新年、明けましておめでとうございます。

 2016年も引き続き、ガイナーズで指揮を執ることになりました。ちょうど今年で監督10年目の節目です。その間、独立リーグはシステムも周囲の評価も変化し、全国の野球ファンに知られる存在になってきました。

 

 注目されてきたからこそ、独立リーグのフロント、指導者、選手たちは今まで以上に自分自身を律する必要があると考えています。地元の皆さんに愛され、価値を高めていくにはグラウンドだけでなく、それ以外の部分での行動も大切です。10年目でも初心を忘れず、日々、新たな気持ちで1日1日を過ごしていきたいと考えています。

 

 今季の四国アイランドリーグplusは、高知に江本孟紀総監督、駒田徳広監督を迎えてスタートを切ります。彼については奈良県出身で同じ近畿ということもあり、高校時代から、よく知っています。体が大きい割に器用なバッティングが印象的でした。プロ初打席での満塁ホームランや、巨人が日本シリーズで3連敗から4連勝した際の加藤哲郎から放った一発など、勝負強いイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

 

 また駒田監督を支えるコーチには勝呂壽統が就任します。彼には8年前、ガイナーズでもコーチを務めてもらいました。その後、巨人に行き、内野守備走塁コーチを務めた素晴らしい野球観の持ち主です。ともに50代で指導者として最も脂の乗る時期。いかに経験を伝え、どんな選手を育てるのか、お互いに切磋琢磨してリーグに刺激を与えていければと思っています。

 

 NPBでも阪神・金本知憲、巨人・高橋由伸など新監督を迎えるチームがあります。中でもカープ時代の後輩、金本監督は、どのようにチームを変身させるのか楽しみです。現役時代、フルイニング出場の“世界記録”を残した実績から、就任後すぐに体力強化を若手に求めています。143試合の長丁場を戦い抜くには、まずタフでなくてはなりません。意識改革がどこまで進むかが1年目の出来を左右するでしょう。

 

 阪神は人気球団ゆえに勝った時と負けた時とでは周囲の反応が一変します。たとえ、うまくいかない時期でもフロントが監督を信じて防波堤になれるか。球団のバックアップも成功のカギを握るはずです。

 

 もちろん、緒方孝市監督率いる古巣のカープにも奮起を望んでいます。エースの前田健太はポスティングシステムを活用してのMLB移籍が決まったものの、ベテランの黒田博樹が現役続行を決断しました。黒田は昨季同様、チームの柱として安定したピッチングは見せてくれることでしょう。それだけにマエケンの穴を埋めて上位浮上を狙うには大瀬良大地や野村祐輔らの一本立ちが欠かせません。

 

 昨季、Bクラスに終わった要因には打線の迫力不足もありました。主砲のブラッド・エルドレッドが戦線を離脱し、一発長打で流れを変える場面が少なかったのは残念です。先日、緒方監督と話をした際にも「軸となるバッターが必要」と課題をあげていました。

 

 既にマエケンの入札金が入ってくることを見込んで、新外国人の補強が発表されています。とはいえ、助っ人はシーズンが始まってみないとどうなるかわかりません。堂林翔太や鈴木誠也などがバッターとして開花し、戦力を底上げしてほしいものです。新井貴浩、丸佳浩、菊池涼介といった主力組に、彼らがチャンスをつかんで真のレギュラーとなれば強力なラインアップを構築できます。

 

 広島はサンフレッチェが森保一監督の下、4年間で3度のJリーグ制覇を果たし、街を盛り上げました。サッカーと野球では試合数も違い、選手数も比較にならないとはいえ、プロは結果がすべて。そろそろカープがやらなくてはいけない番です。緒方監督も覚悟を決め、しっかり準備をしてシーズンに突入してもらいたいと感じています。

 

 昨年はラグビー日本代表がW杯で強豪の南アフリカを下す金星をあげ、我々を大いに沸かせました。ひとりのラグビーファンとして、勝利を決めた逆転トライの瞬間は何度観ても涙が出そうです。あの快挙を境に世間のラグビー熱は一気に高まりました。国内のトップリーグでも観客が大勢詰めかけた試合をたくさん見るようになりましたね。

 

 サッカーでもJ2、J3とリーグが拡大し、それぞれ観客を集めています。観る人が増えれば、自然と選手のモチベーションも上がります。それが好プレーを生みだし、成長を促すのです。やはり独立リーグでも常に2000人以上のお客さんが訪れるようなスタジアムにすることが理想でしょう。

 

 エディージャパンがみせたようなスポーツの感動を、独立リーグでも――。そのためには一丸となって、もっと地域に元気と希望を与える存在にならなくてはなりません。今季も最後の最後までドキドキする内容をお見せできるよう、選手たちを鍛えていきます。どうか1年間、よろしくお願いします。

 

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