みなさん、こんにちは。

 ここ香港も旧正月(春節)を迎え、2月8日が元旦でした。町では爆竹がうるさいほどに鳴らされ、建物や道路は赤色で溢れかえります。提灯が並び、めでたい言葉を赤い紙に書くという風習があります。一般的に三が日を含め4、5日間ほど休みになります。サッカーのクラブチームも同様で、僕が所属するドリームメトロギャラリーも3日間のオフになりました。

 

 ただ僕自身は休んでいません。というのも香港で毎年、旧正月に開催される「ルナーニューイヤーカップ」の出場メンバーに選ばれたからです。

 

 この大会は年ごとに方式が違っています。13年は香港選抜チームと韓国、中国、タイの3クラブが参加していて、一昨年はFC東京、ポルトガル、ロシア、香港とエクアドルのクラブの混合チームと計4チームが出場してトーナメントが行なわれています。昨年は元スペイン代表FWラウール・ゴンザレスが在籍するニューヨーク・コスモスが香港プレミアリーグのサウスチャイナとワンマッチで対戦しました。今年のカードは2月9日、香港代表と香港リーグ外国人選抜チームのワンマッチでした。僕はその外国人選抜チームの一員に呼ばれ、先制点を挙げることができました。

 

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(写真:ニューイヤーカップの勝利チームにはトロフィーが贈られた)

 味方の左クロスを合わせてのゴール。アシストしてくれたのが昨季同じチームだったブラジル人MFフェルナンドでした。結局4-0という大差で、香港代表に勝つことができました。

 僕たち外国人選抜チームは即席ではありましたが、モチベーションは非常に高いものがありました。チームを率いる監督の「何故、外国人選手がこの香港でプレーしているのか、存在意義を証明しよう」という言葉が心に響きました。

 

 香港に来て3年が経ち、周りの人たちから「ずっと香港に残って、香港サッカーの発展のために力を貸してほしい」と言われたこともあります。香港の人々が注目する試合で活躍でき、自分の「存在意義」を示すことができたのならとても嬉しく思います。

 

 この2日後。サッカーの試合に負けず劣らず、緊張したことがありました。

 実は香港日本人学校中学部にキャリアサポート講座のゲスト講師として招かれ、中学2年生を対象にキャリアについて話をさせていただいたのです。

 

 自分の中学時代を振り返ってみると、「ラジオが友達」でした。伊集院光さん、電気グルーヴさん、福山雅治さん……夜中までラジオにかじりつくようにして聞いていた思い出があります。中学生となると多感な時期ですし、ラジオ番組から耳に入ってくる言葉に触発されたこともありました。そんな思い出話から始まって、自分の経験をもとにいろいろと話をしました。

 

 自分の好きなこと、興味のあることを追求して、将来こうなりたいということを親や先生、あるいは友達とたくさんの人に発信していってほしい、と伝えました。多くの人に発信していくことできっと協力してくれる人が出てくるんじゃないかと、僕は思っています。そして自分の情熱次第だというようなことを、人生の先輩としてみんなに言いました。

 

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(写真:特別講師として中学生にキャリアについて話した)

 昨年も小学生とその保護者の方合わせて500人の方を対象に、90分間という長い時間の講演をやらせてもらったことがあります。喋るのは得意じゃないので、何を話せばいいか3、4カ月考えました。講演後に保護者の方から「良かったですよ」と言われたときは、ホッとしました。今回もそのときと同じぐらい緊張しましたし、「お話してもらえませんか」というお手紙をもらってから何を話せばいいか1カ月ぐらいずっと考えてきました。

 

 香港日本人学校で学ぶ中学生は、これから大きな決断に迫られることになります。高等部がないという事情もあって、進学は香港のインターナショナルスクールか日本の高校かという選択が一般的になるそうです。決断を控える生徒のみなさんにとって、話がほんのちょっとでも参考になったのならいいのですが……。

 

 香港プレミアリーグもこれから終盤戦に入っていきます。

 1月30日のペガサス戦では前半のアディショナルタイムに先制ゴールを挙げることができ、チームも3-0で勝利しました。1月はリーグ戦で3ゴールをマークしました。新しいチームにやってきて味方の特徴、チームのやり方を把握するまでに少し時間は掛かりましたが、だいぶつかめてきたなという感触を持っています。チームが勝利するためには僕自身がゴールを取っていかなければならないと自負していますし、これからいい結果が出ると信じています。

 

 最終節の5月7日まであと2カ月ちょっと。一日一日を大切にしていきたいと思っています。そしてニューイヤーカップに出場したり、中学生に話をしたり、いろんな経験をここ香港でさせてもらっています。そういう意味でも香港での出会いを大事にしながら、一日一日を充実させていきたいとも考えています。

 

 久しぶりに日本のラジオ番組を聞いてみたいなあと思う、今日この頃です。


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