16日、WBSC世界野球プレミア12の準々決勝が行われ、日本代表(世界ランキング1位)は、プエルトリコ代表(同10位)に9-3で勝利した。初回に筒香嘉智(横浜DeNA)の適時打で先制点を奪うと、3回には平田良介(中日)のタイムリーツーベースで追加点をあげる。その後は坂本勇人(巨人)の2点適時打など7点を加えた。守っては、先発の前田健太(広島)が7回4安打無失点と好投。9回に3ランを打たれるものの、投打で圧倒した日本は9-3で快勝した。日本は19日に東京ドームで行われる準決勝で、キューバ代表(同3位)を破った韓国代表(同8位)と対決する。

 

 筒香、4番起用に応える猛打賞の活躍(天母棒球場)

プエルトリコ代表   3 =000000003

日本代表       9 =10120122×

 

(プ)●シントロン‐マルティネス‐エルナンデス‐ブルゴス‐マルトラル‐バレンサ‐アヤラ

(日)○前田-則本-増井

本塁打 (プ)フェリシアーノ1号3ラン

 

 日本は今大会最も投打がかみ合ったゲームとなった。投げては、エースの前田が素晴らしい投球を見せて、プエルトリコ打線を完璧に封じた。打っては、13安打9打点と大当たり。この試合、予選から固定だった4番・中村剛也(埼玉西武)をスタメンから外し、4番に筒香を据える。昨日のベネズエラ戦でサヨナラ打を放った中村晃(福岡ソフトバンク)を8番で先発起用した新オーダーが見事に的中したかたちとなった。

 

 前田は1、2回を無失点で切り抜けると、3回に連続ヒットを浴びる。無死一、二塁と、得点圏にランナーを許した。このピンチでも今季沢村賞右腕は、慌てない。まず1番のホセ・シルバをライトフライに切って取る。続くアルド・メンデスはカウント1-2からのチェンジアップでピッチャーゴロに打ち取る。捕球した前田はセカンドへ転送。ショート坂本がファーストへ送り、併殺打が完成した。小久保裕紀監督は試合後に「ここで今日のゲームが決まった」とピンチを切り抜けた場面を振り返った。前田は 2年前のWBC準決勝では同じプエルトリコ相手に敗戦投手になっており、リベンジに燃えていたはず。最大の山場を乗り越えてみせた。

 

 好投する前田を後押しするかのように、野手陣の活躍も光った。まずは初回、2死一、二塁で4番に抜擢された筒香がタイムリーヒットを放ち先制。この一打で試合の主導権を握った日本は、3回裏に筒香のヒットをきっかけに得点を奪う。5番に上がった中田が四球で出塁すると、1死一、二塁で6番の平田が5球目を振り抜いた。レフトへのタイムリーツーベースとなり、筒香が生還。一塁走者の中田も思い切って三塁を蹴ったが、本塁でタッチアウトとなり、追加点は1点にとどまった。

 

 すると、4回裏にこれまで16打席ノーヒットに沈んでいた坂本にもヒットが飛び出る。1死一、二塁で、坂本は高めの直球を弾き返した。打球は高く伸びてレフトの頭上を越える2点タイムリーとなった。坂本は6回裏にも1死一、二塁で適時打を放つ。持ち味である勝負強さが戻ってきた。

 

 援護をもらった前田は、4回から圧巻のピッチングを見せる。連続三振でスタートすると、7回2アウトまで1人のランナーも許さなかった。スコアボードに並べたゼロは7個。これぞエースの名に恥じぬピッチングだった。マウンドを降りるまでプエルトリコ打線を勢いづかせることなく黙らせた。

 

 試合終盤になっても日本は攻め手を緩めない。7回裏、先頭の平田が右中間を破るヒットで一気に三塁までいくと、次の松田宣浩(ソフトバンク)が確実に犠牲フライを打つ。その後は前田の女房役・嶋基宏(東北楽天)にも今大会初打点が生まれた。リードだけでなく、打撃でも前田をフォローする。

 

 8回裏にも2点を加えて、9点リードで迎えた9回。締めくくりを託された増井浩俊(日本ハム)が立て続けにヒットを打たれると、4番のフアン・フェリシアーノに3ランホームランを浴びる。増井はこれ以上の失点は与えず、なんとか試合を締めたものの、これまで2試合に登板し、無失点に抑えていた。最後の最後で、不安が残った。

 

 準決勝へと駒を進めた日本の相手は、開幕戦で一度対戦した韓国である。小久保監督は「先発は大谷翔平(日本ハム)でいきます」と決勝進出をかけた試合を21歳に任せることを明言した。大谷は前回の韓国戦で6回2安打無失点と素晴らしい内容で、5-0の勝利に貢献した。中8日と休養十分の登板で、19日も韓国打線をゼロに抑えることができるのか。若き右腕の活躍に期待したい。