二宮: 今回のゲストは、プロ野球解説者の緒方耕一さんです。そば焼酎『雲海』Soba&Sodaを飲みながら、今季のプロ野球について語り合いたいと思います。
緒方: 実は僕、雲海さんの本格芋焼酎『日向木挽 黒』が大好きなんです。宮崎キャンプ中はいつも飲んでいました。
二宮: 本当ですか。社長にお伝えします!
緒方: 今年の春季キャンプで宮崎取材に行った時に、馴染みの寿司屋で本格芋焼酎『日向木挽BLUE(ブルー)』を薦められて飲んだらすごく飲みやすかった。そば焼酎『雲海』は初めて口にするので、どんな味がするのか楽しみです。
二宮: 乾杯! さて、お味は?
緒方: スッキリしていて美味しいです。そばの香りも楽しめますね。普段、焼酎は水割りで飲むことが多いんですが、ソーダ割りも合いますね。
二宮: 今シーズンからホーム上でのブロックが禁止になりました。春季キャンプは、各球団が新ルールの対応に追われていました。
緒方: ホーム上でのブロックが禁止となると、ランナーにとっては有利です。恐らく、ギリギリのタイミングでもホームを狙う場面が多くなると思いますよ。
二宮: 積極的な攻撃スタイルになると?
緒方: サードランナーの走塁のサインは「ギャンブルスタート」が多くなると思います。ランナーへのサインは3つあります。当たった瞬間にどんな打球でも突っ込むギャンブルスタート。ゴロは自重。そして、ゴロゴー。ただしゴロゴーの場合、ランナーはピッチャーゴロで走ってはいけません。もし、走ってアウトになったら選手の責任になるので、ゴロゴーは選手にとって中途半端なサインです。
二宮: なるほど。
緒方: 一方、ギャンブルスタートの場合は“当たった瞬間、行け”ですから、打球がライナーだろうがピッチャーゴロだろうが、ランナーはスタートを切らなければいけない。もし、アウトになってもベンチの責任です。選手にとって判断の難しい走塁は減り、ベンチ主導の「当たったら行け」が増えるので楽になりますね。
二宮: 二塁からシングルヒットでホームに突っ込むという場面も増えるかもしれないですね。足の速さだけでなくベースランニングの技術も問われるでしょうね。
緒方: 今までは二塁からホームを狙う時は、なるべく三塁を鋭角に回り、送球の邪魔をするために少々ラインの内側を走っていました。しかし、これからは走路が空いているので、キャッチャーが嫌がる走路を走る必要がなくなります。となると、ベースランニングの技術が上手くなるとは思いません。ベースが空いているので、神業的なスライディングは減るでしょうね。
二宮: スライディングの技術低下は免れないと。
緒方: ええ。とにかく、ランナーにはスピード性が求められるので、指導する側も一番速いスライディングを磨く方向性に変わると思います。僕が現役の頃は、いろいろな種類のスライディングを練習しました。正直に言うと、間一髪の時は自分の得意なスライディングになってしまうんですけどね(笑)。
二宮: 一番得意だったスライディングは?
緒方: 僕は左足を折って右足を伸ばす形が基本でした。状況に応じて、右足でベースに滑り込むか、ベースを回り込んで手でタッチするか。結局は一つの形からのアレンジになりますね。僕が現役の頃は、試合で使わなくてもいろいろな種類のスライディングを練習しましたが、これからはそういったトレーニングさえも減りそうです。
守備陣形にも変化アリ
二宮: 守る側は相当苦労しそうですね。
緒方: 特に捕手はすごく難しいと思います。捕手の足がホーム上にかかっていたら、ブロックしたと見なされて走塁妨害をとられる。かといってベースを空けておいて、追いタッチになれば、相手に得点を許す可能性もある。いずれせよ、ランナーがセーフになるのであれば、捕手はイチかバチかの勝負に出て、審判の判断に任せると思いますよ。
二宮: というと?
緒方: 膝で止めるような明らかに危険なブロックとわかるプレーはしないでしょうが、あらかじめタッチしやすいポジショニングを取ると思います。
二宮: キャッチャーの捕球のポイントは審判にチェックされるでしょうね。
緒方: 捕手が送球を捕球する前に立っていいポジションは、ホームベースの前後と一塁側だと聞いています。とにかくホームベースを空けなければいけないんです。
二宮: では、ランナーをアウトにするためには、捕手はどこにいるのがベストですか?
緒方: ホームベースの前で捕球しても、振り返ってタッチしなければいけないので、時間がかかります。一塁側と後ろは、どちらも追いタッチ気味になる。ただ、右からの方が捕球から一連の流れでスムーズにタッチができるので、後ろから前にタッチするよりも審判にとって印象がいいです。なので、アウトにできるチャンスが高いのは右側だと思います。
二宮: 野手には今まで以上にスローイングの正確性が要求されますね。
緒方: そうですね。左側に逸れたボールを体ごと捕りに行って、ベース上に足が乗ってしまうと、審判に「走塁妨害」と宣せられるでしょうしね。
二宮: 選手も審判も対応が難しいですね。
緒方: 今までは捕手への送球で右側に逸れてしまうことは絶対に駄目でした。逸れるのであれば、“こっち(左側)にしろ”という考えだったんですよ。でも、これからは左側に逸れてしまうとブロックしたと見なされてしまうので、これまでやっていたこととは逆になります。
二宮: 内野の守備陣形も変わりますか?
