう。特に6回表の筒香が放った同点タイムリーが日本の反撃に火をつけた。緊迫した場面で自らの役割をきちんと果たす姿は見事だった。また6回に筒香の同点打で生還した山田の存在も忘れてはならない。山田はこの試合で3つの四球を選び、得点に繋げた。

 

 4連勝と順調な滑り出しを見せている日本。だが2日後の決勝トーナメントからは、負けたら即敗退となる厳しい戦いが始まる。この試合のように、当たっている筒香と中田の前にどんな形でもいいから出塁することが勝利の鍵となるだろう。打撃絶好調の筒香と中田に加えて、4番の中村にも第1戦以来のヒットが生まれた。打つべき人が確実に打っている日本は向かうところ敵なし。このままの勢いを維持して、世界一の称号を必ず手に入れてほしい。