13日、クラブワールドカップの準々決勝が行われ、大阪・長居ヤンマースタジアムではJ1王者のサンフレッチェ広島(開催国枠)がアフリカ代表のTPマゼンベ(コンゴ共和国)を3-0で破った。広島は前半44分にMF茶島雄介のCKからDF塩谷司が決めて先制する。後半11分にも茶島のCKにDF千葉和彦が頭で合わせて追加点を奪った。さらに33分には途中出場のFW浅野拓磨のゴールでダメ押して快勝した。準決勝に駒を進めた広島は、16日に南米王者のリバープレート(アルゼンチン)と対戦する。

 

茶島、セットプレーで2点に絡む活躍(長居スタジアム)

サンフレッチェ広島 3-0 TPマゼンベ

【得点】

[広島] 塩谷司(44分)、千葉和彦(56分)、浅野拓磨(78分)

 

 立ち上がりは焦ることなく、お互いにゆっくりとボールを回しあう展開だった。その中で広島は隙があれば一瞬ペースをあげた。19分にDF佐々木翔が自陣でボールをインターセプト。敵のプレスを振り切り、ペナルティエリア右にいるFW佐藤寿人へスルーパスを送った。迷わずに右足を振り抜いたシュートは惜しくもゴール上に外れた。得点には結びつかなかったが、奪えると判断したら一気にスピードを上げてプレスをかけ、そのままシュートまで持って行った良い流れだった。

 

 その後、両者は様子を見合い、決定機もなくこのまま前半終了を迎えるかと思われた44分に試合は動いた。広島がこの試合で初めて獲得したCK。キッカーの茶島がニアへ速いボールを供給し、マークを振り切った佐々木がヘッドでボールの軌道を変える。このボールに反応していた塩谷が確実にゴールに押し込んだ。広島が初出場した3年前は控えだった塩谷。今では主力となり日本代表に選出されるまでに成長した塩谷が、貴重な先制点を奪い広島は理想的な形でハーフタイムに入れた。

 

 後半開始と同時にマゼンベが動いてきた。MFトーマス・ウリムウェングを投入し、試合に変化をつけようとする。2分、広島のCKをカットしたマゼンベにカウンターを仕掛けられ、最後はウリムウェングにシュートを許した。ゴール上に外れ、難を逃れたが、相手のスピードに乗ったカウンターに肝を冷やした瞬間だった。

 

 11分、広島がCKのチャンスを再びものにする。茶島の蹴ったボールはゴール中央へ。千葉が頭で合わせたボールは、GKが一歩も反応できず左サイドネットを揺らした。

 

 19分にはアフリカ王者が牙を抜く。鮮やかなステップでMFアダマ・トラオレがMF柏好文をかわし、右サイドを突破してクロスを上げる。このボールにFWロジェール・アサレがオーバーヘッドで合わせるが、ゴール左上に外れた。

 

 21分には広島がお返しと言わんばかりにチャンスを作る。ゲームメーカー・MF青山敏弘がセンターサークル付近でボールを持つと右足を一閃。敵陣を切り裂くようなスルーパスを受けたFWドウグラスだが、惜しくもDFに阻まれてしまった。得点にはならなかったが、センターサークル付近から1つのパスで決定的な場面を創れる青山の持ち味が発揮されたワンシーンだった。

 

 30分に佐藤に代わりスピードスター・浅野拓磨を投入する。この試合で得点はなかった佐藤だったが、前線で確実にボールを収めるなど献身的な動きが広島を楽にしていた。佐藤に背中を押されてピッチに入った浅野は、3分後に輝く。またしてもセンターサークルあたりでフリーになった青山が、DFラインの裏を取ったMFミキッチへミドルパスを送る。パス一本で右サイドを突破したミキッチが合わせやすいゆるやかなボールを中へ送ると、浅野がヘディングでネットを揺らした。広島は3点のリードを奪い、試合を決定づけた。

 

 この後、森保一監督はDF水本裕貴を投入して守備を固め、マゼンベに反撃を許さぬまま試合終了。効果的に得点を奪い、隙を与えない理想的な展開で勝利を手にした。

 

 前回、この大会に初めて出場した時には準々決勝で涙を飲んだ広島。今回は盤石なチームを作り上げて、準決勝に駒を進めた。次の相手は南米の雄・リバープレートだ。3日後、再び大阪の地で広島イレブンの躍動する姿を期待したい。

 

(文/大木雄貴)