緒方: 前進守備に変わります。基本的に内野はベースとベースを繋いだラインよりも後ろに構えていました。線上より前に構える時は、ギャンブルスタートが予想される時だけでした。しかし、この前、ジャイアンツ対韓国チームの練習試合を見ていたら、ノーアウトの場面や点差やイニング的にも明らかに走ってこないと思われる場面でも、ジャイアンツの選手は前で守る練習をしていたんです。
二宮: ノーアウトでも前進守備ですか!?
緒方: 恐らく、選手たちに常に相手がギャンブルスタートをしてくる感覚で守備をする意識を植え付けるためでしょうね。前進守備をすれば、ヒットゾーンが広がってしまうので、今まで捕れていた打球でもギリギリでグラブが届かないシーンが増えると思いますよ。
危険なスライディングも禁止に
二宮: 緒方さんは盗塁王を2度(90、93年)獲得されています。足が売り物ですから、クロスプレーの際に危険な目に遭ったこともあったのでは?
緒方: いや、僕みたいに足が速くてスピード系の選手は、パワー系の選手のように体が大きくありません。ですから、どちらかというと危険なスライディングをしない選手が多いんですよ。
二宮: 体が軽いので、タックルする方がリスクは高いと?
緒方: はい。逆に飛ばされますし、当たり負けしてキャッチャーのレガースで怪我をしてしまうこともあります。タックルをするより、手や足でベースを触ったほうが速いというイメージがあるので、僕は子供の頃から一度もタックルをしたことがありません。
二宮: 緒方さんの話を聞いていると、新ルールはプラスとマイナス両面で影響がありそうですね。
緒方: 危険なプレーから捕手を守るためにブロック禁止のルールが設けられたのでしょう。野球自体が変わってくると思いますよ。
二宮: 全体的に足を生かすスピーディーな野球に変わるでしょうね。
緒方: 今さらですけど、明らかに危険なタックルや捕手にスパイクの刃を向けた時は厳しく罰すればよかったのではないかと……。僕はどちらかというと、ダブルプレー阻止のスライディングを禁止する方が重要だと思います。
二宮: 緒方さんも現役時代に内野を守っていたので、ランナーのスライディングには警戒しましたか?
緒方: 気を付けましたね。プロに入ってから、まず始めにベースワークやベースカバーやスライディングの逃げ方の練習をしました。高校の時まではやったことがなかったですから。
二宮: アメリカでは今年から、走者が併殺を阻止するために二塁ベース付近で、守っている選手に向かって行う危険なスライディングを禁止しました。来年は日本のプロ野球もそうなる可能性が高い。
緒方: 実はプロ野球にも選手間の紳士協定みたいなものがあります。一応、それを選手たちは守っているんですよ。暗黙のルールのもとやっていますが、まだ明文化されていないので、スパイクの刃は向けてはいないけど野手の膝よりも足を高く上げて引っかけるシーンを見かけます。今後は内野手への危険なスライディングを改めることも必要だと思います。
二宮: 気が付けばグラスが空いてしまいそうです。もう1杯いかがでしょうか?
緒方: 「Soba&Soda」をもう1杯お願いします! ソーダは体にいいという話なので、心置きなくグイグイいけちゃいますね(笑)。
<緒方耕一(おがた・こういち)>
1968年9月2日、熊本県出身。熊本工高から87年ドラフト6位で巨人に入団。3年目に一軍デビューを果たすと、内外野で出場機会を得た。同年、プロ初本塁打をランニングホームランで記録する。90年に初めて規定打席に到達すると、33盗塁で盗塁王に輝いた。93年に24盗塁をマークして2度目の盗塁王を獲得。94年の日本シリーズ第5戦では、満塁本塁打を放ち、長嶋巨人の日本一達成に大きく貢献した。30歳の若さで現役を引退。02年以降の通算7年間、巨人で守備・走塁コーチを務めた。09年第2回ワールド・ベースボール・クラシックから2大会連続で日本代表の外野守備・走塁コーチを任された。現在は野球解説者として活躍する傍ら、今年からBASEBALL FIRST LEAGUE・兵庫ブルーサンダーズの巡回コーチに就任した。
今回、緒方さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社
<対談協力>
麓屋
東京都新宿区西新宿2丁目2−1
営業時間: ランチ 月~金 11:30~15:00
ランチ 土・日・祝 11:30~16:00
ディナー 月~金 17:00~23:00(L.O.22:00)
ディナー 土 16:00~23:00(L.O.22:00)
ディナー 日・祝 16:00~22:00(L.O.21:00)
☆プレゼント☆緒方さんの直筆サインボールを本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「緒方さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は4月15日(金)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎ 今回、緒方さんと楽しんだお酒の名前は?
お酒は20歳になってから。
お酒は楽しく適量を。
飲酒運転は絶対にやめましょう。
妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。
(構成・写真/安部晴奈)
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