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(写真:延長タイブレークの末、決勝を制したソフトボール少年男子)

 2015年も多くのスポーツシーンが人々の心を動かした。愛媛県では、「2015紀の国わかやま国体」で1203.5点を獲得。天皇杯(男女総合)順位で13位に入った。昨年の21位からジャンプアップし、2年後の「愛顔(えがお)つなぐ、えひめ国体」へ弾みをつける結果となった。特にソフトボールは少年男子が優勝を収め、成年女子も準優勝。競技別得点で全国トップに立った。

 とはいえ、目標に掲げていた天皇杯トップ10入りは果たせなかった。県選手団の総監督を務めた藤原恵・愛媛県体育協会専務理事は「得点も参加点の400点を引くと、800点ちょっと。(わかやま国体に合わせて)各競技団体に目標点数を設定してもらったのですが、それを合わせると907.5点でした。つまり目標点数も100点ほど足りなかったことになります。総合優勝するためにはあと1000点必要になってきますので(優勝した和歌山県の点数は2257点)、一層の努力が必要になります」と気を引き締める。

 2年後の地元開催で総合優勝を勝ち取る上で、まず重要なのが、「競技得点ゼロをなくす」ことだ。昨年は18競技で競技得点が獲得できなかった。今回は13競技と5つ減った。藤原専務理事は「限りなくゼロに近づけたい。国体を振り返って、各競技団体にヒアリングしながら課題や今後の取り組みについて協議していきたい」と話す。来年は「2016希望郷いわて国体」。えひめ国体に向け、今度こそ天皇杯10位以内入りを目指す。

ボート武田、えひめ国体へ競争促す

 愛媛県ボート協会の強化部長を務める武田大作(ダイキ)は、選手としても、わかやま国体の成年男子ダブルスカルに出場した。越智寛太(筑波大)とペアを組み、連覇を狙ったものの、準決勝で日本代表クルーに敗れて2着。決勝に進めず、5位入賞となった。

「昨年と比較してもレベルは高かった。(準決勝で)全体のタイムでは2番だったのですが、順位が悪ければ先へ進めないのがボート競技。この結果は受け入れるしかないと思っています」
 9月の全日本選手権ではシングルスで史上最多を更新する15度目の優勝を狙うも、本番直前で古傷のヒザに痛みが出て参加を取りやめた。
「ケガと戦った1年でもありました。今まで以上にケアの重要性を感じました」

 この12月、43歳の誕生日を迎えた。若い頃のような無理はできなくなりつつある。ただ、体力の衰えは感じていない。
「エルゴメーターの数値は7年前と変わっていません。きちんとした練習をすれば、まだまだやれる」

 強化部長としては、えひめ国体での競技別トップを狙う。国体では主力選手がアジア選手権の日本代表に選ばれて不在だった中、成年男子は全種目で入賞を収めた。
「男子に関しては底上げができてきました。あと2年の間に女子も選手層を厚くする必要があります。選考レースをして、速い選手、クルーが出場する。競争で代表が決められるレベルに上げていきたい」

 来季は成年の合宿を増やし、他県の実業団チームに負けない強化を図る予定だ。選手と強化部長、2本のオールを力強く漕いで、武田は故郷を頂点に導く。

ダイキ弓道、久々の国体で躍動

 

 ダイキ弓道部にとって2015年は「飛躍の1年」だった。わかやま国体には四国ブロック予選を総合トップで突破し、6年ぶりに出場。北風磨理、玉木里奈、山内絵里加の3選手が愛媛県成年女子代表として臨み、遠的で3位という好成績を収めた。勢いに乗って出場した11月の全日本実業団大会・全日本実業団遠的大会でも近的女子の部で団体優勝を果たし、遠的団体戦、産業別戦で準優勝。個人の部でも近的女子の部で玉木が2位に入り、遠的女子の部で山内が2位、玉木が3位に入賞した。

 久しぶりの大舞台を、選手たちは一丸となって戦った。「国体では近的のほうであと一歩及びませんでしたが、遠的では3人でカバーしあいながら戦うことができたと思っています」と主将の北風は振り返る。この5年、ダイキ弓道部を中心とする愛媛県勢は四国の厚い壁に跳ね返され続けてきた。その悔しさをバネに選手たちは的に向かった。従来より練習量を増やし、遠征や練習試合など実戦機会も数多く積んだ。

「5年間行けなかったプレッシャーはありましたが、今年は手応えがありました」
 北風が明かしたように、体力、技術がともに向上した選手たちには自信が生まれていた。自身8年ぶりの国体出場となった山内は「予選、決勝トーナメントと進むにつれて調子が上がっていったというよりは、練習の調子に近づいていったような感じだった」と振り返る。

 3位という成果を喜びつつ、“もっと上に行けた”との思いも彼女たちには去来する。
「近的のほうも決勝に残れるだけの力があったのに、という思いもあります。後で考えてみると、6年間、国体に出られていなかったので、出たことで安心してしまっていたのかもしれないと思いました」
 選手を代表して北風は反省も忘れない。

「6年ぶりに国体に出場でき、3位という結果も残りました。飛躍の年になったと思っています。2年後の愛媛国体に向けて、もっともっと良くなっていけるよう、部員一同頑張っていきたい」
 国体でつかんだ手応えを土台に、部員たちは狙った的をしっかりと射抜くつもりだ。

ジュニアゴルフ、国体へリスタート

 開校7年目に入ったダイキジュニアゴルフスクールは今季、2年連続の国体選手輩出を目標に掲げていた。しかし昨年、国体出場した女子の竹下桃夏は最終選考会で5位。上位3名に与えられる代表権入りを逃した。また男子では岡山史弥が少年での選考会に参加したが、6位で最終選考会(4位まで)には進めなかった。

「昨年と比較しても他の選手が成長し、予想以上にレベルが上がっています。その中で勝負するのは大変な状況です」
 江口武志監督は現状を厳しくみつめる。ワンランク上に到達すべく、岡山は今、フォームの修正に取り組んでいる。
「これまでは成長期で体に負担がかけられない部分がありました。この8月からは、より筋力、パワーをつけつつ、合理的なスイングにしているところです。理想のスイングにどこまで近づき、安定させられるかが重要になるでしょう」

 7月の四国小学生ゴルフ大会では5年生の城戸姫菜が4位で全国大会の切符を手にした(本番はケガのため不参加)。8月の愛媛県小・中学校ゴルフ大会でも準優勝に輝いた。
「体が大きくなり、力がついてきました。まだムリなスイングはさせられないので、ショットの飛距離はこれからです。来年は6年生。アプローチ、パターの精度を磨いて、さらなる高みを狙ってほしいと感じています」

 江口監督の指導の下、現在は小学生から高校生まで10名の生徒がスクール専用の練習場でスキルアップに励む。
「今日よりも明日、今年よりも来年と、少しずつ段階を踏めるようにしていきたいですね」
 えひめ国体へ向け、ゴルフ界へ優秀な人材を送りこむ。スクールの目的を達成すべく、連日、選手たちは集中してゴルフボールを打ちこんでいる。

 

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関連リンク>>公益財団法人 大亀スポーツ振興財団

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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