みなさん、こんにちは。

 香港は週末に大寒波の影響を受けて大変でした。ここ60年ほどで最も低い気温だったようです。24日の朝、中心部の気温は3.3度だったとか。香港の人たちも「こんなに寒いのは初めて」と驚いていました。亜熱帯性気候にあることから、香港に住んでいる人たちは寒さに慣れていません。そのため幼稚園と小学校も急きょ、休みになりました。

 

 ここでは暖房器具を持っていない家庭がほとんどだと思います。エアコンは大体、冷房しかついていないのですが、湿気を除去する目的で冬でも使っています。我が家には小さい暖房器具が一つだけあって、家族みんなでずっとそれを囲んでいました。香港で暮らすなら必要ないと思って日本から冬服は、ほぼ持ってきていません。娘はチームから支給されている僕のダウンジャケットを着ていました。大寒波が去って気温も10度ぐらいまで戻ってきたので、ホッとしています。

 

 さて僕がプレーする香港プレミアリーグは約2週間の中断期間が終わって、1月9日から再開しました。ドリームメトロギャラリーの今年最初のゲームになったのがSouthern District戦です。厳しい試合になることはある程度、覚悟していました。

 

 というのも主力のブラジル人センターバックがレンタル元に復帰したばかりでなく、スペイン人のセンターバックも出場停止と「守備の要」が不在という状況だったからです。20歳の若いディフェンダーが初めて試合に出ることになり、「たとえ点を取られても取り返していこう」とみんなで話をしたうえで試合に臨みました。開始3分に先制点を許して、前半だけで0-4というスコア。なかなか思うようにはいきませんでした。

 

 後半に入って3点を返しながらも、結局3-6で大敗を喫しました。悔しい結果に終わりましたが、僕自身はゴールから遠ざかっていたので2点を奪えて個人的な収穫もありました。

 

 1点目は自分で得たPKを決めたもの。直接FKの場面で、味方のキッカーに「壁の裏をチップキックで狙ってほしい」と伝えました。要求どおりのボールが来て、ペナルティーエリア内で僕が胸トラップしてシュートに持っていこうとしたところで相手に倒されたわけです。PKは狙って奪えるものではありません。それでも相手との駆け引きにおいて(ファウルを誘うような)「ずる賢さ」も必要です。ウチのチームは若い選手が多く、そのあたりが足りないところなのかもしれません。PKは今シーズン、これまで僕が得た2つだけ。きれいなプレーはもちろん大切ですけど、プロの世界で上に行くためには「ずる賢さ」も必要だと僕自身は考えています。

 

 翌週のリーグ戦(16日)は上位のKitcheeと対戦。終盤まで0-1とリードされていましたが、後半アディショナルタイムに味方のゴールで同点に追いついて勝ち点1を手にすることができました。

 

 前節で大敗を喫したことで「まずはディフェンス」と週明けの練習から、一瞬でも集中を切らさないようなピリピリした雰囲気をつくり出せていました。ここで負けなかったことは若い選手たちの自信につながったんじゃないかと思います。

 

 先月、僕が愛媛FCで一緒にプレーしてきた赤井秀一から引退の報告を受けました。「フクさんより先にやめないって思っていたんですけど、引退します」と。

 

 愛媛FCがまだJFLだったころに入団して、彼はそこから10年チームを支えました。彼が残した功績は、多大なものがあると思っています。どうすればチームが良くなるか、常にチームのことを考えている選手でした。愛媛FCを離れてからはFC今治に移籍して、昨年夏に会ったときも「JFLに昇格したい」と強い気持ちを語ってくれていました。

 

 シュウのことは凄くリスペクトしています。いつも淡々とプレーするタイプですが、右でも左でも凄いシュート力を持っていました。感情をあまり表に出さないので、ピッチを離れたら何とか違う一面を引き出してやろうと思って僕もふざけたりしましたが、「フクさん、何やってんすか」と軽くかわされるばかりでした。

 

 引退の報告に寂しさも募りました。しかしその反面、指導者の道を選んだシュウの決断を尊重したいと思います。愛媛FCレディースのコーチに就任したとのこと。彼は必ずいい指導者になると思っているので、これからが楽しみでなりません。

 

 シュウが新たなチャレンジに向かっていくなか、僕も負けてはいられません。

 我々ドリームメトロギャラリーの目標は、まずは一部リーグ残留。今は上位との対戦が続いていますが、残留を争うライバルチームと直接対決に入っていきます。それまでにどれだけ勝ち点を拾っていけるか。粘り強く戦っていきたいと思っています。


◎バックナンバーはこちらから