1二宮: 2016年最初のゲストは川口和久さんです。今回の対談場所は、元プロ野球選手の金石昭人さんが経営する東京都品川区にある寿司屋「かねいし」。特別ゲストとして、オーナーである金石さんにもお越し頂きました。本日は宜しくお願いします。

川口: お二人とも、お久しぶりです! 元気だった?

金石: 元気だよ。今日は遠いところまでわざわざ、ありがとうございます。

 

 

二宮: 今日は、雲海酒造『そば焼酎』Soba&Sodaを飲みながら、最近のプロ野球事情やお二人の現役時代などのお話を伺いたいと思います。普段、焼酎は飲まれますか?

川口: 飲みますよ。焼酎といえば、広島カープに入団した当初を思い出します。あの時代は安い焼酎ばかり飲んでいたね(笑)。

 

二宮: そば焼酎『雲海』の味はいかがですか?

川口: あ、これはスッキリしていて美味しいです。焼酎のボトルも高級感があるから見た目も素敵だね。

金石: 確かに、クセがなくて飲みやすいね。昔はよく、「そば焼酎~­雲海~」って、CMが流れていましたよね。もっと早くこの酒に出会いたかったな。

 

リリーフは“8回最強論” 

6二宮: 昨年のプロ野球は東京ヤクルトがセ・リーグを14年ぶりに制覇しました。

川口:­ ­ヤクルトは、昨年みたいに­混戦になった年は強いよね。

 

二宮: リリーフに外国人投手を3人揃えたのが見事にうまくいきましたね。あの継投は誰が考えたんでしょう?

川口: 恐らく、高津臣吾投手コーチでしょうね。13、­­14年とヤクルトは2年連続で最下位でしたが、そのほとんどが­逆転負けでした。その経験を踏まえて外国人投手を後ろに持っていったんでしょうね。今の時代、先発が早く­こけたのに引っ張るとろくなことがない。パッと代えれば中継ぎで立て直すこともできますか­­らね。

 

金石: ­岡田彰布さんが­阪神の監督時代にJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)という勝ちパターンの継投を作った­じゃないですか。あれからだいぶ野球が­変わりましたね。僕が現役だった頃は、ベンチに控え投手は多くても­2人しかいなかったので、「先発は­絶対に8回まで­投げろ」と言われましたよ。

川口: 僕らの時代はピッチャーが少なかったからね。

 

二宮: 昔は「リリーフが出てくる試合は負け」と言われたものです。先発完投が大前提でしたから。

金石: 岡田監督がJFKで成功してから、中継ぎ投手に対するイメージがガラッと変わりました。

川口: 今は中継ぎが1億円稼ぐ時代になりましたもんね。

 

二宮: 川口さんは2011年から14年まで­巨人の投手コーチを務めていたので、継投ではすごく­苦労されたでしょう?

川口: ­苦労しましたね。一軍登録メンバー28人のうち、野手15人、投手13人が理想です。でも、シーズン中に打撃不振になると監督から「打てないから野手をひとり入れるためにピッチャーをひとり削ってくれ」と言われることもありました。投手12人だと厳しいんです。先発を6人登録すると、リリーフを6人で回さなければなりませんからね。

 

二宮: それではベンチもやりくりが大変ですね。

川口: リリーフが6人だと、勝ち試合で投げる投手4人と、負け試合で投げる投手2­人で考えます。ピッチャーが誰も­いなくなったら大変なので、悩みながらやりくりしましたよ。

金石: ­先発が1、2回でノックアウトされた時や、早々に大量点を取られたケースで投げられるピッチャーは貴重ですよね。毎試合­勝ちゲームで­試合を進めてくれれば、これほど楽なことはないでしょう(笑)。

 

二宮: 継投で特に注意を払っていたことは?

川口: 7、8回は­野球のなかで一番大事なイニングです。試合終盤に­逆転されたら­、ベンチもシュン­とするんですよ。でも9回であれば負けても­パッと切り換えられるんです。なので、僕は­“8回最強論”を考えていました。僕が巨人の投手コーチだったころ、8回は山口鉄也と決めていた。次はスコット・マシソン。8回に逆転されたら勝てないので、そうならないように一番いいピッチャー­を送りました。

 

技巧派よりも速球派が有利

2二宮: 最近のプロ野球を見ていて感じることはありますか?

川口: バッターはストレートを打たないで、­変化球を­いかに打ち返すかという野球をしています。大谷翔平(北海道日本ハム)が投げるような本当に速いストレートは打てないと­思うんです。

 

二宮: むしろ打者は変化球に­慣れてきていると?

川口: そう。やはり­大事なときになると­ ­横変化じゃなくて縦変化になります。なので、バッターは縦変化に­対応する打ち方に­なってきています。­縦変化は­落ちる球。一方、剛速球はホップしているように­見えるので打ち損じることが多いんです­。

 

二宮: 技巧派よりも速球派のほうが有利なんですね。

川口: 昨年の日本シリーズ­を見ていて­、僕はそう思いました。­­福岡ソフトバンクのバッターは­変化球を­打つのがめちゃくちゃうまかった。ストレートをカットして­変化球がきたら打っていた。

­金石: ­ピッチャーは自分のカウント­が苦しくなると、変化球でストライクを­取りにいくじゃないですか。­バッターはそこを狙うわけです。­追い込まれてからの­変化球だとなかなか難しいけど、追い込むまで­の変化球はストライクを取りに来るからね。

 

­二宮: なるほど。

­川口: 145キロのストレートと、140キロのカットボール、­148キロの­スライダーを比べたら、それほど急速に差が­ない。­なので、高速球、­中速球、­低速球のなかで中速球に対応しているチームが強いんです。ヤクルトがそうでしたね。武田翔太(ソフトバンク)が投げるドロンとしたカーブは、意外とタイミングが合わなかった。高速と低速の緩急を利用する武田のようなタイプは打ちにくいと思いますよ。

 

広島新人投手のフォーム分析!

