30日、なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)はオランダ女子代表とアウェーで対戦し、1-3で敗れた。強風の中で行なわれた強化試合の前半は、風下のなでしこが苦しんだ。4分、中盤でMF宮間あやのパスをカットされてFWリーケ・マルテンスに先制を許した。21分には、ロングボールの処理をミスし、FWマノン・メリスにネットを揺らされる。なでしこは後半4分にMF増矢理花、FW菅澤優衣香とつなぎMF阪口夢穂がシュートを決め、1点差に迫った。だが32分にはPKを与えると、メリスに決められた。なでしこは過去一度も負けたことのないオランダに惨敗。年内最後の活動を終えた。

 

 ミス絡みの失点でオランダに初黒星

日本女子代表 1-3 オランダ女子代表(フォレンダムスタジアム)

【得点】

[日本] 阪口夢穂(49分)

[オランダ] リーケ・マルテンス(4分)、マノン・メリス(21分、77分)

 

 佐々木則夫監督が試合後に「決定的なミスを決められた。やってはいけないミスでまだまだ未熟なところが出た」と振り返ったように、なでしこが喫した3失点は全てが、もったいないものだった。

 

 前半4分には中盤のパスミスから、21分にはトラップミスを奪われて失点をした。セットプレーの際に置いたボールが動いてしまうほどの強風に悩まされ、ハイボールの処理に手間取った。ピッチ上でかなり間延びしてしまい一人ひとりの距離が遠く、ミスをしてもすぐにカバーをしきれない状況が続いていた。いわば必然の失点だった。

 

 選手間の距離が遠いことで、攻撃にも悪影響を及ぼした。ボールは持つが一人ひとりが分断されてしまい、なかなか十八番のパス回しが発動できぬまま試合を折り返す。

 

 後半からはFW菅澤優衣、MF増矢理花を投入し、サイドバックだった鮫島彩を2列目に上げて、ボランチだった宇津木留美をサイドバックへ。ボランチに宮間をスライドさせた。宮間をボランチにもってくるオプションはボールが繋げず、流れが悪い時に佐々木監督が取る打開策のひとつだ。

 

 後半4分、早速交代で入った菅澤、増矢が機能し、ゴールを揺らす。増矢が中盤で受けると素早くターンし、ゴール前に居る菅澤に鋭いパスを送った。このパスをGKを引き付けながら菅澤が冷静にポストプレーで阪口へ落とすと、阪口が狙い澄ましてインサイドシュートを放つ。これがゴール中央に決まり、なでしこは1点差まで詰め寄る。

 

 この後も増矢が中盤のマークが厳しいところでもクイックネスを活かしたターンで前を向き、チャンスを作る。20分にはペナルティエリア前でパスを受けるとFW大儀見優季へスルーパス。惜しくも大儀見が反応できなかったが、うまく合えば同点の場面だった。

 

 徐々に流れを引き寄せつつあったなでしこだったが、若さが出てしまった。33分、好プレーを見せていた増矢がペナルティエリア内で痛恨の反則を犯す。ゴール前には人数も揃っていて、さほど危ない場面でもなかった。20歳の増矢の経験不足が露呈してしまうかたちとなった。オランダにPKを確実に決められ、1-3と点差は広がった。このまま追いつけぬままタイムアップした。

 

 佐々木監督は新戦力に対して試合後、「まだまだですね。自信を持ってできていない。体が弱い」と評価したが、途中出場の増矢は何度もチャンスを作っていた。阪口が決めた得点にも絡んでおり、鮮やかなゴールを見事に演出してみせた。

 

 なでしこジャパンは今年のスケジュールを全て消化した。主将・宮間は「コンセプトを意図してできた所もあった。全てが全て悪いわけではない」と収穫があったことを口にしたが、指揮官は「今年最後のゲームで反省の多いゲーム。来年に活かします」と総括した。来年2月29日にはリオデジャネイロ五輪の出場を賭けたアジア最終予選が始まる。韓国、オーストラリアらを倒すためにも、今日の反省を活かして、リオ五輪本戦に駒を進めてほしい。

 

(文・大木雄貴)