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(写真:試合後に行われた表彰式でシーズンのMVPを授与した渡嘉敷)

 女子バスケットボールの「第17回Wリーグ・プレーオフ・ファイナル」第3戦が13日、東京・代々木第二体育館で行われ、JX-ENEOSサンフラワーズ(レギュラーシーズン1位)が富士通レッドウェーブ(同2位)を72-59で下した。第2戦で大敗したJX-ENEOSは、持ち味の出足の速いバスケットを展開し、前半は38-26のリードで終える。第3クォーターに5点差に詰め寄られたが、最後は引き離して13点差で勝利した。ファイナルは3戦先勝方式のため、対戦成績を2勝1敗にしたJX-ENEOSがWリーグ8連覇に王手をかけた。第4戦は15日に同会場で行われる。

 

◇ファイナル第3戦(JX-ENEOS2勝1敗)

 エース渡嘉敷、15得点19リバウンド

JX-ENEOSサンフラワーズ 72-59 富士通レッドウェーブ

【第1Q】19-16【第2Q】19-10【第3Q】16-23【第4Q】18-10

 

 大敗から一夜明け、女王が再び目覚めた。JX-ENEOSがアップテンポなバスケに持ち込んで快勝した。

 

 開始直後にガード(G)岡本彩也花がインサイドに切り込んでシュートを決め、JX-ENEOSが先制点を奪う。しかし、富士通のG篠崎澪、センターフォワード(CF)三谷藍に連続スリーポイントを決められ、ひっくり返される。第2戦で19本ものスリーポイントを沈めた富士通のアウトサイドはこの日も好調だった。

 

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(写真:13得点8アシストと躍動した司令塔の吉田)

 それでも流れを相手に与えないところが女王たる所以か。4-8とリードされた場面で、アウトサイドからのガードフォワード(GF)大沼美琴のシュートがエアボール。これをCF渡嘉敷来夢が拾い、インサイドでシュートを決め、さらにファウルをもらう。バスケットカウントでワンスローが与えられ、渡嘉敷はフリースロー(FT)も着実に決めた。日本代表のエースが決定力を発揮する。

 

 JX-ENEOSは三谷の連続スリーポイントで再び11-14とリードを許したが、今度はPG吉田亜沙美が魅せる。ジャンプシュートで1点差に迫ると、6分45秒ではドライブで相手のファウルを誘いFTをゲットした。吉田は2本とも冷静に入れて、15-11と逆転。第1Q終了間際にはセンター(C)間宮圭のインサイドシュートをアシストし、19-16と最初の10分間で3点のリードを奪った。

 

 迎えた第2Qは篠崎にレイアップ、フォワード(F)山本千夏にシュートを決められ、富士通に一旦は逆転された。それでもすぐに吉田のパスから渡嘉敷が決め、リードを奪い返す。岡本がスリーポイントを入れると、今度は控えメンバーが活躍する。吉田のパスからG宮崎早織がスリーポイントを決める。さらに宮崎は自陣でパスカットし、速攻を演出。吉田からのパスを大沼が決めた。残り3分でF宮澤夕貴のシュートが決まり、リードを2ケタに広げた。第2Qを終えて、38-26。12点差でハーフタイムに入った。

 

 第3Qは吉田、岡本の連続スリーポイントで44-26と突き放した。このままJX-ENEOSのワンサイドゲームになるかと思われたが、富士通も意地を見せる。PG町田瑠唯、CF長岡萌映子のスリーポイントなどで一気に詰め寄る。JX-ENEOSは5点差に縮められた。

 

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(試合前、気持ちを集中させる吉田<中央>)

 ラスト10分間は渡嘉敷がインサイドでの強さを発揮した。2分過ぎ、6分とオフェンスリバウンドからゴールにねじ込んだ。いずれも相手からファウルをもらいバスケットカウントとなる3点プレー。この日、インサイドを制圧した渡嘉敷は15得点19リバウンドのダブルダブルの活躍だった。JX-ENEOSはこのQの失点を10に抑え、72-59で逃げ切った。

 

 前日の第2戦では103点奪われ、25点差で敗れた。雪辱に燃える思いは強かった。キャプテンの吉田が「昨日ああいうゲームをしてしまった。今日は“強い気持ちを持って臨もう”というのがチーム全員の統一した気持ちだった」と語れば、エースの渡嘉敷は「本当に昨日は悔しくて、今日は絶対やり返してやろうという気持ちで臨んだ」と口にした。Wリーグの王座をかけた戦いは、1日を空けて、再び代々木第二体育館で第4戦を迎える。

 

(文・写真/杉浦泰介)