「どんな苦難からも逃げず、立ち向かうのが真のヒーローだと思います。ミヤマ☆仮面もヒーローの端くれとして、絶対にこの闘いから逃げません! 必ずがんを克服して、このステージに戻ってきます!」

 11月21日に行なわれた『日本ローカルヒーロー祭』というイベントの開会式で、僕はこのような挨拶をし、関係者やファンの皆さまから大きな声援を受けた。

 

 この『日本ローカルヒーロー祭』とは、日本全国のローカルヒーローが集結する1年で一番大きなイベントなのだ。今年は2日間に渡って行なわれ、多くの観衆を集めた。

 

「ローカルヒーロー」という響きには、少し哀愁を感じてしまうが、今にわかに注目を集めているジャンルなのだ。何と言っても、地元で番組を持っているのが強みだ。わかりやすく説明すると仮面ライダーの地方版のような感じなのだが、これがそれぞれの地域で絶大な人気を誇っているという。特に沖縄のローカルヒーローは群を抜いてスゴイ! 「琉神マブヤー」というヒーローは、イベントに2万人もの観衆を動員した記録を持ち、映画も大ヒットした。もはやローカルの枠を超えて全国区の人気を誇っていると言っても過言ではない。最近だと同じく沖縄の「ハルサーエイカー」が素晴らしい! 僕も大ファンで、映画を見に行ったほどだ。

 

 それと秋田県が誇る元祖ローカルヒーローの「超神ネイガー」は日本のみならず台湾など世界に名を轟かせている。ローカルという言葉とは裏腹にワールドワイドな活躍を見せているヒーローも存在するのである。どうしてもローカルという言葉には、どこか蔑んだ見方をされがちだが、僕は大きな可能性を強く感じている。その理由のひとつにヒーローたちの団結力を挙げたい。

 

151124kakihara その象徴が、今月の14日から公開となっている映画『日本ローカルヒーロー大決戦』だ。映画のあらすじは、「友情」をテーマにし、全国のローカルヒーロー達が仲間と協力して悪に立ち向かうというアクションムービーなのだが、なんと104体以上のヒーローが大集結したのである(写真)

 

 実はこの映画には、息子であるクワガタ忍者も出演しているが、しっかりとセリフまであり僕を興奮させた。銀幕デビューを先に越されたのは悔しくもあるが、スクリーンでその頑張りを観ることが出来たのは最高に嬉しい。このこと以上に僕を驚かせたのはエンドロールを目にした時だ。

 

 なんと悪性リンパ腫と闘っている僕への熱いエールが記されていたのである。これには、さすがに涙を堪えることができなかった。「仲間を大切にするヒーローの世界と関われて本当に良かった」。僕は高まる感情を抑えるのが大変だった。

 

 今回の作品を撮った監督の上倉栄治氏は「ひとりひとりの力は小さいかもしれないが、同じ志を持った仲間と手を取り合うことで大きな力に変われる可能性を伝えたい」と語っているが、これは映画だけのものではない。ローカルヒーローたちは、とてつもなく熱い集団なのである。

 

 もちろん、ヒーロー仲間からだけでなく、ミヤマ☆仮面を応援してくれているチビッコからも元気をもらっている。

151126kakihira 僕が闘病中、千葉・木更津のローカルヒーロー「鳳神ヤツルギ」の関係者が、子どもたちの応援メッセージが書かれた色紙(写真)や動画コメントが入ったDVDを手渡してくれたのだが、これには本当に感激した。

 

 お笑い番組を見ていても全く笑えなかった僕が、「ミヤマ☆仮面がんばれ~」と子どもたちが精一杯叫んでいる動画や、力いっぱい書いてくれたメッセージを見ていると、自然と笑顔がこぼれてきたのだ。中にはかわいいイラストなども描かれていて、どれだけ癒されたかわからない。やはりチビッコたちの持つパワーは最強だ。子どもたちの声を届けてくれたヒーロー関係者の皆さんに大感謝である。ローカルヒーローの仲間と出会えて本当に良かったと思う。

 

 僕が、このジャンルの方々と関わるようになったのは、東日本大震災がきっかけなのだが、ここまで広がっていくとは思ってもみなかった。そのきっかけは、被災にあったチビッコたちを元気にしようと東北のローカルヒーローが全国のヒーローたちに呼びかけ、そこにミヤマ☆仮面として駆けつけたのが始まりだった。

 

 しかし当時は、僕がやっているのは、ご当地限定ではないし、内容もいわゆる戦隊モノとは大きく違うと悩んだりもした。しかし、ローカルヒーローというカテゴリーには当てはまらなくとも、主催者から声を掛けてもらったのも何かの縁だと感じ、参加させてもらったのだ。

 

 これをきっかけにローカルヒーローとして登録されたのか? 東北だけでなく、関東での別のローカルヒーロ・イベントにもお呼びが掛かるようになったのである。今もこうして繋がっていることを幸せに思う。これからもこのようなご縁を大切にし、ミヤマ☆仮面としての完全復活を目指したい。

 

(このコーナーは第4金曜日に更新します)


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