充実の4連勝だ。

 12月3日に開幕した第30回テニス日本リーグ。男子のレッドブロックに入った伊予銀行はブルボンビーンズドーム(兵庫県)で行われたファーストステージで無傷の4連勝と好スタートを切った。年明けに実施されるセカンドステージ(横浜国際プール)の成績と合わせ、ブロックの上位4チームが2月の決勝トーナメント(東京体育館)へと駒を進める。昨年度、初の3位を勝ち取った選手たちは、新たな歴史を刻むべく波に乗っている。秀島達哉監督に、ここまでの戦いを振り返ってもらった。

 

 

「4試合とも決して侮れない相手に対して、各選手が準備をしっかり行い、思った通りの試合ができました。ここまでは満足しています」

 ファーストステージの結果と内容に秀島監督は納得の表情をみせる。4試合ともシングルスNo.1、シングルスNo.2、ダブルスをすべて制してのストレート勝ち。失ったセットもわずかにひとつで、現状、ブロックでは昨年度優勝の三菱電機と並んで首位を走る。

 

 伊予銀行では今年度、初のプロ選手、片山翔と契約。指揮官は「片山がシングルスNo.1で勝つことが前提のオーダーが組める」と、新エースをリーグ戦の軸に据えた。その上で考えたのが、先鋒を務めるシングルスNo.2のメンバー選考だ。その後のシングルスNo.1、ダブルスにも影響を与える重要な役割を誰にするか。ここがひとつのポイントだった。

 

「対戦チームの出方も予想しながら、シミュレーションをしましたね。メンバーは敢えて固定せず、どんな相手でも柔軟に行けることも示したいと考えていました」

 カギを握る初戦の対明治安田生命(12月3日)。秀島監督はチームを実力で引っ張ってきた佐野紘一に先陣を託した。

 

 今年、シングルスでもATPランカーとなった佐野は期待に応え、6-1、6-1と圧倒。良い流れを仲間たちにもたらせた。シングルスNo.1の片山も順当に勝利を収め、ラストに登場するのはダブルスの2選手だ。監督は、この秋、慶應大から入社した元インカレ王者・近藤大基と、飯野翔太でペアを組ませた。

 

「片山が絶対的な存在とはいえ、故障など不測の事態が起きることもあります。仮にシングルスをひとつ落としても、ダブルスできっちり勝てるスペシャリストを用意したいと思っていました」

 飯野と近藤は練習から息の合ったところをみせ、ダブルスの“秘密兵器”とも呼べる存在だった。実戦でどこまで通用するか、指揮官は試してみたのだ。

 

「近藤はベースラインから相手を押しこめる強いショットが持ち味。一方、飯野はネット際のプレーもパンチ力がある。近藤が相手を下がらせておいて、飯野が動き回って仕留める。いいテニスを見せてくれました」

 結果は6-4、6-1。今後の戦いに向け、ペアのバリエーションを増やす意味でも大きな1勝だった。

 

 翌日の対鹿児島銀行、秀島監督は飯野をシングルスNo.2として起用した。

「彼はチーム内でトレーニングを一番やってきました。どこかで、その成果をみせる場をつくりたいと思っていたんです」

 

 第1セットはタイブレークにもつれこむ接戦となった。

「緊張するタイプなので、流れを渡すとズルズルいかないかどうか」

 監督が心配していたのは、飯野のメンタル面だ。だが、それは杞憂だった。今年は佐野とともに紀の国わかやま国体にも出場したオールラウンダーは、慌てることなく相手を押し切った。

 

「誰よりも練習を積めた自信が精神的にも彼をタフにしたのではないでしょうか。今年、結婚して家族ができたこともプラスになったように映ります」

 飯野に続いてシングルスNo.1は片山が制し、ダブルスは「ポテンシャルがある選手」と指揮官が認める廣瀬一義が、佐野と組んで相手ペアを寄せ付けなかった。

 

 これで2連勝。続く対東京海上日動で秀島監督はルーキーの近藤にシングルスNo.2の役目を任せた。ネットを挟んで東京海上日動の田川翔太はインカレで3連覇した実力の持ち主。近藤にとっては湘南工科大付高の先輩でもあった。

 

 ゲームは第1セットを近藤がタイブレークの末に奪ったものの、第2セットは田川が逆襲。6-2で奪い返し、勝負の行方は最終第3セットにもちこまれた。一進一退の攻防が続く中、勝敗を分けたのは近藤のアグレッシブさだった。

 

「ダウン・ザ・ラインを増やして、速い展開からのカウンターをみせたり、頭を使った攻撃的なテニスをしていました。ゲームの入りも集中してポイントを獲り、いいショットを最後まで打ちきりましたね。決して動きは良い方ではなかったはずですが、それでも勝てるのは、さすが昨年のインカレチャンピオンです」

 最終セットは6-4。元インカレ覇者同士の対決は1歳下の近藤に軍配が上がった。シングルスNo.1は片山が危なげなく勝つと、ダブルスは佐野、飯野の国体参戦ペアが6-3、6-2でモノにした。

 

 ファーストステージ全勝を狙った対JR北海道では、シングルスNo.2のコートに、このリーグ戦初出場の主将・植木竜太郎が立った。

「ガッツがあって、声でチームを牽引してくれる。その良さが終始、出たと思います」

 指揮官も認める内容でチーム最年長の主将がストレートで相手を下す。前日の対東京海上日動同様、シングルスNo.1の片山、ダブルスの佐野・飯野組もセットを落とすことなく、2015年最後の公式戦を快勝で締めくくった。

 

 次のセカンドステージでは、まず前年度王者の三菱電機と1月21日に顔を合わせる。ブロック最大の強敵だ。

「やるからには戦術を考えて貪欲に勝ちにいきたい」

 秀島監督の下、チームの士気は一層、高まっている。今回の4連勝で決勝トーナメント進出は目前。それでも、気の緩みは全くない。

 

「まずは残り3試合に集中してベストを尽くすことが大切です。ここからが今季の集大成。調子の良し悪しにかかわらず、ピークを合わせていきたい」

 年内の練習は30日で終了。年末年始、少しの休息を挟んだ後、1月5日からセカンドステージへ最後の追い込みにかかる。

 

 決勝トーナメントに出ることが目標だった昨年度までとは違う。プロ選手を迎え、一回りも二回りもたくましくなった伊予銀行テニス部が再び日本リーグに旋風を巻き起こす。

 

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