3二宮: 川口さんと金石さんは広島カープOBということで、広島に入団する新人投手のピッチングフォーム動画をご用意しました。まずはドラフト1位の岡田明丈(大阪商業大)選手です。

川口: あぁ、体幹が弱い。腹筋を全然使えていませんね。体幹が弱いせいで体重移動がきちんとできていないから、ただ上からパタンと投げているだけです。

 

二宮: 腹筋を鍛えればもっと良くなりますか?

川口: 体幹が強くなったら、もっと球は速くなりますよ。今は後ろ足がすぐに離れているけど、後ろ足が粘れるようになれば、リリースの瞬間、グッとボールを押し込めるようになります。そうすれば、ボールに体重が乗るので球質が重くなるんです。

 

二宮: 球持ちがよくなるんですね。

川口: そうそう。体は大きいからいいと思いますが、少し時間がかかるかもしれないですね。

 

二宮: 次は、ドラフト2位の横山弘樹(NTT東日本)選手。社会人出身の右腕です。

川口: 社会人ということは即戦力かもしれませんね。フォームを見ると、先発よりも中継ぎタイプ。ステップの足が突っ張っているのが気になります。

金石: セットの仕方がもうリリーフそのものです。たしかに、足は突っ張っていますね。

 

二宮: フォームはどうですか?

川口: バランスはいいですね。モーションの途中に前傾姿勢が入っているでしょう。これはお腹に体重が乗っている証拠です。スライダーを投げるピッチャーがこういう体の使い方をします。恐らく、シュートやスライダー系のピッチャーでしょう。

 

二宮: 最後は、ドラフト3位の高橋樹也(花巻東高)選手です。昨年夏の甲子園にも出場しています。

川口: 高校生のわりには身体がデカいね。ぱっと見は元中日の近藤真市さんに似ています。フォームに無駄な動きがない。

金石: 体が大きいわりには腕の使い方がいいね。

川口: セットポジションは阪神などで活躍した下柳剛に似ているね。

 

二宮: 下柳さんと同じサウスポーですが、セットポジションに共通点が?

川口: セットポジションで大切なのは、セットに入った時に力が抜けているかどうかです。軸足に7:3ぐらいで体重が乗っていると思うんだけど、投げたあと下柳みたいに軸足が外回りに動くでしょう。いいピッチャーに似ているということは、いいものがあるということだね。

 

二宮: 特に修正すべきところはないと?

川口: まだ高校生だから、骨密度を測って、いつ頃使うかしっかり計画を立てた方がいいと思います。きっと将来性をみて獲ったんでしょうね。改めてビデオを見たら、広島は思っていた以上にいいピッチャーを獲得したね。

 

二宮: これからが楽しみですね。そろそろグラスが空きそうですが、もう一杯いかがですか?

川口: 話もお酒もグイグイ進みますね。次はそば焼酎『雲海 黒麹』のロックをお願いします!

 

(つづく)

 

4<川口和久(かわぐち・かずひさ)>

1959年7月8日、鳥取県鳥取市出身。鳥取城北高を卒業後、デュプロを経て、81年にドラフト1位で広島に入団。入団3年目に15勝マークすると、86年から91年までの6年連続で2ケタ勝利を挙げ、最多奪三振を3度(87年、89年、91年)受賞した。左腕エースとして活躍し、チームを3度のリーグ優勝に導いた。94年オフに球団史上初のFA権を行使して巨人に移籍。95年にプロ野球史上14人目(当時)となる2000奪三振を達成。98年限りで現役を引退すると、野球解説者の道に進む。09年、10年に巨人の春季キャンプで臨時投手コーチを務めた後、11年に投手総合コーチに就任。4年間で3度のリーグ優勝に導いた。現在は野球解説者として活躍する。通算成績は139勝135敗2092奪三振。身長183センチ、体重75キロ。左投両打。

 

5<金石昭人(かねいし・あきひと)>

1960年12月26日、岐阜県加茂郡白川町出身。PL学園から79年にドラフト外で広島に入団。85年に初勝利を挙げて、同年一軍に定着。翌年は26試合に登板して12勝6敗、防御率2.68を記録するなどリーグ優勝に大きく貢献した。91年にトレードで日本ハムに移籍すると、翌年は自己最多となる14勝をマーク。93年にリリーフに転向すると、9勝13セーブの好成績を残し、田村藤夫と共に最優秀バッテリー賞を受賞した。98年限りで、現役を引退した。現在は野球解説業の傍ら、東京都品川区の寿司屋『かねいし』と港区に二店舗、広島風お好み焼き・鉄板焼き店『かねいし』を経営する。身長197センチ、体重86キロ。右投右打。

 

 今回、川口さん、金石さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>

かねいし

東京都品川区上大崎1丁目1−14 白金トーカンキャステール 2F

TEL03-3444-9480

 

ランチ 11:30~13:30(祝日を除く、火~土)

ディナー17:30~23:00

定休日 月曜日

 

☆プレゼント☆

川口さん、金石さんの直筆サインボールを本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「川口和久さんと金石昭人さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は2月12日(金)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、川口さん、金石さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真/安部晴奈)


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